美味いじゃないか!キントキダイ
こんにちは、夢海です🐟️
今年は時化が続き、なかなか魚を買い集められなかった時期が続きました。
さて、春分過ぎたころ。市場は魚種が戻り、春分の連休前の荷の少なさに比べ種類も見られるようになります。
時化が明けると、かき混ぜられた海では多種多様な魚がごちゃ混ぜになりながら水揚げされ、色箱として流通してくる事もあります。
今回、色箱の中に目立って光るものを見つけてしまい、どうしようどうしようと、仲卸の前を行ったり来たり。
この忙しい中で仲間(同業のこと)が来た、と思われているのだろうと考え、そそくさと退散する。
そして産地を聞き忘れる。
同じ箱の魚種から、おそらくは茨城のトロールのものであろう。と予測。
今更知りようもないので、茨城県産(?)という事にする。
目次
キントキダイの特徴
そんな経緯で購入した今回の主役はキントキダイ。
色々な魚の画像を集め始めたのが25年2月の話で、可能な限りで、流通上珍しいものから撮影をしている。
今回もその一環での購入となります。
キントキダイは外見はどれも似ているように見えますが、よ〜く観察すると違いが分かってきます。
キントキダイは他の同科魚類に比べて黄色い斑点があり、体色の赤みがやや薄い。
最も流通量の多いチカメキントキの特徴さえ覚えておけば、他のキントキダイ科魚類を選んで買うことも出来るので、色々な種類を探したい!という方はまずチカメキントキを覚えると、この個体なにかおかしいな?と気が付けます。
さて、産地は分からないものの、触って張りがあり厚く、持つとずっしりしている。
ただ欲しい魚種だから買ってきただけとは思えない程に良い個体を引き当てました。
本種は肝の膨らむ魚で、そういった種類は比較的肝に脂が多く含まれる為、身の脂は薄いなんてのことも多い。
しかしこの個体は想像以上の脂が感じられ驚きます。
これまで食べてきたキントキダイ科魚類の中でもトップクラス。
生食はカルパッチョにのみ、半身は焼いて食べる予定でしたが、米を炊いてつけてみることにします。
キントキダイの料理
キントキダイと水菜のカルパッチョ
まずはカルパッチョから。
旬のボイルした水菜と、レッドアーリーを包むようにキントキダイの切身をのせ、ソースはフレッシュトマトと新玉ねぎの手作りのものを容易。
仕上げに粗挽きにした黒胡椒とバジルを添えて完成です。
他のキントキダイ科はゴリッとした身の硬さがありますが、こちらはしとっと柔らかく、水分量も丁度いい。
脂のあるキントキダイは身に甘みがあり、これとさっと湯通しした水菜のシャキッと感、添えたトマトと新玉ねぎのソースの酸味、辛味がいい具合にキントキダイの甘さとマッチする。
ここにハーブ、黒胡椒の香りなどが加わって一体感が出てくる。というような構造になります。
本当はもっとあっさりとした身を想像していたので、思い描いたものとは異なりましたが、しっかり魚が主役なカルパッチョとなりました。
キントキダイの握り
残り半身は焼いたり煮たりしようなんて考えていましたが、思いもよらぬ質の良さと脂の様子から気になり握りに。
キントキダイ科の魚は身がやや硬く、味も素直すぎるものが多いため、寿司にしても主役級とはなりにくいネタです。
カルパッチョはソースやハーブ類などで風味等は隠され目立たないものとなりますが、寿司は素直に味わえます。
さて、今回のキントキダイはどうだろうか。
程よいコリッとした食感があり、次第に脂で柔らかい身が溶けていく。
するとシャリと馴染み出して、味が深まる。
結論として、白身ネタを通り越し、寿司として完成度が高い1貫だ。と唸る。
本当にこれがまとまって揚がる魚であれば、より高値がついたって需要はあるだろうし、寿司屋などに特に好まれる魚になると思う。更には名前も素晴らしいときた。
これはこの時期だから、なのか、通年を通して一定の味があるのかは、また根気強く探し回る他無いでしょう。
つけたのは2貫。これを噛みしめるようにしてしっかり味わいました。
キントキダイの天ぷら
キントキダイは刺身などで切って残った端材を細く切り、これを天ぷらにしてみる。
やはり火が通るとまた異なる味の広がり方を見せます。
より白身らしくなったというか、魚の味が強まり、個性がハッキリしている。
今回火を通して食べたのがこの天ぷらだけというのが何とも勿体ない、というかもっと色々食べてみたかったと強く思います。
キントキダイの評価
価格 ・・☆☆☆
コスパ ・☆☆☆☆
珍しさ ・・・☆☆
味わい ・☆☆☆☆
・価格
キントキダイ科は、流通量の多いチカメキントキ含め、近年安定して高い気がする。
・コスパ
歩留まりは普通。チカメキントキより体が細く、頭部も控えめなので
・珍しさ
キントキダイは珍しくはないものの、チカメキントキのようにまとまって獲れない事もあり、流通の場ではなかなか見かけない。タイミングと運にかかってくる魚。
・味
キントキダイ科は総じて味がいい。本個体は特にその中でもトップクラスだった。種類も大きさもまばらに食べていた魚であり、本種の時期というのはあまり分かっていない。もしかすると春が美味しい時期なのかも。
キントキダイは人生で2個体目。
初めて手元にやってきたものはかなり小型だったため、今回のものでやっと味が分かった。という事になります。
それにしてもあまりに美味しすぎる魚で"驚き・桃の木・ヒラスズキ"、です。
本種も今後は見つけたら買うべき魚となりそうです。

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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