久しぶりのミナベヒメジに舌鼓

こんにちは、夢海です🐟️

水産業に携わり、早7年ほど。

 

コロナ禍に一度離れるなんて時期もありましたが、気がつくとあっという間のようで濃い時間が流れていました。

今回の魚はそんな水産人生の始めの方に出会い、印象深かった種を久しぶりに入手した。

想像以上に水産という世界に顔を見せる魚は種類が多く、その中には近年になって記載された、和名が付いたというようなものもたまにおり、今回の主役、ミナベヒメジもそのうちの一つである。

 

 

ミナベヒメジの特徴

今回の魚はミナベヒメジ。

 

産地は三重県産。以前食べた個体は宮崎産だったと思う。

ミナベヒメジの由来、ミナベとは、和歌山県みなべ町の事であり、ここで国内で一番最初に見つけられたことに由来する。

今回の産地はそんなみなべ町を、紀伊半島を挟んで反対側からやって来たのである。

 

ホウライヒメジによく似ているが、尾柄部の黒い斑が目立たず、顔周りの線は黄色みを帯びる。

 

どこと無く、色が薄いようなホウライヒメジといった印象が解釈としては的確かも。

本個体は と、ミナベヒメジやホウライヒメジの中でも大型である。

 

この大きさのヒメジ科魚類は食べたことがあったかな、なんて思い返してみても、恐らくは初めてであろう。

ちなみに流通上ではオジサン、又はヒメジで判別され、なかなかホウライヒメジという名はみない。

ホウライヒメジと売っているところがあっても、ミナベヒメジとまで分かる水産業者はほんの僅かだと思う。

 

無論、分かっておくれとまでは思わない。

流通上では単に"ヒメジ"、"オジサン"でいいのだ。

 

 

ミナベヒメジの料理

ミナベヒメジの刺身

ミナベヒメジの刺身は実に久しぶりの味。

当時はまだ10代であった。

 

まだまだ包丁使いがぎこちなく、今ほどまともではなかった。

味わうという意味では、今回が初めてとも言える。

背側、頭に近いカミの方を 切りにし、腹側は飾り包丁を入れて皮目を炙る。

 

炙ると大変なほど火花を散らす。

まずは単に刺身。

 

特に手間を加える必要がないほど、非常にうまい。

舌触りが滑らかで、程よい硬さがあるが、コリッといった弾力はない。

 

溶ける、という表現はできないが、咀嚼を軽くするとほぐれて、風味豊かな味が広がる。

脂は均一に混ざるタイプ。

濃くはないけれど、甘みが感じられる程にはあり、醤油も優しく弾く。

 

ヒメジ類は皮目に磯の風味があることが多いが、本種はどうも薄く思える。

大型の個体ということも幾らか関係しているかもしれない。

 

嫌味がなく豊かな風味に包まれる。

単に刺身でも満足感が高いのに、高いのに、

さらにひと手間加えてしまった炙りなど大変だ。

 

皮は薄いが硬いのでしっかり目に炙る。

飾り包丁も入れておく。

 

すると皮の硬さなんてものは気にならないどころではなく、美味しすぎて意識も吹っ飛びそうになる。

なめらかな甘さ、包み込むようなしっとりとした舌触り。

ミナベヒメジだからと買ってみたものの、非常にいいものを選んだようだ。

 

ミナベヒメジのムニエル

刺身に使った半身の、尾の方をムニエルにする。

 

ミナベヒメジは卸して血合い骨を抜く。

塩コショウをし、お好みのハーブと小麦粉をまぶす。

バターを溶かしたフライパンで、両面をカリッと焼き上げて完成。

 

ヒメジ科魚類、特に皮が赤い種は焼くと皮から甲殻類のような香りがする。

本種もやはりそのような特色が見られた。

 

身はホロッと崩れる。 

ハーブと皮目の香り、これから合わさってカリッと焼き上がった香ばしさがありながらも、白身の柔らかく膨れ上がる旨味の相性が良い。

 

ミナベヒメジの煮付け

これも大変に美味しい。

 

やはり赤い皮からは、甲殻類のような風味が見られ、身離れは非常に良い。

しとっとし、ひと晩置いておいたので、身は汁の味を吸っている。

これを炊きたての白米に合わせるともう大変な事である。

 

厚いので食べ応えもあるので、写真の部位でも、表裏と2食分のおかずとなった。

 

ミナベヒメジの天ぷら

ミナベヒメジは皮を引いて天ぷらにする。

 

皮があってもいいが、縮んで形を崩されるので薄めに削いで揚げるといい。

味の方は非常に美味。

 

旅などでバタついており、自分で天ぷらを作ることが久しかったのもあるかも知れないが、それでも白身の天ネタにしては素晴らしいものである。

水分も程度が良く、冷めてもジトッとしない。

衣が割れると、上品さの奥からも旨さが滲んでくる。

 

塩もいいが、天つゆでもその旨さが活きてくる。

 

 

ミナベヒメジの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・今回の個体はそれほど高く感じられなかった。産地により価格帯が異なる印象である。

 

コスパ

・歩留まりは悪くない。身は膨れ、柵取りも容易なので食用魚として扱いやすい。

 

珍しさ

・かなり珍しい。今回はホウライヒメジの荷に混ざっていたもので、基本的に区別されて流通はしない。また大規模な群れも形成しないため、同時に見かけても1.2尾程だと思う。

 

・ホウライヒメジ同様に美味。今回の個体は磯の風味が薄く、ヒメジ類にしては上品な味わいであった。

 

今回は久しぶりにミナベヒメジを頂いた。

この魚もまた、業者だよりではなく自分で見分ける力があれば、比較的容易に見つけらるといった魚である。

今もまだ勉強中の身だが、その一歩目に出会った魚でもあるので、初心の頃をふと思い出す。

ホウライヒメジは知っていたけど、オキナヒメジとの見分け方は知らなかった。

ウミヒゴイは知ってるけど、タカサゴヒメジなんてものが千葉の海で揚がるということも知らなかった。

等、ヒメジだけでもエピソードが幾つもあがる。

この記事も、いつしか誰かの興味に繋がる一歩目になってくれればとても喜ばしく思う。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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