まさにチダイの怪物!巨大なチダイの脂がすごい!
皆さんこんにちは!夢海です🐟️
今日はスーパーハイクオリティなお魚をお届けしますっ!
ゲームでいうとSSR…いや、URくらいのレアリティの魚をゲットしたので美味しく食べていくよっ!
目次
チダイの特徴
今回の魚はチダイ。
チダイというと300グラムほどのものが多く出回ります。
1キロ前後あれば大きいかなといった具合。
春先には「花鯛」とよばれ、酢で締めたものを寿司に使ったりされるような魚です。
今回のチダイは愛媛県宇和島からやってきた個体。
情報によると、確かにチダイとは書かれているものの、サイズがどうも不自然。
3尾入った箱で、なんと4.6キロあるのだと言います。
「またまた、マダイと間違えたな。どれ見てやろう。」
なんて考え安易な気持ちで箱を開けるとびっくり。
確かにチダイですわこれ…
見たこともないサイズに一瞬フリーズ。
幾ら見ても、鰓蓋は赤く背鰭も長い。そこにいるのは紛れもないチダイ。
水産業者の方でもこのサイズは見たことある方は少ないのでは…
私自身、水産業に携わりかれこれ四年目ですが初めて見る大きさです。
まな板にドォーーン!
マダイに比べ体高がある魚なので、より迫力を感じます。
やや顔つきは凛々しくなっていますが、意外とサイズが大きいだけのような印象ですね。
ちなみに重さはというと…
1745グラム!
「1745グラムのチダイ」
声に出して言いたい言葉ですね!!
一般的に養殖されているマダイの出荷サイズも1.5~2.0キロのものが多く、まさにその規格に当てはまる大きさ!
全長も41cmありました。
ここでまず疑うのが養殖でないのか。
宇和島というとマダイの養殖が盛んな街。
生け簀に入ってしまったものを送ってきたのではないかと疑いました。
そんな時は魚体の日焼けや鰭の欠損を見ていきます。
まず腹鰭。
体の割に小さい気がしますが、欠損は見られません。
臀鰭はどうでしょう。
こちらも小さいものの、齧られたような跡は見受けられませんね。
遊泳力が落ちる養殖では尾鰭が丸くなる傾向があります。
しかしこちらもしっかりと先端はシュッとしている…。
背鰭にも養殖らしい痕跡は見られません。
そもそもチダイを養殖するという話も聞いたことがありませんし…
君…天然物だねっ!?(産地も天然として出してる)
となると考えられる要因はこれまた養殖ではあるものの、天然物の場合で考えられる要因。
海上の養殖は当然ビニールや袋で覆っているわけでなく、全面を網で覆っています。
そこに餌を投入すると当然食べ残しが発生して、それは下の海底へと沈んでいきます。
それを食べて育つ、半分養殖のような天然魚が現れるという訳です。
実際に魚種問わず愛媛近海、特に宇和島の魚はこれまでもマアジやヘダイなど、太っている個体をいくらでも見てきました。
内臓を取り出すと脂肪の塊。そしてやや黒くなった肝が出てきました。
胃の内容物はカニの甲羅が1尾分出てきただけ。
餌もしっかり天然のものを食べている…うーん。
そしてもう一つ疑問に思っていたものが産卵期について。
本来チダイは秋に産卵する事が知られており、この時期は旬とは真逆の季節。
他の魚種に比べ落差は殆どないものの、卵巣や精巣に栄養を使い身は痩せる季節。
花鯛として喜ばれるのはマダイの産卵期である春に、こちらのチダイは旬を迎えるためでもあります。
しかしこの個体の生殖巣はどうでしょう。
この個体は雌でした。卵巣を探し出し観察しましたが…
太くもなく細くもない。
産卵直後には思えないし、産卵期とも思えません。
とうなってるんだここのチダイは!!
まあ専門家でもないのであくまで記録だけを取り、気になる身の方を見ていきましょう。
体高があるので慎重に3枚に降ろしていきます。
腹骨をすき取ると驚きました。
身が白いっ!!
そして何よりもこの腹のところ!
まっっっしろ!!
まさしく大トロです。
チダイの大トロ、聞き慣れないワードに思わず笑ってしまいそう。
ほかの部位と比べても明らかに白いです。
皮を引いてみました。
脂でツルツルするため非常に引きやすかったです。
裏側からみても腹の周りの薄い身が白いことがよく分かります。
チダイの料理
チダイの刺身
まずは刺身から。
背のカミ(頭に近いところ)を試食程度にスライス。
わさび醤油で頂きます。
身は半透明であるものの脂がしっかりあります。
とはいえ背中の身だからか想像していたほどギトギトしていません。
逆に程よい脂で食べやすいほど。
脂が濃くてもすぐ飽きてしまうからね…。これくらいでいいんだ。
チダイの握り5種盛り(・大トロ炙り・タイ大トロ・背身・炙り・湯引き)
続いては豪華に5種類、切り身を用意して握ってみました。
左より大トロ炙り、大トロ、白身、炙り、湯引きの順です。
たった1尾の、しかもそれもチダイでこれだけ種類の違う身が取れるのは驚きです。
大トロの炙りから頂きましょう。
一番脂ののった、真っ白なお腹の身を炙るとバチバチバチと音を立てて脂がじゅわじゅわ溢れます。
脂が多く、炙ると抜け落ち身が縮んでしまいました。
塩をしているのでこのまま醤油を付けずに頂きます。
これはうまい!!!
白身という枠を軽く越えてしまっています。
ガツンとヘビー級パンチを一発目にもらい、強い香りと共にとろけていきます。
続いては炙らずわさびのみで素直につけた大トロ。
炙っていない分こちらは食感がやや残り、脂の重みも変わってきます。
脂の味に負けてしまい、魚の旨味が感じられません。
ほぼ牛脂を食べているようなものなのか、脂が濃すぎて一貫でお腹いっぱいに。
炙ったものの方がうまいな。
チダイの白身
これは背中の刺身で使った部位と同じもの。
脂が控えめで、こちらは旨味とのバランスが見事に取れています。(控えめといっても十分過ぎる脂のりですが。。)
養殖臭さはないものの、養殖マダイのような脂でコーティングされているようなしっとりした質感。
柔らかく、シャリとほぐれあい馴染むのがこの握りのポイントの高いところ。
チダイの炙り
皮目を炙りあら熱をとったものを切りつけたもの。
やや厚めに切ったため、皮の部分がほんの僅かでも十分に香ばしくうまいものです。
塩を振っているため、味付けはレモン果汁のみで。
厚切りにしたのが正解で、甘い身の脂とシャリがとてもよく馴染みます。
皮の厚さがある魚で、炙ってなおプリっとしたコラーゲンの層が食感のいいアクセントとなり面白みを増幅させます。
腹まわりを除く部位では皮目が最も脂が強く、やはり“皮目を活かす“のが正解なのかも知れません。
と言うことでタイの定番湯引きを…という訳なのですが、
何故だか湯引きは単体写真を取り損ねてしまいました。
ちなみに一番美味しいと感じたのはこの湯引き。
余計な脂が流れ落ち、甘さと旨味が強調されています。
炙りに比べハッキリとした皮目の食感。
これはポン酢を垂らしてみても美味しいかも知れません。
真鯛にも似ますが、エサ由来の特有の養殖臭さがこちらにはなく、スッキリとした香りをしている印象です。
非常にバランスが取れていて、天然の白身魚としてはトップクラスに美味いものでした。
チダイの塩焼き
脂のある魚は焼いてうまい!
このチダイは塩焼きにして大正解でした。
脂で揚げ焼きのようになった皮はパリッと食感で、身がとてもジューシー。
焼くことで程よく脂が滴り落ち、レモン果汁なんかかけてあげると旨味ありさっぱりジューシーで非常に美味しいものです。
数年前まで脂ののった刺身が美味かったのに、焼いた方がおいしく感じてしまうのは年なのかな…(現23歳)
チダイ鍋
皮付きの身を適当な大きさにカットし、チダイのあら骨で取った出汁に醤油で味を整えました。
サラサラな脂が汁の表面をコーティングし、うまい出汁の香りと共にスルスルと口へ入ってきます。
魚の脂(油)は本当に飲みやすく、肉のようなギトギト感がありません。
一度冷ますと臭みへと変わってしまいそうなので一度で頂こうと思います。
身に含んでいた脂が汁へと移りサラサラに。身には旨味が取り残されています。
たっぷりの野菜が臭みをカバーし、あの脂っこさはなくなり大型のタラ類のようなホクホクとした触覚。旨味はどこか青魚らしいものも感じます。
チダイの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・・・☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・相場は基本的に安い魚。しかしマダイの小型のもの、小鯛の代替えにも出来る為、マダイがない時には高くなる。
コスパ
・一般的なタイと同じほどの歩留まり(約40%前後)。
珍しさ
・種類としてはよく見かける魚の一つ。スーパーなどにも本種が並ぶ事は多い。今回の大きさの、というより1キロを越えてくるような個体は滅多に見られないため買うべし。
味
・今回のチダイをスポット的に評価してしまうにはあまりに平均値からかけ離れているが、それぞれ違った良さがある。今回のものは少々脂が強すぎるものの、魚としてトップクラス。ノドグロ(赤むつ)にも匹敵するものだと思う。
というわけで今回は巨大な脂ノリノリチダイを食べてみました。
“百聞は一見にしかず“、ならぬ “百聞は一食にしかず“
味というものは百回聞こうと分からないものですからね。
種類としては食べたことがあっても、見たことのない大きさのものや聞いたことのない産地のものはどうしたって食べておきたいものです。
本当にいい買い物が出来ました。
副管理人:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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