ギンカガミは美味しい珍魚

2023年10月20日

こんにちは、夢海です🐟

 

2023年、お盆を前に直撃した台風で、本業で売るものがない。盆中に個人で食べる用の魚がないない。

と、非常にヒヤヒヤする状況が続いた夏く中、今年はやたらと鹿児島県産の魚に助けられました。

 

さて、そんな台風も過ぎ去り5日ほどした8月下旬に差し掛かった頃、鹿児島から予想もしていなかったような魚がやってきてくれました。

 

 

ギンカガミの特徴

 

今回の主役はギンカガミという魚。

その独特な見た目に、目立った名前で、一般的には知れ渡っていないものの、マニアの中では知名度は高い。そんな魚でしょうか。

 

台風明けには海がかき回され、面白い魚が定置などでよく見られます。

とはいえある程度の数がなければ流通はしませんし、これが東京のど真ん中で堂々と並べられるという場面にはなかなか遭遇出来るものではありません。

 

今回購入したのは吉池さん。

以前にもギンカガミの干物をご紹介しましたが、同じこのお店で生鮮のギンカガミを入手出来るとは思いもしませんでした。

 

この魚の大きさがなかなか掴みにくく、干物で頂いたギンカガミは大型でしたが、一度だけ小田原から送って頂いたものは手のひらよりも小さいものでした。

 

今回、入荷情報としてSNSに上げられていた写真を見てみると、札には1尾200グラム前後で書かれており一般的に売られている魚だとマアジがそれに近いくらいの重さで、さほど大きいものではないだろうと思いながら店へと向かいました。

 

しかしいざ手にしてみると…

 

デカい。

 

非常に平べったい為、縦に横に薄く大きく、一番大きかったもので約24cm四方。

マウスパッドくらいの大きさがあります。

↑鮮度のいいギンカガミ。口元がエメラルドグリーン色に輝く。

 

この薄っぺらい魚をナンとか3枚に卸しました。

腹骨の膜が腹のかなり内側に位置しており、特殊な構造をしているのがわかります。

 

腹皮は身が薄く、皮が硬く、間違いなく破れるだろうと判断し、背中側の身だけを柵取り、皮を引きました。

 

やや濁ったクリーム色らしい身に濃い血合い。

銀色の薄皮もまばらに残り、トビウオに非常に近く見えます。

 

ここにするまでの手間や歩留まりを考えてしまうと、採算が合わず流通しないのも納得。

そして味はどうなのか。

食べて確かめてみるとしましょう!

 

 

ギンカガミの料理

ギンカガミのお造り

ますはお造りから。

身の色がお世辞にもいいとは言えず、皮を炙った腹皮を添えなんとか映える一皿になったのではないでしょうか。

 

まずは炙った腹側から。

そぎ切りが出来る厚みはないので、均等になるように角度をつけながら細く切りつけました。

しっかりとした皮の下に旨味があり、この小さな一切れでも実に味わい深いです。

 

皮を引いた背側の身は見た目通りトビウオらしい味わい。

血合いの酸味か感じられ、もっちりとした弾力までも似ています。

 

ただ青魚の風味が薄く、トビウオの味を知っていたら(あれ?)となりそう。

身はとろみがあり、やや目鯛のような雰囲気も感じられます。

 

爽やかな香りがあり、身はもちとろな食感。

炙りと食べてみると同じ魚でこんなにも違うもんかと面白く思えます。

 

ギンカガミの握り

炙った腹と背側をそれぞれ4貫、つけてみました。

腹皮の炙り。これはしっとり柔らかく、噛み切る際にしなっとした歯ごたえがあります。

うまいことにはうまいものの、寿司として考えるとシャリとはあまり仲良くしてくれず、別々で食べたほうが美味しいかも知れません。

 

では皮を引いた背側はどうかと言うと、「これはウマイ」となります。

しっとりとソフトな食感、そして少ない咀嚼であっという間にとろけてしまうという、シャリと馴染む要素があり、生臭いと感じない程よい酸味にコクがあります。

 

ギンカガミの塩焼き

塩をして30分ほど置いておき、出てきた水分を拭き取ってから7分ほど中火のコンロで焼き上げました。

 

面積の大きい血合いが旨味へ代わり美味。白身の淡白さ、青魚らしい旨味、皮下の脂のバランスが非常によく、身は締まります。

白身と青魚の美味しいところがバランスよく混ざり、他の魚では形容し難い旨さがあります。

 

身離れはやや悪く、冷めてしまうと骨周りの肉は特にほぐし難くなってしまいます。

一方で余ったあら骨、焼くと旨味が現れるため出汁としても活用出来るでしょう。

 

ギンカガミフライ

背を刺身にし、残った腹皮の身を皮付きのまま揚げました。

皮は厚みがあるため非常に縮みやすく、油へ投下するとすぐに丸まりカキフライのようなフォルムへ変わりました。(本当は四角い状態で揚がるのを想像していました)

 

しかしこの丸まった形状で揚がってくれた事で、かえって食感が面白いものになりました。

 

しっとりとした皮の独特な食感は炙りでも感じられたものに類似しており、他の魚に比べ皮が厚い事が伺えます。

また身は細かい繊維で束になり、どこかアジ科らしい旨味も感じられます。

 

 

ギンカガミの評価

 

価格   ・・・・☆

コスパ  ・・・☆☆

珍しさ  ・☆☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・網にまとまって掛かることもあるが、歩留まりが悪く加工が難しい+知名度がない等の理由で価値が殆どない。流通にも流さないという話を聞くので、これこそ未利用魚と呼ばれるものだと思われる。

 

コスパ

・身は薄く内蔵も中心部に位置しており削ぐと可食部があまり残らない。刺身目的でなければ、骨付きのまま使うほうが有効的。

 

珍しさ

・稀に見かけるが非常に少ない。根気よく探す、水揚げのある産地の方と繫がり、声をかけてみる等、入手には努力が必要。

 

・血合いが大きく、白身というよりも青魚のような旨味があり美味。歩留まりはよくないが、刺身でもいいし、加熱するととてもよい。

 

 

今回はギンカガミという魚を食べてみました。

過去に干物を食べたきりだったため、まさかここまで調理幅のある魚だと思いませんでした。

 

最後に、ギンカガミが見られる水族館とそこで撮影した写真で今回は終了です。

また次回お会いしましょう!

 

ギンカガミが見られる水族館

アクアマリンふくしま

日本全国探してもここだけだと思われる。常設展示しているのがまた凄いところ。体をくねらせるような泳ぎ方ではなく、胸鰭をパタパタさせるタイプの魚。

 

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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