春にやって来た!2種類のトビウオ

 

こんにちは。夢海です🐟️

 

気温があがり、水温もまた上がりつつある晩春。

冬の合間はほぼ姿を見せていなかったあの回遊魚たちが競り場や仲卸に並ぶようになりました。

 

そういえばまともに撮影をしていなかったと気まぐれで選び抜いてきたトビウオを紹介していきます!

 

 

トビウオの特徴

 

さてさて、今回の魚はトビウオ。なのですが、皆さんはトビウオに複数種類いる事はご存知でしょうか?

 

価格が安く、焼き物などに手頃に使えることからも、旬になるとスーパーで目にする機会の増えるトビウオですが、実は流通するものはおよそ4種いるとされ、見分けることも非常に困難なため「トビウオ」としてまとめて売られている事が多々あります。

※注釈をつけておくと、どれも同様に美味しく食べられる種類になります。

 

前置きはここらにして、実物を見ていきましょう。

 

今回購入したのはこちらの2尾。

千葉県千倉からやってきた、晩春のトビウオになります。

一見大きさ意外は特に違いがあるように思えませんが、羽に当たる胸鰭の長さや色に注目すると違いが見えてきます。

 

まずは小さい方、ショートボディに羽にあたる胸鰭がやや小さい個体です。

 

同定の結果、こちらはホソトビウオに落ちました。

 

パッと見、胸鰭が透明のように見えますが実は黒色の部分が広いんですね

 

続いては細長く胸鰭も長いツクシトビウオ。

2種ともに一般的な種類で、トビウオとして売られていたものが実は本種だった、という可能性は非常に高いでしょう。

 

見分けが難しいため、やたらに大きくなるハマトビウオを除き区別して売られることはまずありません。

ホソトビウオに比べてこちらは羽根(胸鰭)が全体的に透明です。

 

 

トビウオは大体1尾幾らといった売り方で置かれていることが多く、今回は280円でした。

それを考えるとより大きいツクシトビウオを選ってきた方がお得かも知れませんね。

 

↑ホソトビウオ

 

↑ツクシトビウオ

 

それでは調理していきましょう。

 

トビウオを刺身用に捌くときに注意したいもの。

それは腹鰭です。

 

普通の魚は体の構造上、頭と胸鰭の付け根の骨である“カマ“を落とす際に、腹鰭も一緒に落とせるような位置関係ですが、トビウオは体の後方にあり、腹鰭単体で取り除かなくてはなりません。

 

これを付いたまま皮を引こうとすると、この腹鰭に包丁が引っかかり邪魔となります。

 

やや不格好ではありますが、包丁の刃先でこの鰭と根元の骨を取り除いてから皮を引くと綺麗に取り除けます。

脂があり、皮目はしっとり。

銀皮は触ると落ちてしまうので、極力触れずに調理します。

 

 

トビウオの料理

ホソトビウトのなめろう

より小さいホソトビウオを柵にし、骨を取り除いたものを生姜と味噌でたたきます。

本当はここにネギを入れたかったところですが、残念ながらネギを切らしていたため白ごまで代用しています。

 

トビウオのなめろうは、たたく前からねっとりと粘りのある身に、後を引くように流れて香る酸味がなんといっても初夏に食べると美味しいものです。

 

ホソトビウトの塩焼き

入梅までの秒読みの調査用として購入してきた、千葉県銚子産のイワシと共に焼きました。

今回の主役はトビウオなのでイワシは割愛。

 

これまでトビウオは焼くとパサついてしまい、それほど美味くないだなんて考えていましたが、今回の個体は大当たり。

 

脂があるという訳ではありませんが、焼く時間を短縮した事もあってか旨味が閉じ込めてられており、表面の血合い周りは噛むとジュワッと溢れ出てくる青魚の旨味が感じられ、中心に進むにつれて白身らしいたんぱくな味わいへと変化します。

中心部はホクホクな食感に、繊細な香りが広がり、この味わいのグラデーションがトビウオの美味さだと再認識しました。

 

ツクシトビウオの握り

買った2種のうち、より大型のツクシトビウオを握りにしてみました。

トビウオは血合い骨がしっかり身に入り込んでいて、骨抜きでは途中で折れてしまい完全に除去が出来ない事もあり難しいです。

そこで背と腹で2柵取るため、大型のツクシトビウオを使用しました。

 

トビウオはそもそも調理法が知れ渡っていないのではないかといった具合に、食用としての知名度が低く、生で食べられると言うことを意外にも知られていません。

 

トビウオは身がもっちりとしており、青魚の濃い旨味、そして血合いからは爽やかな香りが感じられます。

季節を感じる上を、味もしっかりしていてシャリとも相性のいい質感なので扱う寿司屋も少なくありません。

今シーズンは自身で作ったお粗末なものでしたが、それをカバーするような旨味のトビウオで大変美味しく頂きました。

 

トビウオの水翔けの唐揚げ

胸鰭をカッコつけて水翔けと呼び、唐揚げにしました。

ホソトビウオ、ツクシトビウオのどちらも使用しました。

 

シンプルですがそのまま捨ててしまうには勿体ないほど美味く、香ばしさと食感の軽さはつまみに合います。

これはビールでも良いしサワー系でもよし。

水翔けもまた塩コショウではなく七味にしてもよければソースにディップしてもよし。

場面に合わせて色々アレンジが出来るでしょう。

 

 

トビウオ(ツクシトビウオ・ホソトビウオ)の評価

 

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・・☆☆☆

 

価格

・この時期のネタとしては扱いやすい価格帯。

1尾あたりで売られる事も多く、グラム・キロ売りのものに比べ買い求めやすい。

 

コスパ

・歩留りは普通。用途は幅広いので2、3本まとめて買っておくとよい。

 

珍しさ

・季節的なもの。一般的。種類にツクシトビウオ、ホソトビウオ共によく混ざることがあり平凡。

 

味わい

・産地、種類によって旬は異なってくるが、気温の上がる時期に美味しくなるため、スッキリした酸味が美味い。

 

今回はトビウオを2尾購入し、種の同定をしておいしく頂きました。

季節や産地によっては種類が異なり、また、春に出てから秋頃まで普通に見られる魚でもありますので、お子さんにとっては夏休みの自由研究などで面白いテーマになるんじゃないかなと思います。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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