海のお月様!ミカヅキツバメウオ食べてみた

こんにちは!夢海です🐟️

本日の魚は採集界隈の方には有名な魚ではないでしょうか。

子供の頃は○○○に擬態する面白い魚を食べてご紹介していきます!

 

 

ミカヅキツバメウオの特徴

今回ご紹介する魚はミカヅキツバメウオ。

きっと採集されている方でも珍しい成魚を入手しました。

 

かなり体高があり、迫力のある体つきをしています。

今回のミカヅキツバメウオは鹿児島県坊ノ岬産。

購入先は毎度おなじみ御徒町の吉池さんです。

キロあたり¥2000で3キロの大物でした。

全長は39cm、一番高いところで全高30cmもあり、非常に体高のある魚です。

 

ツバメウオという魚は比較的流通量があり、本種よりも見やすいですがこのミカヅキツバメウオの成魚はなかなか見かけません。

私自身、鮮魚で入荷しているのは初めて見ました。

 

幼魚は枯れ葉に擬態しており、海流に乗り太平洋側の沿岸に着岸します。

 

画像はryuさんよりお借りしました。

この幼魚の姿が三日月型ということでミカヅキツバメウオ。成魚はどちらかと言うと満月に見えますね(笑)

 

胸鰭は体に対して小さいです。

 

泳いでいる姿を観察していてもあまり使っている様子は見られませんでした。

通常のツバメウオはこの胸鰭の下に黒い斑点があり、見分けるポイントの1つになっています。

 

臀鰭、背鰭は似たような形をしており、まるで同じものを反転させてくっつけたような印象。

 

由来の方ですが、過去にツバメウオはツバクロと呼ばれていました。ツバクロとはツバメの古い呼び名のようなものです。

ツバメのように漂うだとか、黒い幼魚の姿がツバメに似ているだとか様々な由来を耳にします。

あくまで憶測になりますが、私としてはこの腹鰭からきているものと思われます。

 

広げるとツバメの翼のようです。

これが2枚ある訳ですから、鳥に例えられても不思議ではありません。

 

顔つきは丸く、歯は細かなブラシ状をしています。

このミカヅキツバメウオが属するマンジュウダイ科は、ニザダイ亜目に属しており、同様にニザダイ亜目に属しているニザダイ、アイゴなども似た歯の特徴を持ちます。

 

 

ミカヅキツバメウオの捌き方・調理

それでは調理していきましょう。

 

まずは鱗を落とします。

触った感じは鱗が隙間なくビチッと詰まっていますが、意外にもあっさり剥がれやすく、簡単に剥げます。

 

内臓は、腹鰭周りの骨格を無駄に切りたくなかったので片身を取ってから取り除きます。

内臓はこのように収まっていました。

骨に近いところの空洞、これは浮き袋です。浮き袋が大きく発達しており、黄色い卵もちょうど抱えている時期らしくかなり窮屈に詰まっています。

 

そして卵の左隣にあるのが胃袋。

 

藻類がパンパンに詰まっており、特有の発酵臭がします。

水の混じったタバコの吸い殻のようなニオイ。

タバコが苦手な者として少々キツい。

 

卵は大きく発達しており、食べ応えはありそうですが冷凍保存しておきます。

 

肝もそこそこ。

シガテラなどの毒も100%ないと保証が出来ないので今回は頂かない事にします。

 

内臓を取って洗いました。

全てが縦にデカい!

捌いてみても面白い魚です。

 

剥がした半身はこんな感じ。

エンガワが大きく発達していますね。

 

身は半透明と言えるでしょうがどこか黒っぽい濁った感じ。

 

皮を引いてみました。

血合いが濃くコントラストがハッキリとしているタイプ。

エンガワは鰭の付け根に発達するので、ヒラメのように頭部まであるのではなく、頭頂部で途切れています。

 

さわった感じは水分が少なめですがしっとりとしています。

純粋な身の固さがあり、パサパサせずに加熱調理に向く身質です。

それでは実食!

 

 

ミカヅキツバメウオの料理

ミカヅキツバメウオの刺身

まずは刺身から!

エンガワと身の両方を頂きます。

念のため内臓から遠い背中側を使います。

 

食感はコリッと硬めで、特に皮目はとても硬いです。

身質で言うとコショウダイなどに近い様子です。

 

そして味の方は…

なんだか変な香りがする。

内臓の海藻のようなにおいが身に回ってしまっているようです。

例えるなら煙草の臭いを含んだセーターのようなにおい。

 

味自体は普通なのですが、香りがとても美味しくないです。

船上で腹抜きをすれば改善はされそう。

特に内容物の多い個体だったので、仕方ない気もします。

 

えんがわの方も同様の香りがします。

食感はコリコリといい歯ごたえで、ヒラメやカレイ類のえんがわほど脂のない印象。

無理に生で食べなくてもいいかなといった印象でした。

 

ミカヅキツバメウオの天ぷら(身とえんがわ)

続いては天ぷら。

身と大きいえんがわを部位別で食べ比べてみます。

 

こちらはにおいが消えており、ふんわり食感の白身魚として楽しめます。

旨味も薄く淡白ではありますが、加熱向きである事は間違いなし。

硬く感じた身もふっくら柔らかくなります。

 

こちらのエンガワは、身よりもさらに柔らかく溶けていく食感。

脂がすごいです。そして甘味も感じられる。

加熱してやっとエンガワらしい脂を感じられました。

 

 

ミカヅキツバメウオの塩焼き

続いては塩焼き。

皮は厚く硬い為包丁を入れてあげないと丸まってしまうタイプです。

 

やや海藻由来の独特な風味があるものの、臭すぎない程度。

エンガワもふわふわで美味いです。

脂は見た目ほど乗っていなかったらしく、思った以上に淡白。

それでもボソボソせずまあまあな味わいでした。

 

ミカヅキツバメウオの煮付け

続いては煮付けに。

こちらは皮が丸まらないよう、不格好ですが包丁を入れてみました。

 

こちらもふっくら食感の身が楽しめます。

が、個人的に美味いと感じたのは皮のほう。

厚みがあるのでもちっとした食感が楽しめます。

単体でもいいし、身と合わせてコントラストを堪能しても良し。

 

ミカヅキツバメウオの握り

最後は握りに。

日持ちする身質で、身も硬かった為少し寝かせてみました。

 

厚さも薄めに切りつけて握るとなんとも食べやすいネタになりました。

ショッコ(カンパチの若魚)の握りでも食べているんじゃないかといった印象で、さっぱりな味わいにしっとりとした食感がなんとも美味しいです。

 

 

ミカヅキツバメウオの評価

 

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・☆☆☆☆

珍しさ  ・☆☆☆☆

味わい  ・・☆☆☆

 

価格

・ツバメウオよりも大型だからか、やや高めでした。

 

コスパ

・まずまず。この見た目でも意外に厚みがあり、調理に合わせて様々なカットで対応し易い。

 

珍しさ

・5つ星とまではいかないがレアな魚。

 

・海藻臭さがあるので好みは分かれる。

・調理の幅は広く色々な調理法で美味しく食べられる。

 

今回は三日月のような魚、ミカヅキツバメウオを調理してみました。

珍しい魚がポンと置かれているとつい買ってしまいます(笑)

 

 

本記事は、サテライトライターさんの記事になります。

ライター紹介

サテライトライター:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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