生食NG!?本来は加熱向きの魚、クロガシラガレイを生で食べてみた

こんにちは!夢海です🐟️

 

世の中には2万5千種類以上、日本には4500種類以上の魚がいますが、当然そこまで多岐に渡る魚類は特性も異なってきます。

特性や生態が異なると筋肉の作りも違うし水分を含む量も異なります。

 

漁獲される地域によっても、漁法や締め方も異なりますし、そうなると食にも結びついてきて、食べ方の向き不向きというものも現れてくるもの。

スーパーで見かける“生食用“と“加熱用“。身近で感じられる身の特性というと一番イメージし易いのがこの表記でしょう。

 

ざっくりとした魚種で見ていくと、

「この魚はお刺身で出ることが多い。」「この魚は加熱調理向き以外で見たことがないぞ。」

そういう傾向が見えてくると思います。

 

そんな分類分けをしていくと、加熱向きの「カレイ、黒かれい」と表記されている魚が登場します。

 

 

しかし今回は面白いことに「生食向き」として詠っているもの。

これは買わねばとの勢いで大きめのところを1枚購入。

 

ひじょ~に立派な個体!

少し前に捌いたオヒョウに比べ、体高のある種類なので、座布団とは呼べないけれど枕とは呼べそうな大きさです。

 

それではすみずみまでしっかり観察して調理しましょう!

 

 

クロガシラガレイの特徴

 

先ほどスーパーの商品名を例にあげた“黒がれい“。

今回の種類は標準和名を「クロガシラガレイ」といいます。

しかし「クロガレイ」という和名のカレイも存在し、クロガシラガレイとは見た目もそっくりです。

同じ海域、漁法で混ざって漁獲される事が多く、一般に出回る“黒がれい“の中には2種類混在している場合があります。

同じスーパー、同じ日に同じ商品名で並びあってる“黒がれい“の切り身が実は違う種類というパターンがあるという事です。

 

「何を意味の分からないことを言っているんだ。」なんて声も聞こえてきそうですが、顕微鏡で見なければ種類がわからな

食べた魚種をカウントする事で知られる(?)私にとっては、当然妥協が出来ないポイント。

 

まずはクロガレイと今回の主役のクロガシラガレイの見分け方から紹介していきましょう。

 

まずは裏面にします。

こんな一面真っ白な裏側で果たして比較できる場所があるのか、そんなようにも思えてしまいますが、

側線とよばれる周りの水の流れなどを読み取る感覚のセンサーの役割をするもの。

この線の曲がり方でわかります。

曲がりが急な方がクロガシラガレイ、ゆるやかにカーブする方がクロガレイと見分けることができます。

 

↑クロガシラガレイ

 

↑クロガレイ

 

そして面白いのが口の向き。

まずカレイやヒラメは目が片側に寄り、表面・裏面とされることがあります。(用語としては有眼側、無眼側と呼びます。)

 

このうち、泳ぎ回り海底に生息する生き物を補食するカレイは裏面に伸びます。

 

正面から見るとこのように偏っていることが分かります。

 

↑クロガシラガレイ

 

一方で待ち伏せをして頭上を通り過ぎる獲物を捕食するヒラメは、通常の魚のように片側に寄らず中心に付いています。

 

↑ヒラメ

似ていて異なる特徴を持っているヒラメとカレイの紹介でした。

 

それではクロガシラガレイを5枚に卸しましょう。

 

このぶりぶり感!

 

そして立派なエンガワ!

まるで大ヒラメでも捌いてるような身質。

やや薄い血合いの色や触った時のふんわりとした弾力なんかもヒラメと瓜二つ。

エンガワはクロガシラガレイの方が大きく感じます。

それでは美味しく頂きましょう✨

 

 

クロガシラガレイの料理

クロガシラガレイの刺身

生で薦められてはいるのだから生で食べないのは失礼だと言うことでこれは外せません。

通常は加熱して食べることの多い本種を少しビクビクしながらも、卸した身を見ていたら「これは刺身で食うべきだ」と気分も方向転換。

 

雄節をひとつ薄く切りつけ、縁側を添えて盛り付けてみました。

カレイは柑橘との相性もいいので安かった国産レモンを添えて。

 

まずは縁側から頂きましょう。

この魚でよく見るサイズである800グラム前後の個体では十分に楽しめない程度しかない縁側。

ここまで大きいと寿司ネタにも出来る大きさの縁側がしっかり入っています。

脂ノリも抜群。

回転寿司で出てくるエンガワほど脂が濃くないもののその分食べやすく、コリッとした食感も生ならでは。

レモンとの相性が非常によく、

お酒もレモンサワーが合いそうです🍋

 

身も反発してくる肉質をしており、やや水っぽいと感じたものの、そこまで気になりません。

皮目にほんのりと脂は感じられるものの、旨味は少なく醤油味の刺身を食べてる感じ。

とはいえ食感は良いのでこれもうまい!

さすがに夏場のマコガレイのような繊細な旨味は感じられず、旨味がとどまらずふわ~っと広がって消えていきます。

 

クロガシラガレイの握り

昆布で締めたものを握ろうか、なんて考えていましたが昆布を切らしていたため、ゆず皮を添えてサッパリ系の握りにしてみました。

 

刺身より寿司にしたほうが美味しいかも!?

ふわふわとした身が活〆のタイのようにも感じられます。

お寿司屋さんで「活〆まだい」として提供されるもの、これは大体当日の朝に締めた鮮度抜群のものである事が多く、ふわっとした食感が特徴です。

 

このクロガシラガレイは漁獲から3日以上は経ってるであろうものですが、鮮度感が逆戻り。

シャリがあるためか、寿司だとより食感が際立ちます。

厚切りにしたのもいいのかも。

刺身よりも甘味も感じられこの魚の真価が発揮された気がします。

 

クロガシラガレイの味噌煮

カレイの煮付けというと醤油で味付けをするのが関東では一般的。

しかし福島~岩手など、三陸にゆくと魚の煮付けは魚種問わずに味噌で味付けすることが多いのだそう。

クロガシラガレイはあまり漁獲されないものの、カレイの種類が豊富な三陸に習って味噌にしてみました。

純白な旨さのクロガシラガレイに味噌の甘味は確かによく合います。

 

旨味の相乗効果のようなサバの味噌煮とはまた違う旨さです。

今回のクロガシラガレイのように、たんぱくな味わいであれば、味噌をかえるだけで面白さも深まりそうです。

ちなみに写真の煮付けは半身分、つまり裏側にあたる身がない状態でこの厚みです。

次こんな分厚いカレイの煮付けが食べる機会はなかなかなさそうです!笑

 

クロガシラガレイ鍋

皮ごとぶつ切りにしたカレイを湯引きにして臭みを抜き、醤油のダシ汁でコトコトと野菜と煮込みました。

カツオ出汁の香りと野菜の優しいまろやかな甘味が主役のカレイをより着飾らせます。

 

そしてやはりふわっと軽やかな口当たり。

身に厚みがあるのでカレイとは思えません。

皮目に旨味の層があり、腹身になると脂の甘味も感じられます。

カレイもしっかりと個性を持っており完成度が高いです。

 

 

クロガシラガレイの評価

 

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・・☆☆☆

 

価格

・多く漁獲されるため決して高い魚ではない。刺身で食べられると唄われていても今回のものは特別高いわけではなかった。

 

コスパ

・肉厚で歩留まりはよい。小型のものであれば骨や鰭も揚げて食べられる。

 

珍しさ

・スーパーでも並ぶ。しかし切り身の状態であればクロガレイとクロガシラガレイの見分けは付きにくく、クロガシラガレイを確認した上で購入するとなるとやや難易度が上がる。

 

・刺身としても優秀、火を通してもふんわり仕上がり扱いやすい質感。

 

今回は一般的に加熱用として扱われるカレイ、クロガシラガレイをお刺身で堪能しました。

おそらく産地でもそう食べるものではないのかなと。

だからと言って、加熱用で売られているものは生で食べてはいけません。

寄生虫やその他の理由で加熱調理向きとして並んでいるので、表記通りの食べ方をしてください。

もし、生で食べられるとして置いてあるものがあれば食べてみて下さいね!

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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