ウメイロはまるで海のサファイア!?【梅雨に美味しい】

こんにちは!夢海です。

皆さんはどんなものを見て季節の移り変わりを感じますか?

私は無論魚です。これを食べなきゃ梅雨を明けられない!というとっておきの極上の白身魚を皆さんにご紹介します!

ウメイロの形態

今回の主役はこちら!

見る人が見れば分かってしまうかと思います。

鮮やかな青いボディに山吹色の尾鰭、どこか梅の色を感じた方が名付けた魚、その名もウメイロです。

とても風情ある名前で、魚の標準和名でもかなり上位に来るほど格好のいい魚だと思います。

 

梅の色か?と聞かれてしまうとなんとも微妙なところではありますが、それも梅の果実が実るこの5~6月頃が旬のお魚でもあるからです。

確かに、黄色い尾鰭は熟した梅の身にも見えます。

 

このウメイロ、仲間としてはフエダイという魚のグループに属しています。

フエダイというと大きな口が出っ張り、おでこがシュッとしたフォルムの魚が多いのですが、このウメイロは丸い頭をしています。このウメイロは口も小さめです。

 

生息域は神奈川県を北限に沖縄まで、主に太平洋側の深い海(80ー200m程)に生息しています。

私の経験上、比較的見かける産地としては北から小田原、伊豆諸島、高知、甑島など。

傾向的には沖がすぐに深くなる海域でよく水揚げされている印象です。

 

時期はこの梅雨時期によく見かけ、他の季節は殆ど見ません。

市場でも旨さを知っている人は扱っており、値はそこそこ。今回の個体は築地丸集さまにて購入させて頂きました。

産地は鹿児島、単価はキロ¥2000を少し上回ったといった所。大きさはちょうど1キロほど。

ここ数年ご無沙汰だった魚でもあり、この梅雨は何としても食べたいものでした。

 

 

ウメイロの調理

目利き

まずは目利きから!

先ほどにも紹介しました、ウメイロは頭が丸い魚です。

魚の太り方はおでこから肩にかけての出っ張りを見ますが、顔つきがシュッとした細い魚は分かり易いものの顔が丸い魚は少し分かりづらいです。

 

少しカクッと角張っていると肥っている証拠。脂の多い当たりの確率が高いです。

ウメイロは顔だけでなく体の厚みにも顕著に表れます。

 

厚みなどの立体感は写真だと伝わりにくいのですが、それでも丸々っとしているのがお分かりでしょうか。

 

尾鰭の方までびっちり詰まっています。

 

背中からはこんな様子。

楕円形の体系がラグビーボールを思わせます。

 

鮮度の見分け方は鰓が赤いもの、と言いたい所ですが、日持ちする魚の為数日間は鰓が赤いです。

 

体の張りと目の様子を見ると鮮度がよく分かるかと思います。

日持ちする魚の為、何日か寝かせながら少しずつ食べていくのが美味しい食べ方です。鮮度の良いものを仕入れて鰓と内臓を落としてあげると一週間は保ちます。

 

捌き方・調理

これは大当たりの予感。捌いていきましょう!

 

今回は皮を活かした調理もするのでまず鱗を落としてしまいます。

 

鰓、内臓を抜いたら血合いを洗い流します。

綺麗になったら三枚に卸して開きます。

 

刃を入れると脂がべっとり。重くてなかなか刃が進みませんでした。

半身は皮を引いてお刺身用のサクに切り出します。

 

皮目が白く濁り、脂がとてものっている事が分かります。

血合いの色は控えめな桜色。コントラストが綺麗!というような見た目ではありませんが、十分に美しい身をしています。

さて、この極上の白身魚"ウメイロ"を食べ尽くしましょう!

 

 

ウメイロ料理

ウメイロの煮付け

まずは煮付けから。

 

これは5本の指のうちに入ってくるほど、煮付けの中でもトップクラスで美味しいものでした。

繊細な素材の味を引き立たせる為に味付けは薄口で仕立てました。

 

フエダイは皮が固い事も特徴ですが、箸でも簡単に分ける事が出来ます。

ふっくらとした身は優しい甘さと繊細な旨味で溢れており、優しく噛むと広がります。

程よくしっかりした身なので口に入れるまでは崩れず、口へ入れた瞬間にほろほろとほぐれる何とも不思議な感覚です。サクにしたときに生で食べたくなる見た目ですが加熱しても存分に楽しめます。

 

ウメイロの天麩羅

続いては天ぷらです。

刺身では固く感じてしまう尾鰭に近い筋の濃いところを使用しました。

 

これが実に美味く、加熱して出てくる旨味が最大限引き出されています。

肉質もまたしっかりとした食感で、噛むごとに旨味がじゅわりじゅわり出てきます。

しかもこの旨味も、食べ終わるとすん…と消えていき、長く口に止まらず上品に消えていきます。

後味がいいというよりも、余韻に浸らせない幻にも思わせる瞬間的な旨さ。手に入れたら是非お試しあれ。

 

ウメイロの握り

フエダイの仲間は寿司ダネとして肉質、味わい共に優等生です。

その中でもずば抜けていると言ってもいいほどのものがこのウメイロ。

 

しっとりとした柔らかい身がシャリに馴染み、優しい舌触りのほんのり甘い脂が口いっぱいに広がります。

ふんわり食感のマダイに比べるとウメイロはコリッとした食感があります。

血合いもほんのりと赤く、紅白のコントラストがなんとも美しいです。

 

知名度はあまり高いものではありませんでしたが、近年その味わいが認められ価格が上昇傾向にあります。

 

ウメイロ刺身

初夏の白身三昧を作りました。

左よりマツダイ、イサキ、ウメイロです。

 

ここは素直にわさび醤油をちょこんとつけて頂きます。

しっとりとした身から離れ脂が醤油に浮かび上がります。

繊細な味わいなので醤油は数滴付けるだけで十分です。

 

ほんのり醤油とツーンとわさびが香り、噛み始めると甘味が溢れ出てきます。

実に上品で美味い!

 

他のものでは形容し難いこの美味さ。ウメイロならではでしょう。

クセのない純粋なうま味。日本酒をゆっくり呑みながらつまみたい、そんなお刺身です。

 

ウメイロ潮汁

締めは潮汁で。

兜を半分に割り、アラやカマを湯引きにしては鱗を落として煮込みました。

 

切り身も一枚豪快に。

味付けは白ダシ、酒、醤油と塩で味を整え、素材の旨味を凝縮させました。

 

頭肉は少ないものの、プルプルの皮が食感もよく旨味を吸い込んで実にいいアクセントになっています。

同じようなスープで仕立てて野菜なども入れて鍋物にしても食べたくなります。

 

ウメイロの評価

価格   ・☆☆☆☆

コスパ  ・☆☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

まずは価格、これは大きいものほど高くなる傾向があります。

というのも、小さいと脂が薄くあっさりとした味わいですが、1キロ前後の大きい個体になってくると脂ののりが変わり風味豊かになります。

オススメしたいのは1キロ前後の大型の個体。300グラムほどの小さめな個体でも上品な白身で美味しいのでお財布と要相談です。

 

続いてはコスパ。これは頭肉がやや少ないので☆4つ。しかし体高があり、過食部の多い魚です。

あらからはいい出汁も出て余すとこなく食べきれます。

 

珍しさは主要な市場であれば扱うところが増えている気がします。

また、伊豆諸島~小田原などの関東近郊でも漁獲される事があり、季節的なものですが狙えば手に入るといったレアリティです。

 

味わいは文句無しの☆5つ。白身で最強格といっても遜色ないほど。梅雨~初夏に旬のオススメを聞かれたら必ずウメイロと答えます。

調理も何にでも合う万能な魚です。

 

今回は梅雨が旬という、珍しいウメイロという魚をご紹介しました。

実はこのウメイロ、釣りでも人気のターゲットです。釣りたてのものはとても青くまるで海のサファイア。

関東の水族館でも見ることが出来て、あの日本一高い電波塔のふもと、すみだ水族館で観察する事ができます。

美しく美味しい、素敵なウメイロ、ぜひ探してみて下さい✨

 

本記事は、サテライトライターさんの記事になります。

ライター紹介

サテライトライター:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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