産卵期のマダイを使い「春の御馳走」を作る

こんにちは、夢海です🐟

4月半ば、三重から素晴らしい産卵期真っ只中のマダイがやって来ました。

この時期は単価も落ちて思わず手が出てしまいました。

 

 

マダイの特徴

魚を知るには、年間を通し様々な産地、大きさの個体を食べ比べる必要があると感じるようになったこの頃。

多くの魚が美味しい餌を荒食いする産卵前の時期はもちろんの事、産卵期、産卵後に身質はどうに変化するのか。や、大きさによって季節の味の移り変わりも知りたくなる上、年間に同じ魚を繰り返し購入しています。

 

マダイは1月に小型のものを購入して依頼、3ヶ月ぶりに購入しました。

 

産地によって差はあるものの、身が一番うまいのは愛媛産で言えば11月頭頃であろうと考えています。

購入はしなかったものの、昨年もこの時期によく身が膨れた個体を目にしてました。

 

今回の三重産は腹が膨れ、子を持っているというのが外見から分かります。

 

オマケに仕立てがよく、非常にきれいな個体です。

天然物の尾鰭は長く湾入し、シュッとした見た目が堪らなくカッコいい。

 

産卵期のマダイは身が痩せやすいところですが、辛うじて生でも平気だろう。という様子でした。

半身は生食用に使います。

この時期のマダイであれば単に焼くよりは、生で食べる・揚げる・蒸すなど、水分を抜かさない調理法が適しています。

 

出てきたのは真子。

やや縮み何度か産卵をしたのであろうと考えられます。

腹の膨れ方から、おそらく真子であろうと予測はしていたものの、白子が出たらああして食べようこうして食べようと考えていたので、少々残念ではあるものの季節のものとして楽しみます。

 

 

マダイの料理

マダイのお造りと握り

今回は一緒に買ってきた白貝(アラスジサラガイ)と合わせて盛ります。

 

単に刺身にしたもの。

腹側は皮を引き、背側を炙りました。

 

脂は薄く身はやや白濁する。

味は薄いものの、ふわっと柔らかい弾力のある身からはマダイらしさを感じます。

まだギリギリ刺身でいける硬さですが、これがもう数日でも遅ければシラタに近しい質になりそうです。

 

皮を炙ったものは身に軽く火が通り、引き締まります。

この時期の鯛であれば焼霜のほうがうまいや。と感じました。

やはり旨味自体は大味になってしまい、少々薄く感じます。

湯引きよりも焼霜で香り付けた方が個人的におすすめです。

 

背側の一部は握りに。

わさびでつけて、仕上げに塩を軽く振りました。

この時期は風味も落ちるので、塩を軽く振りレモンを搾ってみました。

大味な身も、塩を振ったことにより旨味が引き締まります。

そしてタイは柑橘との相性が良いので、春時期の脂の落ちたタイは是非塩レモンで合わせてみてください。

 

ちなみに今回が初食べの白貝は甘味が非常に強く、クニクニとした食感が美味です。

貝由来なのか、ここまで甘くて大丈夫なのかといった、不思議なほどに甘味が強く、美味でした。

次回入手した際はこの白貝をメインに紹介してみたいと思います。

 

マダイと筍の炊き込みご飯

八百屋で筍の水煮が安かったので購入。

筍は半割にし、片方をあさりと炊き込み、残った半分を今回のマダイと合わせてみました。

炊けたものを混ぜながら鯛の身をほぐします。

 

これぞ春の御馳走。

薬味はお好みで。

 

米の隙間に潜り込むタイの旨味がたまりません。

 

炊く前に一度焼いているので臭みは感じず、雑味のない繊維質のタイが美味しく感じられます。

ゴリッとあたるたけのこの旨味と、甘いご飯。

それを薬味が引き締めて、噛むほどに旨味が出てきます。

 

おかわりは鰹節・明太子を添えて。

今回は市販のものですが、手間をかけられるのであれば明太子も真鯛の真子を使用し自家製で作ってみてもよし。

 

あっさりした味付けなので薬味の選択肢は幅広いです。

辛子明太子など、味の強いものでも後からタイの香りはしっかり追いかけてきます。

 

〆は鰹出汁と今回のタイのアラから取った出汁で茶漬けにします。

あっさり染み渡る春の鯛の美味さに感激しながら、サラサラサラと喉をどんどん通り越し、3号炊いたものも2食で食べきり、それでいて物足りないくらいでした。

 

マダイの兜と真子の煮つけ

頭は割り、卵と合わせて霜降りにして臭みを取ります。

今回は辛めの味付けで。

 

嬉しい春鯛の真子がまっことうまく、これで一体どれほど飯がくえ酒が呑めるのやら。

少ない身をつつきながら、卵をひとくち、ふたくちとかじります。

脂が少ないので味が染みやすく、卵と共に煮られるので適した調理法になります。

 

 

マダイの評価

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・・☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

・価格

時期によって変動あり。一般としては高級魚としての認識が強いが、春先の子持ちのものなどは安い。また、秋〜冬にかけて漁獲量も増えるため買い求め易くなる。

 

コスパ

・歩留まりは一般的。しかしこの時期では身は痩せて卵や白子に重量を取られるため、可食部で40%は取れないアラや白子・卵を活用したい。

 

珍しさ

・一般的。特に春先は産卵で集まるため漁獲量が増え、安くなりやすい。市場はもちろん、小売でも目にする。

 

・美味。子持ちの時期であれば水分を逃さない調理をしたい。白子や真子も美味なので余程小さくない限りは使用を推奨します。

 

 

今回は春の産卵期の真鯛を購入して堪能しました。

身の良し悪しに差が出てしまう季節ではあるものの、卵や白子といった副産物も楽しめつつ、何より価格も手を出しやすい時期であるため食材として優秀であると思います。

秋の脂ののった鯛、そして春先の子持ちの鯛をぜひ試してみてください。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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