尾のある巨大タチウオ、ユメタチモドキを食べる
こんにちは、夢海です🐟️
今回のものは、2025年出会った魚の書けていなかったものの消化のひとつ。
2月、今くらいの寒い寒い時期に、なが〜〜〜い魚を入手した。
目次
ユメタチモドキの特徴
今回の魚はユメタチモドキ。
特に用もなく、なんとなく立ち寄った魚屋で見つけたので思わず買ってきてしまったのである。
非常に長い怪物のような魚であり、流通に乗る以前に獲れる数も少ない、まさに珍魚という部類に入るようなものなのだ。


あまりの長さなので床に発泡スチロールを並べて撮影。

全長は166.3cmあるものの、平ぺったい体型で体重は4306gと長さの割りには軽く感じられる。
このあまりに巨大な魚をクルリクルリと、お店の方に丸めて頂き、レジまで持ってきていただいた。
大きい容量のバッグだから大丈夫だろう!と持っていった手提げから半分が飛び出るような状態で電車を乗り継ぎ持ち帰った。
これだけの大きさがあれば調理したいものは何でも作れてしまうだろうな。と、購入当日からあれこれ作りはじめる。
その前に各所をじっくり観察していく。

まずは頭部。
こちらは他のタチウオ科魚類に比べで体高があり、のぺっとした顔つき。
まるで300系新幹線のような顔つきをしている。

胸鰭は上限反転したかのような、胸鰭下部の方が長く伸びている。

背鰭の棘条は魚体の大きさのせいか、かなり鋭く硬い。
扱う際は勿論のこと、暴れる1メートル50センチの巨体に無数の棘があるのだから、漁師さんもまた大変だったであろう。

一方で、腹鰭は小さく痕跡的。
この体の割に非常に小さいかわいらしい鰭は、手にも見えてきて尚かわいらしく思えてくる。

本種は尾びれを持つタチウオ科の魚で、果たしてこの巨体を推し進めるほどの力はないだろう、というようなかわいらしい尾鰭がついている。

口はかなり大きく開く。

気になる胃の内容物は、なんと溶けかけのタチウオが出てきた。
おおよそ200~300g前後の小さいものだが、40㎝はあるであろう個体が丸ごと出てきたのには驚かされた。
この鋭い歯で噛みつこうものなら真っ二つに切れてしまいそうなところ、溶けている以外の外傷は目立たず、この170㎝の巨体が小さなタチウオを追いかけまわして食べる姿を考えるとなんともワクワクしてくるものである。

何等分かに切り分けてから調理を始める。
おろしてみると、表面はしっとりし薄脂が感じられるが、タチウオほど多くない。
皮も硬い、というより厚みがあるので、やや工夫が必要なように思えまる。
ユメタチモドキの料理
ユメタチモドキの焼霜

初日は何も考えずにとりあえず刺身を仕立てる。
尾に近い部位の皮を炙り、盛り付ける。

皮ぎしに強めの筋があり、脂もタチウオほど多くない。
あっさりしている上に、筋があり少々硬い刺身である。
が、しかしだからと言って美味しくないという訳でもない。
旨味が豊富で、炙られた皮の下、皮下の硬くも僅かに脂が混じる層に味がある。
タチウオらしい繊細さがありつつ、噛むとどこか野性味も見られる。
この魚を美味く食べるならばもう少し工夫が必要だったやも知れぬ。
ユメタチモドキの味噌漬け

ユメタチモドキは白味噌につけて少し寝かせる。
味噌を拭いて焦がさぬように焼き上げる。
長いこと市場に努めるという方に聞いた話で、魚が多い時期が続いて、売れなくなる頃に味噌が売れるというのがある。
我が家でもその通りである。
魚の身が余れば味噌につけて保存する。
さて、これが真に美味いのである。
味噌につけ、味が入り焦げやすい状態の皮は身から浮き上がりサクッと仕上がる。
そのため調理は油断大敵。
焦がさぬよう小まめにコンロを空け閉めして焼き加減をよく見る。
そんな努力をした後のこの西京焼き、まさに最強焼きとも言える完成度の高さ。
身は繊細で柔らかく、繊維が細かい。
ユメタチモドキの塩焼き

ユメタチモドキは腹回りの肉と、ハラモを使った。
塩をして30分置き、これを焼き上げる。
脂は多くない。
あっさりしており、旨味はあるものの大味で意外に物足りない味である。
水分をしっかり飛ばした干物か、先に紹介した西京焼きのような漬魚に向くのだろう。
ユメタチモドキの割下鍋

大型魚なので、鍋はいくらでも作れてしまう。
今回は割下にしてみた。
身は淡白なため、水炊きや塩などよりも、味噌や割下のような濃い味の鍋に向く。
これが正解だったと、食べて改めて思う。
身は柔らかく、ふんわりとした食感で、ボソッとした感じもない。
タチウオよりも繊細な旨味なので、潮汁などシンプルな味付けの方が、より光る旨さがあるとも思える。
汁にしても美味いのだから試せるものは全て試したくなってくる。
ユメタチモドキのムニエル

ユメタチモドキは卸して塩コショウ、ハーブ類、小麦粉をまぶす。
バターで焼き上げて完成!
ムニエルもまた美味しいのだ。
半身なのに、厚みがある。
身の繊維は細やかで、雲のように軽い。
そのため味も吸い取りやすく、味付けがしっかり身の内側まで届いている。
身は柔らかく、崩れやすいのでその点のみ注意したい。
ユメタチモドキフライ

タチウオ科は油との相性がいい。
特にこのユメタチモドキなど、脂が薄いので味をボヤけさせる要素とならず、火が入ることで表れるサバ亜目らしい旨味もハッキリと分かる。
タルタルも美味いがこれはソース向き。
タチウオ以上に厚みと幅があり、ザクザクっと食べる食感が堪らない。
やはりこちらも例に漏れず、厚みがあるので実に美味しい。
ユメタチモドキの南蛮漬け

ユメタチモドキは一度塩コショウをして置いておき、唐揚げにする。
南蛮地に漬け込んで、数日間のおかずとする。
ごま油で炒めたネギと、刻んだ鷹の爪を入れてあるので、ウマカラ!!な味付けにしてある。
ご飯の友なんてものじゃない、親友くらいの相性であり、3日は持つだろうと考えたものの翌日の昼には食べきってしまう。
ユメタチモドキは揚げると程よい、白身よりは青魚寄りな旨味が表れてくる。
そしてこれが美味しいのだ。
鷹の爪の辛味もまた米の友になる。
ユメタチモドキの胃袋ホルモン焼き

ユメタチモドキの胃袋は比較的しっかりしており、更にはその魚体のおかげで胃も長い。
胃袋を開いて裏面の汚れを包丁でこそげ取る。
きれいになったら水洗いをして水気を切り、漬けダレに入れておく。タレの内容はすりおろしたニンニクと生姜、醤油、酒といった基本的なもの。これは好みでかまわない。
ひと晩〜2日ほど漬けたらゴマ油を敷いて焼きあげる。
焼き上がったものを熱いうちにご飯に乗せてアチチと頬張る。
キュッと縮み薄かった胃袋に歯ごたえが生まれ、ホルモンのようで大変美味。
胃袋は、どの魚種にも味はほぼなく食感を愉しむものではあるが、魚によって厚い薄いがあり厚すぎると硬くて噛み切れない。なんてものもあるが、ユメタチモドキはいい硬さと厚みで、食感が美味いと感じられる黄金比の上に立っているようである。
ユメタチモドキの黒酢餡かけ

まずはお好みの野菜をゴマ油で炒める。野菜を取り出したら、片栗粉をまぶしたユメタチモドキをゴマ油で炒め、火が入ったら再び野菜を戻し、タレを入れて絡ませる。味が馴染んだところで片栗粉を溶いた水を入れて仕上げる。
こんな簡単な工程で美味い2食分のおかずの完成である。
黒酢だし、野菜も摂れて体に優しいはずだ。
玉ねぎの食感と、ユメタチモドキの食感の差が面白い。
ユメタチモドキの評価
価格 ・・☆☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・・☆☆
味わい ・☆☆☆☆
・価格
キロ単価はタチウオに比べて安い。知名度の低さとその巨大な魚体で扱いにくいという理由が背景にあるのだろう。マニアな方に好まれるような魚であると思う。本種を扱うような飲食店はこれまで見ていない。
コスパ
・歩留まりは悪くない。魚体の大きさに対しての幅は薄いが、1尾あたりの可食部は多く、幅も一定しているため扱いやすい部類である。
珍しさ
・滅多に見られないが、これまで一度きりしか見たことがないという訳でもない。
味
・タチウオならば脂があるだろう。なんて思えるサイズだが、これは大型魚な為であり、種で考えるとそれほど脂の乗るものではないと思われる。そのため油を使った調理などに適し、用途は多岐にわたる。
今回は長~~い珍魚、ユメタチモドキをいただいた。
本種はなかなか出会えるものではないが、珍しいだけでなく、使い勝手が良い点もまた褒めるべきポイントである。
普通のタチウオに比べると、やや平凡な味ではあるものの、次があるかどうか分からないような魚に出会えたので感謝である。
現在、頭骨標本を作製中。
こちらもまたの機会に書いてみたい。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記


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