三陸のオニヒゲは買って後悔しない
こんにちは、夢海です🐟️
「面白いもの、来てるよ」
と声をかけられ、どれどれとルンルンで後をついていく。
そこに並んでいたのは三陸、岩手から来たという”とうじん”が5ケースほど積まれている。
目次
オニヒゲの特徴
今回の魚はオニヒゲ。
トウジンとして流通するものの、三陸などは本種が多いように思える。
トウジンは過去に食べたことがあるものの、このオニヒゲは食べたことがあると認知していたつもりが、どうやら未食であったらしい。
頭の裏側がツヤっとした触感だったのでオニヒゲであろう。と見込み、5入りの箱で、異常に胴が膨れた個体を見つけたのでこれを持ち帰る。
計測・撮影を終わらせたら水洗いして卸していく。
元の魚体の重量で976gであったのに対し、皮や腹骨を残した状態の半身でも141gしかない。
カマなどを外し、単純計算で1尾から得られる肉は約28%ほどしかない。
見ての通り、歩留まりは期待してはいけない魚だが、味の方は間違いがない。
翌日にもまた同じ荷で来ていたため、品数を増やすというのと、初日に買い求めた個体がやはり異常な胴の膨らみ方をしていたため比較しようと買い求めてくる。
↑やはりスマートな体型で、先日購入したものは特別胴が膨れていた。
料理は後に紹介しますが、該当個体を鍋にした際の骨格がこちら↓
背側に反り返っているのが分かります。
これならば骨格標本にするべきだった、、とやや後悔。
しかしあの尾鰭に無数に並ぶ臀鰭など、難易度も高ければ根気がないと上手いこと残せなさそうです。
満足な設備も整えられていないので、またどこかで会いましょう。という気持ちで今回は食べることに集中していきます。
料理は何にしようかなぁ、と考えていると、肝をたたいてカワハギみたいに肝あえにするという方に出会う。
やはりプロでも知ってる方は知っていて、使い方が上手いと思った瞬間でした。
肝あえという発想、私はなかったな。
今回はそんな贅沢をせずにイロハのイの料理を作ることにします。
オニヒゲの料理
オニヒゲの鍋
オニヒゲは片身を外し、骨付きのまま沸騰した湯に一度落とす。
ヌメリや鱗を除去し、不要な鰭は取り除いておく。
ここへ肝と野菜類を投入。
福島県産のオニヒゲということで、数日前にいわき市を訪れた際に購入した手作りの蒟蒻、豆腐も入れる。
味は塩で調える。
これがなんとも温まる旨さ!
濃厚な肝の脂が汁に溶けて、この肌に良さそうだと本能で感じられるスープは喉さえも健康的に潤す。
あんなひょうきんな見た目をしていても広い目で見ればタラ目、ということもあり、やはり身からホクホクと感じられる旨味はタラらしさが残る。
この身を肝の脂と絡めて食べると、もう何とも言えない気持ちになる。
この後の皿洗いさえ面倒くさくなり、このままごろ~んと寝転がりたくなる美味しさ。
味噌で仕立てても良い。
オニヒゲの唐揚げ
オニヒゲは尾の長い部位を使う。
ソコダラ類の歩留まりが極端に悪く感じてしまうのは、大きな頭に加えて尾が細長いためでもある。
骨の密度は軽く、意外に硬くはないので揚げてしまえば気にならずに食べられるので、鱗と汚れを落として味付けし、唐揚げにしてみました。
尖った鰭の先は揚げることで香ばしくなり、身も頭側となると多少あり、食感でも感じられる。
豆鯵の唐揚げでも食べているんじゃないかという錯覚を起こすほど、香ばしさと旨味があり骨まで美味しい。
オニヒゲの握り
オニヒゲは体の太いところを柵取りして使う。
この手のソコダラは沼津のトロールで揚がった小型のものでつけた記憶があり、食感はいいものの味気なかった事を覚えていたため、今回はレモン塩で頂きます。
シコッとした食感と水分を感じさせない引き締まった身に、レモンと塩でキュッと味を締めるとより一体感がある。
ソコダラは深海魚の中でも水も脂も少なく、生で食べても美味しいもの。
旨味は控えめなので、肝のせ・焼霜・昆布締めなど、色々考えても面白い。
オニヒゲフライ
刺身用に取った柵の残りをフライにしてみた。
広い意味でタラのフライ。ザ・王道な白身フライで、調理方としては平凡だが、味は横綱級である。
語らなくとも分かるその美味しさに、脱帽。
淡々とした白身以上に香りがあり、強くないタラらしい癖がある。
食べやすさがありながらも、しっかり美味い。そんな1品で、オニヒゲだからこそ出せる味であるのかも知れない。
余った部位はフライにするべし!
オニヒゲの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・・・・☆
珍しさ ・・☆☆☆
味わい ・☆☆☆☆
・価格
まとまって揚がる上、高い魚ではない。
・コスパ
ソコダラ類は総じて大きな頭部を持ち、尾が細いものが多く歩留まりが良くない。
・珍しさ
まとまって揚がるものの、市場流通の機会は少ないものだと思う。
・味わい
非常に美味。タラ目らしい特色があり、マダラなどに比べると身がしっかりして扱いやすい。
今回は初調理、初食べのオニヒゲを頂きました。
流通上、"トウジン"と呼ばれるのは、23年12月に調理したムスジソコダラ以来、実に2年ぶりとなりました。
一般の鮮魚コーナーにはなかなか並ばないような魚ですが、ソコダラの仲間は種類が多く観察して楽しい、食べて美味しいな魚で、あれば嬉しい、というよりワクワクさせてくれるような魅力があります。
面白さという深みのある、ソコナシならぬソコダラ沼、あなたもハマってみませんか?

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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