ワニ型の珍魚!ワニゴチ

こんにちは!夢海です🐟️

今回は海の底に住むワニを入手したので美味しく頂いていきましょう!

 

 

ワニゴチの特徴

今回のお魚はワニゴチ。ぱっと見は本当にワニと見間違えてしまいそうな迫力です。

 

コチというと大型になるマゴチや、小物釣りで釣れるメゴチと呼ばれる魚などが思い浮かびますが、先に訂正しておきます。

 

まずマゴチとメゴチは仲間ではありません。

マゴチはコチ科、メゴチと呼ばれる魚は標準和名をネズミゴチといい、これはネズッポ科というグループに属します。

 

姿が似ている上、釣れる場所も同じような砂浜なので、よく仲間だと誤解されがちですが、骨格を見比べて見ると口の形などが異なる事がわかります。

 

↑コチ科イネゴチ

 

↑ネズッポ科セトヌメリ

 

今回の個体はかなり大きく、61cm1692gと、ワニゴチの中でもかなりの大きさです。

 

↑第二背鰭と臀鰭の切れ込みがコチっぽいですよね。(コチ科のここ大好き侍🤤)

 

背面

よく流通するマゴチやイネゴチなどに比べ顔が尖り、シャベルのような形をしています。

そしてなんといってもこのワニのようなシルエットがカッコいい!

 

目は虹彩皮膜とよばれる膜が瞳孔にかかり模様を描きます。

この虹彩皮膜は、特徴のよく似たコチ科魚類の同定に役立ちます。

 

頬に大きな皮弁があるのも特徴。

 

何かセンサーのような役割をしているのでしょうが、皮弁はどんな役割をしているのか、分かっていないものが多いです。

 

鰭は黄土色に茶色い斑が散らばります。

 

第一背鰭は棘が強く刺さると非常に痛みます。

 

第二背鰭、臀鰭は似た形状をしており、根元で繋がってはいるものの、軟条の先端は旗のようにヒラヒラとしています。

 

裏側は真っ白。

マゴチはひっくり返され、この状態で箱に詰められる事が多いのですが、何故だかワニゴチは背を表に箱詰めされています。

 

 

腹の1部がやや赤くなっており、打ち身をしているのが見て取れます。

野締めと考えられ、この傷は定置網のものと考えるのが妥当でしょう。

コチは透明な身が特徴ですが、このように腹が赤くなっている部分は身も赤くなってしまっていることが多いです。

美味しく食べられることに変わりはありませんが、刺身だと血なまぐさくなってしまう事もあるため加熱用で使ってみましょう。

 

柵はこのような感じ。

皮は丈夫なため引きやすく、薄皮も残しやすいです。

 

 

ワニゴチの料理

ワニゴチの握り

ワニゴチの体のちょうど中間、筋が強くならない身が綺麗なところを使いました。

 

わさびでつけたものに塩とすだちを搾りそのまま頂きます。

厚めに切ったものの、ふわっと軽く感じる身は朝〆のものの様にも思えます。

コチの仲間はたんぱくな旨味。特有の爽やかか酸味が微かにあり、これを引き立たせる為に塩を振るようなものだと思います。

 

ワニゴチのカルパッチョ

スライスしたワニゴチの刺身に塩胡椒、オリーブオイルとドレッシングをかけベビーリーフとミニトマトで彩りを出してみました。

薄すぎず厚すぎない厚さにカット。

 

クセがなくサッパリな上、もっちりな食感で、魚を食べ楽しむカルパッチョにはとても向く魚です。

 

ワニゴチの潮汁

背骨と体の3分の1はある大きな頭、そしてカマを鰹だしと塩で炊いたもの。

この魚のあらを使わねば物足りなさを感じる事でしょう。

 

カマや頭などの表面に当たる部位は霜降りをしてヌメリと鱗を落とします。

カマにぎっしり肉が詰まっており、これをほじりながら食べるのがまた美味い!

味噌汁も美味ですが、サッパリな味付けに合う魚なので潮汁がオススメです。

 

ワニゴチの煮付け

頭に近い部位、内蔵をくるむ肉の薄いところを使い、出てきた卵と肝を一緒に煮詰めます。

 

卵は粒が細か過ぎるというくらいに細かく、正直粒感が薄くカレイ類には劣ります。

しかし身に脂のない魚なだけあり肝の濃厚さは一級品。

 

煮汁に浮き上がるキラキラとした脂はこの肝から染み出たものというのは容易に想像ができます。

身もまた美味く、ふわっと軽く密度も低いので隙間から煮汁が染み込み馴染みが大変良いもの。

特に皮目に嫌みのない旨味があり、筋肉のふしがさらに細かくほどけて細かな繊維質の旨味が楽しめます。

 

ワニゴチの唐揚げ

メゴチなどのネズッポ科の天ぷらに対し、コチ科の魚は総じて唐揚げに向くものという考え。

加熱することで硬く締まる筋肉質な身に、たんぱくな味わいを補う漬けダレでいくらでも食べられる唐揚げになります。

 

繊細さを味わうよりも、その鶏肉のような質はガツガツと食べたいと思うのはまだまだ舌が若いからなのかも知れません。

特に尾鰭に近い部位は筋が多く口当たりが悪いため生食には向かないため、

体の細い部分をかき集め一口大に切り、たまり醤油にニンニクとおろし生姜のタレに30分ほど漬け込み、片栗粉をまぶして揚げました。

レモンが欲しくなる辛しょっぱい味付けにし、これをレモンサワーで流し込みます。

 

昼間から贅沢なひと時を迎えさせてくれたワニゴチに感謝しながら、巨大な個体を丸ごと食べきりました。

 

 

ワニゴチの評価

 

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・・☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・コチにしては安い分、野締めで出回ることが多い。

 

コスパ

・頭が大きく歩留まりが悪い。安い魚だからギリギリ☆2つ。

 

珍しさ

・探せば稀に入荷するため見かけたら入手するべき。これを狙うというよりも、幅広く狙っておき見かけたら買うといった方が根気強く探せる。また厄介なことに、比較的相模湾などの産地で見かけるイネゴチを「ワニゴチ」の呼び名で流通する事が多い為注意が必要。

 

・大変美味。クセがなく身質が良いため汎用性が高い。

 

今回はワニのような見た目の巨大コチ、ワニゴチを捌いて食べてみました。

非常に美味しい魚ですが、流通も稀に見かける程度で、いざ食べよう!と思っても、これを提供する飲食店はなかなか見つかるものではありません。

だからこそ珍魚は入手したときの達成感と、手元にやってくるのを待ちわびたぞ!という楽しさがあります。

 

ライター紹介

副管理人:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

 

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