春一番が呼んだフエフキダイ
こんにちは、夢海です🐟
春までもう少し!度々"あったかい"という感想を通り越し"あつい"とまで思わせるような気候の2月下旬。
春一番が吹き、全国的に海は荒れに荒れて入荷量が少ない日が続いていました。
面白い魚がなかなかやって来ず、普段見かけても「今はいいやぁ。」となるような、あまり買わない魚でさえ面白く見えてきます。
目次
フエフキダイの特徴
今回の魚はフエフキダイ。
見た目がイマイチパッとしない。
色味といい、姿といい、食用魚らしい姿ではあるものの、色というか華やかさが薄いのがこの魚の個性であり特徴です。
見た目のパッとしなさはさておき、じゃあなぜこの魚を普段は見送っていたのかと言うと、塩素臭い個体が稀に紛れるという点で控えていました。
餌由来で身が全体的に塩素臭くなってしまう個体が稀に混じり、
ワクワクで持ち帰った魚が臭くて食べれない。ではなんとも悲しい気持ちになるため、見かけても買ってはいませんでした。
今回やって来ていたのは長崎県産。
安かったし、目ぼしいものもないからたまには食べようか。と2尾買ってきました。
フエフキダイは頬に鱗がなくツヤツヤ。
口の中は赤い。
口が美しいという事で "くちみだい"や"くちびだい"という名を市場で目にすることも。
角度を変えて見ると光沢がありきれいな魚。
見れば見るほど魅力が深まります。
今回の個体は身が厚く張りもあるため、フエフキダイの中でかなりいい物でした。
フエフキダイの料理
フエフキダイの握り
まずは単に握りから。
夏に見かける白身は本能的に塩とすだちで味を引き締めようかなんて考えに至りますが、この時期はすだちが入手しづらく今回は叶いませんでした。
なので単にわさびと、焼霜にしたものでつけました。
フエフキダイというと特有の香りがありますが、今回の個体はこれがなく当たりでした。
しとっとした舌触り。甘味と酸味がほのかに感じられ、あとに香る磯の風味。
これをシャリがマイルドにし、寿司として一体感がある上質なネタだと思います。
一方で炙りは当然香ばしさがあり、皮目にあるコテッとした脂が広がり、
旬を外したイサキのような、美味い磯の魚という印象を持ちました。
フエフキダイのバター焼き
1尾分をフィレ状にし、皮に切り込みを入れたものに塩コショウ、小麦粉をまぶしてバターで焼き上げます。
米軍が持ち込んだマーガリン由来で、沖縄では魚のバター焼きが広く食べられています。
今回はそれに学び、南方種であるという繋がりから作ってみました。
過去に沖縄へ行った際、様々な種類の魚がバター焼きにされ道の駅などで売られていた光景を思い出します。(ミーバイを購入した事も覚えている。基本はセミドレスのものを揚げ焼きにしている様子であった。)
もう何年も昔の話になりますが、当時食べたものを思い出しながら味付け、調理してみました。
身は淡白なためバターで油分を補い、厚い皮に旨味があり、これが縮れてカリッと香ばしさがありなかなか美味い。
厚みがあり旨味の溜まっている皮を使う加熱調理というのがこの魚の最適解なのかも知れません。
フエフキダイのエスカベッシュ
さて、2月に買ったこの魚を3月になってようやく書き起こした要因は、このエスカベッシュにあります。(公開は4月かな?)
2尾購入したはいいものの、半身分の調理法が思いつかず、とりあえず冷凍していたものが見つかったのが3月中頃の話。
出てきたけどどうしよう。とりあえず皮を付けたまま揚げたいと考えつき、醤油で味付けをして唐揚げだと少々面白みに欠ける。
魚をこれだけ食べておきながら、レパートリーが少ないのをなんとかしたいと考えていました。
そこで最近会話で上がっていたエスカベッシュを思い出し作ってみることに。
フエフキダイは血合い骨のところで切り分けて一口大に皮ごとカットします。
これに片栗粉をまぶして揚げ、野菜と共にタレに漬け込みひと晩置きます。
エスカベッシュや南蛮漬けなどに使う魚は小ぶりの豆あじなどが代表的ですが、皮に旨味のあるような魚であれば白身でも十分に美味しく仕上がります。
皮ごと揚げるという調理法が見事うまくいき、香ばしい皮目の風味と淡白な旨味のある白身でフエフキダイの存在感があり、オリーブオイルや酢などのサッパリとしたタレとの相性がよい。
今回は白ワインと合わせつつちびちび食べたが、バケットなどに乗せても合います。
フエフキダイの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・・☆☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・比較的安い魚。知名度はそれほど高くないが、まとまってやって来る。
コスパ
・歩留まりは一般的なタイ系と比べやや悪〜同じくらい。
珍しさ
・西日本の産地が多い魚で、関東の小売などでは見かけないが、市場や産直の魚屋ではたまに見かける。
味
・淡白でしっとりしているが、その中に甘味がある。加熱すると魚らしい旨味が感じられ、ほのかに香る磯の風味は程よいアクセントとなる。塩素臭い個体にさえ当たらなければ美味しい魚。
今回は久しく食べられていなかったフエフキダイを購入してみました。
全国的な大時化の中こうやって出会える魚がいることに、改めて各方面で活躍される方々には感謝申し上げます。
流通する魚を通し、季節の移ろいや全国の海況などが情報として入ってくる市場はやはり面白いもので、自ずと情報を集めに毎日出たくなります。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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