魚の違和感は大事な特徴!?冬にいただくムスジソコダラ

こんにちは、夢海です🐟

 

12月もあと3週という年末を実感し始めてきた頃、頻繁に通う都内の魚屋、吉池さんにて頭を悩ませていました。

並べられている札には「トウジン」と書かれています。

 

この手のソコダラ類はトウジンとして売られることが多いですが、似た種類が非常に多く見慣れていない方であれば細部まで調べないと種まで分かりません。

 

静岡県沼津産など、本州近海で獲れたものであれば比較的見る種類なのでなかなか買わないところですが、今回の個体は神津島産。

そして体には縞模様のようなものがあり、鱗もしっかり残っている為、漁獲の際のスレによるものではないと判断。

見れば見るほど違和感を感じ、これは間違いなく未入手の種であると直感。悩んだ末に買うことにしました。

 

 

ムスジソコダラの特徴

持ち帰ってそのまま鰭を立てて魚類検索と照らし合わせることにしました。

 

魚類検索での調べ方はあみだくじを辿るように、特徴ごとに分岐していき徐々に種を絞っていくイメージです。

 

今回のムスジソコダラでは…

 

頭上に並ぶ鱗のうち、中央の鱗の棘が3列であることや、

 

ソコダラの仲間の特徴である、墨をこぼしたように黒い発光器の位置などで見分けました。

ムスジソコダラは肛門の周りと、そこから体の前方にかけて伸びているのが特徴。

種類によってこの特徴は異なります。

 

個体差はありますが、ムスジの名の通り約6本の横縞模様があります。

 

産地や魚種からはえ縄か釣り量で漁獲されたものと考えられ、鱗は残り魚体にダメージが少なく、鮮度もしっかり保持された状態です。

脳天に締めた跡があり、処置もまた丁寧にされたものだという事がわかります。

 

鰓も鮮やかな紅色。

鮮度落ちが早い魚でこのクオリティは期待できます。

 

折角なので半身をお刺身、残りはソコダラの美味しい食べ方でいただきましょう!

 

歩留まりの悪い身を、まずは片身のみ卸します。

思いの外、水気がなく体が細いものの卸しやすい魚です。

 

皮を引くと血合いが残り、見た目としてはとてもいい柵になります。

これをこのまま刺身用に切りつけ、尾びれに近いところをフライにしてみましょう。

 

 

ムスジソコダラの料理

ムスジソコダラのお造り

時間があれば昆布締めにしたいところですが、師走の忙し時、水産業者に時間はなくまずは購入当日、鮮度のいいうちにそのまま頂きます。

 

 

ほどよい赤みのある血合いが表面を覆い、見慣れたものでマダイらしさを感じる色味。

お刺身として出されても抵抗なく手が出るのではないでしょうか。

 

ワサビ醤油でいただきます。

 

実食してみた感想は想像以上でも以下でもなく、味や旨味はほぼないというのは分かりきっていたこと。

しかし予想外であったのは身に水分があまりないところ。

 

タラ目らしくなく、思いの外サクサクと歯切れのいい食感。モチッという反発もなく、しとしとっとした舌触りもない。

この予想外の食感は昆布締めにしてみるとどうなるのか、大変気になるところではありますが、歩留まりがよろしくなく断念。

またいつか会えるかな。

 

共に盛り付けた赤身は北海道産のブリ。

 

日本海側、特に北陸周辺の産地から寒ブリが出始めてきた頃であったため、10月頃から見かける北海道のブリとしてはシーズンが終わりかけ。

しかし今年はまだ食べていなかったと言うことを思い出し、刺身柵でキロ¥3000と安かったので購入。

血合いが大きい背側の部位ではあるものの、寒い時期のブリは(血合いが)これくらいの割合の方が食べやすいな。と満足のいくクオリティでした。

お次は富山湾の寒ブリ。今年は食べられるかな。

 

ムスジソコダラフライ

冷凍庫から発掘されたウスバハギと一緒にフライにしてみました。

 

こちらがムスジソコダラ。

タラの仲間とあるだけ、加熱するとどこから溢れてくるんだという旨味がふわっと香る。

 

おまけに鮮度がいいものを揚げたため、旨味が臭みへと変化する前の状態で、タラらしいコクのある香りは感じられるものの、余計な臭みがなくやや物足りなさすら感じるほど。

尾びれに近い細長く平たい部位であった為、少々食べごたえに欠けてしまう。

タラ目のフライってなんでこんなにも美味いんだ。

 

ムスジソコダラの煮付け

残りの半身と頭は煮付けにしました。

こちらは無難な美味さ。どんこの煮付けを思い出させます。

 

安くなっていたレンコンを買ってきたため一緒に炊きましたが、柔らかいムスジソコダラと合わせるには食感がいいアクセントになります。

 

今回火を入れすぎてしまったか、筋肉の節々が細かくホロホロと崩れ少々食べにくいものの、ちびちび食べながら飲むにはちょうどよい。

手頃なサイズのタラの仲間は、生姜を効かせて姿で煮付けるのが寒い時期にはピッタリなもんです。

 

ムスジソコダラの評価

 

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・・☆☆

珍しさ  ・☆☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

 

価格

・体色が地味で歩留まりも良くないからか単価はそれほど張らない魚。

 

コスパ

・頭は大きく尾が細いため歩留まりは非常に悪い魚。骨付きで煮る・揚げるなど、極力卸さずに加熱し、細かい身までつついて食べたい。

 

珍しさ

・市場でトウジン自体見かける機会はそもそも多くない。その中から本種を探すには根気がいる。

 

・ソコダラ類は内臓が溶けやすく、身ににおいが移りやすい為鮮度のいいものを選ぶべし。生では淡白な味わい、加熱することでタラ目らしい旨味が感じられる。

 

珍しいムスジソコダラをご紹介致しました。

"模様がある"という違和感が引っかかり、悩みに悩んだ結果購入して良かったと思います。

 

やはりタラは寒い時期に火を通して食べるのが一番うまいなぁと、朝晩の刺すような寒さの日々を送っている12月中旬。

今年もあと少し、どんな魚に会えるだろうか。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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