コショウダイは梅雨の味?
こんにちは、夢海です🐟️
季節は変わり目。春は去り夏というには梅雨の壁が立ちふさがる6月上旬。
良さげなものを見かけるようになり半月ほど。
食べたい食べたいと長いこと思っていたものの、タイミングが合わず流し流しになっていたこの魚を購入できました。
目次
コショウダイの特徴
今回の魚はコショウダイ。
コショウダイは種類が多く、生き物たちの北上が進む昨今、本州近海でも多くの種類が見られるようになりました。
ブログでも過去にはアジアコショウダイや、
オシャレコショウダイといった変わり種(ダネ)を紹介してきましたが、今回は一般的なドノーマルのコショウダイ。
またなんでコショウダイなんだと言うと、長崎から千葉まで津々浦々色んな産地から身が張ってるものが連日やたらに入荷していた訳ですから、狙い時を探していました。
今回のコショウダイは高知県室戸の定置網に掛かったもの。
51cm2.5kgと、大きめを狙うのであれば手頃なサイズ(大きいと4kgを越えるものもいるため)
背中の筋肉がふっくら膨らみ、鰓も鮮やかな紅色をしています。
元々日持ちする魚ですが、消費するまで腐敗はさせてはならないので、大きい個体を買うときにはやはり鮮度を気にしておきたいです。
背には黒い斑点があり、これが胡椒にみえることからコショウダイ。
また体には光沢があり、鈍い金属のような光沢があります。
そしてコショウダイといえばセクシーなぷくぷくしている唇。
可愛らしいので、コショウダイを観察する機会があればじっくり見てみて下さい!
コショウダイは初夏頃に産卵期を迎えるため、今回の個体は大きな卵巣が出てきました。
年間を通して味が安定してよく、(春~夏を旬とされているそうですが)特に冬が美味いものだとばかり思っていました。
しかし今回の個体、身に張りが感じられる素晴らしいもので、血合いがとてもきれいです。
背と腹に血合い骨を避けつつ切り分け、皮を引きます。
血合いはきれいなコントラストではっきりとしています。
おまけに歩留まりもいい魚なので、この魚を知る料理人からは人気が高いです。
※※この先寄生虫の写真が載ります。
見たくない方は飛ばすか、目次からコショウダイの料理へ飛んでください。
こんな万能そうな魚なのに相場は実はそれほど高くありません。
というのもコショウダイはディディモゾイドと呼ばれる寄生虫が居ることが多く、今回の個体は大丈夫だろうと思っていた最後の最後に出てきました。
個体によって潜伏している量も異なりますし、ダメなものは殆ど使えないなんて事もあり、これを承知な上であれば心強い食材になります。
誤って生のものを食しても人体には無害とされますが、やはり見た目は良くないので取り除きたくなりますよね。
コショウダイの料理
コショウダイの握り
寄生虫の話をした直後に食パートというテンポの悪いブログになってしまいましたが…💦
気を取り直してまずは無難に寿司からいきましょう!
背中の身を使いました。
左2貫を塩すだち、右2貫を単にわさびでつけてみました。
白身のよさを引き立たせるにはこのコンボ、塩すだちから頂きましょう。
コショウダイのやや酸味のある香りを際立たせます。
筋っぽい見た目をしていますが、これが意外に硬くなくほどよい食感として残ってくれるため、コショウダイならではの美味さとなっています。
単にわさびのみでつけた方はコショウダイの旨味があとから追いかけてくるような時間差が感じられます。
ふわっとまではいかないものの、軽いという表現のある食感に、皮目に当たるとコリコリした食感が退屈させません。
そしてこの皮目を噛むと血合いの爽やかな香りがしてきて、身のしっとり甘い脂と混ざり合いシャリとこの味が馴染みます。
コショウダイのかぶと塩焼き
半分に割ったコショウダイのかぶとを、じっくりコンロで弱火で焼くこと15分。
コショウダイは頬肉にカマなど、可食部も少なくないのでこれ一皿でお腹がたらふくになりそうです。
このカマがうまいんだ。
分厚い皮に箸を入れると、身に含まれていた水分と混ざりサラサラな脂が出てきます。
薄味ではあるものの、口の中でまとわり付かないサラサラの脂で食べやすく、米でも酒でも合う万能な一品。
一般の家庭では割るのが難しかったりもしますが、ぜひ試して欲しいです。
コショウダイフライ
切り身にし皮を引いたものをカラッとフライにしてみました。
肉厚なコショウダイの柵をそのまま切って揚げたため食べごたえは抜群です。
淡白な味わいなものの、後味というか余韻に旨味があり魚らしい無難な旨さ。
ホロホロと食感もパサつかず、程よく硬く締まりパンなんかと合わせても合うでしょう。
コショウダイのかぶと煮
半分に割ったうちの片割れを、湯引きをし鱗や汚れを落としたあとに砂糖多めで甘く煮詰めました。
身が程よく締まり甘い煮汁を吸い込んで美味しく仕上がりました。
カマの肉は厚みのある皮に覆われており、コラーゲン質のぷにぷにした質感と、脂を含んだ筋肉のふしが大きいぷりぷりな肉の食感が同時に楽しめます。
頭肉は少ないものの、頬肉が発達しておりこちらは食べごたえがあります。
コショウダイの真子煮付け
続いては真子(卵)の煮付け。
あの巨大な卵巣を細かくカットし、火が通るよう切れ込みを入れます。
するとふわっと広がり、プチプチとしっかりした食感が楽しめます。
似てしまえば数日はおかずをこれで楽しめる上、酒のアテにして楽しむもよし。
旬の真子は嬉しさ最大、楽しさ無限大。
コショウダイのすだちムニエル
色変わりしてきて如何にして使い切るかといったすだちが目に入り、試作で作ったもの。
普段は隠し味程度にレモン果汁を搾るとこですが、今回はすだちを最大限活用しました。
サラサラな粘りけのないコショウダイの脂と柑橘の相性はよく、引き締まったやや硬いコショウダイの身によく合います。
皮には独特なイサキ科の香りがありますが、皮を引いてしまえばクセのない上質な白身なので、比較的味付けの幅は広いと思います。
カレー粉などをまぶしてタンドリー風、おろしソースで仕立てて和風、表面を揚げ焼きにし、海鮮だしの餡をかけて中華風などなど、身にほどよい硬さがある為肉の近い扱い方ができます。
コショウダイの西京焼き
西京焼き用に出回る魚は、メダイやギンダラなど脂がある高級魚である事が多いです。
脂も控えめ、高級魚とも言える価格帯の魚でもないコショウダイを西京焼きにしてみるとどうなのか。
結論はまず大当たり。というよりもコショウダイの質には漬魚がピッタリです。
皮は表面がパリッと、内側はもっちもっちと弾力があり反発してきます。
味噌の香りと、磯の風味が感じられる皮の組み合わせは、単に上品なだけじゃなく普通西京焼きになるような魚では楽しめないような美味しさです。
コショウダイの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・・・☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・安い魚の代表格。流通量も少なくなく、産地も多い。その上寄生虫、ディディモゾイドの確率が高いため採算が合わず買いたがる料理人が少ないからか。
コスパ
・歩留りは悪くない魚。あらも身があり旨味ありで使い勝手がよい。
珍しさ
・普通に見られる。季節によって流通量に若干の変動はあるが、年間を通し見かける事ができる。
味
・淡白な中にコショウダイ、イサキ科特有の旨味があり、美味い魚の部類である。加熱しても硬くなり過ぎず、調理法に悩まない。
今回は産卵前の身がぷっくらしたコショウダイを堪能しました。
果たして旬と言い切ってしまって問題ないのかと言うと、最近の海況を見ていれば一概には言えない状況。
獲れてたものがいなくなったり、本来いない時期に大群で押し寄せたりと、異変はここ数年て顕著に表れてきたと思います。
これから先どうなるんだ。。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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