超巨大魚シイラはポテンシャルを秘めた未利用魚!?

こんにちは!

普段はほぼ毎日捌いていますが、今回は2週間ぶりに魚を捌きました。それもインパクトのあるすごいやつ(笑)

今回はこちらをご紹介したいと思います!

 

 

ド派手な巨大魚シイラ

今回ご紹介するのはこちら!

ドドン!と巨大なシイラでございます!

全長110センチ、重さは6,5キロあるという巨大っぷり!お店の人も、買っていくの?なんて驚いていました。笑

 

購入させて頂いたのは新潟県佐渡島産、御徒町駅前にある吉池さんといういつもお世話になっている魚屋さんです。

 

こちらを電車で運び自宅まで…。笑

幸いにも祝日だったので人はまばらで持ち帰りはそこまで大変ではありませんでした。

 

今回のシイラは雄の個体です。シイラはおでこの出っ張りで雌雄を見分ける事ができます。

因みに雌個体はこちら

雄は出っ張りがあるのに対し、こちらは丸みのある可愛らしい顔をしています。

体色も雄の方がハッキリとした黄色をしています。雌も生時は綺麗な見た目をしていますが、雄の方がより鮮やかに思えます。

 

 

シイラは、もはや”捌く”ではなく”解体”!?

それでは捌いていきましょー!

…まな板に、乗らないっ!!

そりゃそうか!笑

 

まな板の大きさを把握していない訳ではありませんが、想像以上の大きさでした。笑

なのでまな板に乗る部分からサクサクとコンパクトにしていきます。

 

この時気をつけたいのが体表の汚れ。シイラは雑菌が特に多いといいます。加熱向きはもちろんですが、特に生食にする際には汚れたまな板や皮の表面に付かないよう気をつけましょう。

どの魚もですけどね!!

 

そして巨大魚の醍醐味はやっぱり胃の内容物。思いがけないものを食べていたり、どっさりと魚が出てくることだってあります。

今回はマアジが3匹のみでしたが、口の中にいた1匹は噛まれたのか体がスパッと裂けていました。シイラの歯、恐るべし。

内容物も確認したので捌いていきましょう。まずは肛門から腹鰭にかけて刃を入れて内蔵が見える状態にします。

 

 

カマが付いた状態で頭に切れ込みをいれて、背骨を断ち切ると頭ごと内蔵が外れます。

落とした頭がこちら。これだけでも1キロ以上は余裕でありそうです。こちらは頭肉とカマを外すので、まな板を綺麗にするまで隅っこに置いておきます。

 

続いては身のほうをスルスル~っと普通の魚同様に捌けば下処理は完了!

 

この際も身に汚れたものが付かないよう気をつけましょう。包丁もこまめに洗い流します。

ここ数日間魚を捌いていなかった為、とても捌き応えがありました。

 

こちらを皮を引いて切り身にしていきます。切り身になったものがこちら。

どっさりと山盛りです。笑

これでしばらくはおかずに困りませんね。因みに画像×4皿分ほどあります。

今回の記事はフルコースでいきましょう!

 

背節と腹節の1ブロックだけ生食用にサク取りしました。

非常に脂が乗っていて美味しそうな見た目をしています😋

こちらは握りとお刺身で頂きましょう。

 

続いてはカマの処理。

先ほど落とした頭からカマを外します。この時、鰭はハサミで切り落とします。

こちらに塩を振り水気をしっかり拭き取れば下処理は完成!

塩焼きにしていきます。

 

あとは切り身にしてあるので…

フライやムニエルにも早変わり。

 

切り身にしておくと調理の手間が省けていいですね。

それではフルコースの方、ご紹介していきます!

 

 

カラフルな巨大魚シイラの味は如何に…

まずは純粋に生から。刺身と握りのご紹介です。

お刺身

腹の脂のあるところを薄く切りつけました。塩とすだちで頂きます。

 

非常に美味!上品ですが、あっさりとし過ぎず脂の甘味もほんのり感じられます。

塩とすだちによって、さらに引き立てられて美味い!

 

握り

続いては握りを。

生のものをわさびで握ったものと、塩を振って炙ったものにすだちをかけて頂きます。

まずはそのまま握ったものを…。

 

うまい!

 

いや、これはうまい。先ほどのお刺身で記述したほんのりとした甘味に加え、口に入れるとトロけます。

 

さて、これを炙るとどうなるのか…

炙りは他の部位よりも脂の乗った腹の部分を使っております。

 

ううーん。思った程じゃないかな。

でもすだちの爽やかな酸味と香ばしい香りは炙り握りとしては合格。

 

まあ、食べ物は揚げれば美味いって感じで寿司も炙れば大体は美味いと思いますが…笑

ただ思ったよりも脂が引き立たなかったな。やはり南方系の回遊魚だなと思います。

 

カマの塩焼き

続いてはカマの塩焼き頂きましょう。ここまでの大型魚は久しぶりなので、食べ応えがありそうで楽しみです。

豪快に丸々焼いていきます。薄めに塩を振り、焼き上がりにネギとポン酢をかけて完成!

では頂きます。

 

うんうん。とってもジューシーで旨味が出てくる。そして食感もプリプリでこれはもうチキンだね。

 

ハーブ類で味付けしてホワイトソースなんかかけてクリスマスに欲しいかも知れない。笑

グラム60円、チキンより安いので今年のクリスマスはシイラのカマで決まりだね!

 

生で食べるよりも焼いて引き立つ脂を持つ魚です。

 

 

そうと分かれば…

 

一夜干し、みりん干し大量生産~(笑)

焼くとうまい、そうとなれば干して更に旨味を凝縮!これは絶対うまい筈!

 

まずは一夜干しを。塩を一度振り、15分ほど水分を出してからふき取り、再度塩をして一晩冷蔵庫でラップをせずに干します。

 

口へ入れるとホロッと繊維がほぐれ、強い旨味の混じったじゅんわりとした脂がやってきます。

これは想像以上だった。。(笑)

本当に美味い。産地の加工工場でお土産用にこれ作っておつまみにでもおかずにでも売れば人気出ると思います。

 

シイラはまとまって獲れる魚ですが、未利用魚とされている所もちらほら…。皮に雑菌が多いという理由でなかなか好まれていませんが、身質はかなり上質なのでどんどん普及して欲しいところです。

 

 

みりん干しはどうかと言うと…

こちらももちろん美味い!

一夜干しに醤油の辛味とみりんのコクが足されて旨味がプラス!こちらも間違いなく旨いです。

 

一夜干しと似ていてしっかりと違いを楽しめる。こんなセット売ってたら面白いなぁ。

 

 

まとめ

今回は南方のカラフルな巨大魚、シイラを捌いて調理しました!6,5キロ、1メートル以上のとても大きな巨体で、捌いていてもとても手応えがあり面白かったです。

 

南の海では馴染みのある、何にでもなる美味しい白身魚として人気がありますが、北上に伴い未利用とされる地域は多いように感じます。

「網にかかるけど食べ方が分からない…。」

「たくさん獲れるけど売値が付かない。」

等々。私自身も現場の声を直接聞いたことがあります。

 

資源量やフードロスの問題が注目されるようになっている昨今、こういった未利用魚にも注目してみては如何でしょうか。

こんなに美味しいんだ!ときっと驚かれるかと思います。

 

毒が無ければ殆どの魚は適正な処理、調理を行えば美味しく食べられると私は考えます。近年の魚食離れなんてよく耳にするかと思いますが、お肉などに比べるとやはり高く感じてしまいますよね。

しかし、そういった中にこの未利用魚が登場するとどうでしょう。

安いけど美味しい。それに捨ててしまっていた魚に価値が付き、漁師さんの収入にもなりフードロスを防げる。

一般的に大衆魚とされているよく食べられている魚の代用に出来れば、特定の魚種の乱獲を防ぐ事に繋がる。

これは私のとても単純な思想ですが、実現は可能だと思います。

 

そのために私は様々な魚種を食べ、美味しい食べ方、適正な調理法を模索し広めていければと考えています。

 

もしシイラとよく食べるマアジの生態が逆だとどうでしょう。シイラはスーパーでも普通に並んでいる魚で全国的にも人気な魚です。一方でマアジは近年南から北上し、よく獲れるが調理法が不明、そして食べる習慣がなく、値段も付かない為捨てられてしまっています。

どうでしょう、とても勿体ないと感じませんか?

 

つまり今現在、本当は美味しいのに未利用魚として扱われていない魚が食べられずに捨てられてしまっている可能性があるのです。

もちろんどんな魚にも命があるので、美味しいから食べる、美味しくないから捨てる。といった考え方はよくありません。

しかし少しでも多くの魚を救う為にまず始められる事は美味しい未利用魚を食べてみよう。という事だと思います。

 

最初から調理法が合わず美味しくない魚を食べてしまったら、、

きっともう魚を食べたいとは思わないでしょう。

 

ならば、美味しい未利用魚を食べてもらい、再度命のありがたみと魚食の奥深さを感じて貰えると魚も私も幸いです。

長くなってしまいましたが今回はここまで!

 

命に、漁師さんに感謝🙏

 

※本記事は、サテライトライターさんの記事になります。

ライター紹介

サテライトライター:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします!
Twitter: @YUMEUMI27
ブログ: 夢海のまったり魚日記

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