初夏のものは美味い!三陸の釣りアイナメ

 

こんにちは、夢海です🐟

今回は美味しそうなアイナメを入手したので書きまとめていきます。

 

 

アイナメの特徴

 

今回の魚はアイナメ。

市場で増えてきたなと、肌で感じるようになった6月中頃。

 

青森から2キロ近い瓶ビールサイズが入っているたので、買ってみるか!と触ったところ、刺し網のものらしく、身は緩かったため断念。

その翌日に入ってきていた岩手産の釣り物がまことに良く、思わず手が伸びてしまいました。

 

サイズは39.8cm967gと、アイナメとしては一般的なサイズ感です。

胴がしっかりと太く、張りもあり、撫でると反発してきます。

水産業に勤める知りたいから、近頃のアイナメいいぞと情報をもらっており、どこかで確かめたいと考えていました。

 

脳天に〆たあとがあり、丁寧な処理がされたことがわかります。

 

釣り物の証拠である釣り針。産地によっては根本で切られ付いた状態で来ることもあるので、扱う際は注意。

 

刺し網か釣りが主な漁法のこの魚で、刺し網であれば鱗は部分部分で剥がれ落ちてしまいますが、釣り物のため非常にきれいな魚体です。

 

腹は卵巣が抜けた後なので腹にはやや隙間がありますが、内臓脂肪がやや混じり、身もまたしっとりと脂を感じます。

噂通り、ものはかなり良し。

 

刺網でないため、身は内出血を起こしておらず個体としても上物です。

まだ硬直最中で反発のある身をしているため、これをひと晩置いておきます。

 

皮目になめらかな脂があり、これが潤滑油となり皮引きは容易。

 

半身のうち頭に近いほうを炙り、尾に近いところを皮引きで仕立てます。

この身の質を見ると北の魚だと感じます。

思えば冬を抜けてから北の魚はあまり食していなかった事を思い出しました。

南・北のものが交互に気持ち的に食べたくなるのはそれだけ魚の質は多様であり、我が国は幅広い魚種が水揚げされる水産天国であると、改めて認識しました。

 

 

アイナメの料理

アイナメのお造り

まずは単に刺身で。

皮を引いたもの、焼霜の2点用意しました。

淡雪のような白い身と、薄ピンク色した血合いのほんのりとした色合いが美しい、これまた個性のある身をしています。

 

そして甘みがあり、シコッとした食感が感じられて、噛むほどに味わいが増してくる。

アイナメの前に食べてたのが沖縄の鮮魚であったため、このコッテリした味わいがたまらなく美味く感じます。

北の魚は不思議と昆布のような海藻のような、豊かな海藻の森という海の情景が感じられる味わいをしています。

 

アイナメの京味噌焼き

続いては皮付きで切り身にした半身を西京味噌に漬けこみ、数日寝かせてから焼き上げました。

鮮度がいい魚は早めに処置をしてあげると、その分長い期間日持ちします。

 

アイナメの繊細な旨味に京味噌の旨味は非常に相性がよく、また程よく全体に脂が混在する点でも素材として優秀です。

繊維質の身がほぐれると香ばしさと共に、皮目から感じられるアイナメ特有の旨味があり美味。

ちょっとひと手間をかけるだけで、上質なおかずになります。

 

アイナメフライ

天ぷらにする予定でしたが、兎にも角にもフライが食べたいという気分になったため今回のアイナメを使いました。

皮付きで切り身にしておいたものを使います。

 

この皮があることで風味が増し、アイナメを使用した理由が強まります。

 

身は柔らかく、繊維も弱いため厚切りがオススメ。

パンに挟んで食べるもよし、旨味がある魚であるため、炭水化物と合わせてソースを絡めても美味です。

品のある味わいのため、フライの中でも上質に感じられます。

 

アイナメの握り

柵取りしたアイナメを切りつけて握りにしました。

寿司にした途端、華やかさが損なわれるというか、インパクトが薄くなるのは北の魚らしく感じます。

 

 

焼霜

なめらかな舌触りと、甘みのあるアイナメから感じられる香ばしさ。

甘い脂の混じった筋肉にプラスして、皮目から感じられる香ばしさがより味わいを多角化させます。

単につけるのも美味いものですが、あまりに素直な味で丸みがあるため、焼霜にしてみる価値は十分にあります。

 

握り

口へ入れた途端に感じられる甘み。これはアイナメの最も特徴的な面であると個人的に思います。

余計なことはせず単につけることで素直な甘さが伝わり、アイナメの底力を感じられます。

白身なのに主役級な存在感があり、旨味、甘味に優れたネタです。

 

アイナメのカマ煮付け

ラストはカマを淡路産玉ねぎと合わせて煮付けにしました。

頭部は別途骨格を残す用途に使うため調理には使用しませんてしたが、当然頭も使用するのも良しです。

 

淡路島の新玉ねぎが安かったので大量買いをし、早めに消費せねばと一緒に炊いたものですがこれがアイナメとの相性が思ったよりもよく、追いでいくらか投入しました。

加熱することで舌を包み込むような優しい甘味のあるアイナメの旨味が汁に溶け、それが玉ねぎに集約されます。

残念ながら今回のアイナメを調理する中では最後に作った品であるため、すき焼きにも合いそうだと気が付いた時には遅いものでした。

秋か来年か、また次回に持ち越すとします。

 

直近で食べたアイナメの煮つけは、青森下北産のあぶらこ(ウサギアイナメ)で、本家アイナメと比較してみるとやはり旨味が薄く、アイナメの方が味わいというか風味で優っていることが分かります。

どちらも美味い魚ではありますが、本家アイナメには甘味というか、なめらかさがあり、ウサギアイナメは太っていた魚体だったものの、淡とした味でした。

まだウサギアイナメは一個体を味見したに過ぎないので、本格的に比較するのはまたいずれか。

 

 

アイナメの評価

 

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・☆☆☆☆

珍しさ  ・・・・☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

価格

・基本的には安くはない魚だが、流通量の多い時期になると手が出やすくなる。

 

コスパ

・歩留まりがよく、身の高さも一定的。そのため柵取りや切身を切り出しやすい。単価は張るものの、なかなか扱いやすい魚。

 

珍しさ

・市場では一般的。時期によっては全く見なくなるが、東京で一週間も探せば見つかるはず。小売りではあまり目にしないが、デパートなどにも並ぶ。

 

・文句なしに絶品。上品であり、味にしつこさがなく、特有の旨味も感じられる。

 

 

今回は良いと聞きつけたアイナメを試し買いしました。

個人的に(いつでも味がいい魚なため)旬が不明な魚であり、産卵後にあたるこの時期は間違いなく身が美味いものの、これまであまり買った試しがないように思えます。

今回の出会いは己自身のアイナメに対する理解度の浅さを測れたことと、2年半ぶりのアイナメの上質な旨味を堪能できたという事だけで大満足です。

 

また、アイナメは体型的に捌くのも容易なため、魚を卸す練習台としてもちょうど良いでしょう。

価格は少々しますが、それも込みで応用と購入してみるにはうってつけだと思います。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

広告