春ヒラメこそ手の出る贅沢なご馳走である

 

こんにちは、夢海です🐟

 

春になり、桜も散り、マダイやクロダイも産卵期を迎え、腹の膨れた個体を市場で見る事が増えた5月上旬。

食用魚を捌いて腹を見ると白子や卵巣が出てきて、やはりこの時期は産卵を迎える種が多いな。と毎年思わされます。

さて、そんな中で今回の魚もまた産卵期を控える魚。一般的には冬が美味いとされる種ですが、2年前の4月に頂いた千葉県産の3キロほどの個体がたいへん旨く、この季節になると思い出す魚がいます。

 

 

ヒラメの特徴

今回の魚はヒラメ。

 

言わずと知れた大衆的な魚。

 

値は張るものの、探せばあっという間に手に入る、普通種です。

一般的には寒平目と呼ばれる冬時期が美味いとされる魚です。

全国各地で水揚げがされ、産地によって多少時期のズレはあると思いますが、房総〜常磐、そして三陸にかけての太平洋側の個体は、私の中では春の魚であると考えています。

 

今回はその旨さをお伝えしたくて購入してきました。

 

産地は釜石産。仕立てがよく、1入の箱で下氷でやって来ている。

下氷も細かい粒のもので、魚体に凹みがなく比較的きれいな状態でやってきています。

 

頭のところと尾鰭に半分切れ込みを入れるヒラメとしては一般的な処置をされた状態でした。

 

15  グラムの個体でしたが、触ると身が膨れているのがよく分かり、卸してもその厚さがよく分かります。

 

ただ縁側が小さいのは魚体の大きさを考慮すると仕方のない点でしょうか。

 

打ち身もしておらず、今回の個体は非常にいいものでした。

これを柵取りし、数日に渡り堪能しようと思います。

 

 

ヒラメの料理

天然ヒラメのお造りと静岡県産生しらす

1品目は単純に刺身を盛ってみました。

 

長いヒレを切り取って飾りにしたり、丸めて花のようにしても綺麗に造れます。

今回は有眼側を表にしてみましたが、白い面の無眼側を活かしても綺麗に盛れます。

毎度どんな風に仕立てようかと、ワクワクさせてくれる魚です。

 

さて、春のヒラメは身が甘いこと甘いこと。

この繊細な甘みは、冒頭にも述べた2年前の春に大型の魚体を頂き、とにかくこの個体が非常にうまかった。

 

これ以降春のヒラメは美味いんだな。と考えるようになりました。

漁獲当日だというのに甘味があり、優しく反発するもちっとした食感があり、食べごたえのあるものでした。

 

今回のものは漁獲から中1、2日ほど経ってはいるでしょうが、反り返るような弾力のある身の食感に、噛むと感じられる甘味はサイズが倍近くあった個体にも負けない味わいです。

切り身を1枚1枚、噛みしめるようにちびちび摘んで堪能するという至福な夜は美味しい酒と過ごしたくなります。

 

 

ヒラメの漬け丼

余ったお刺身は漬け丼に。

淡白なため、醤油だけでなくポン酢や薬味との組み合わせも工夫すればいくらでも食べられますが、歩留まりも良いためどこかで飽きは来てしまうもの。

そうしたら漬けて米に乗せてあげるだけで生で2度美味い丼にチェンジ!

 

漬け込んだヒラメの刺身に白ごまをまぶし、卵黄を落とします。

これをかき混ぜながら食べるという贅沢な1杯。

卵黄のコクとヒラメのあっさりした旨味、これを味わえば甘味があとを追い、柔らかい余韻に包まれます。

 

お好みで鰹節や海苔、ネギなどを散らしても絶品。というより、おかわり必須な恐ろしい1杯になってしまいます。

漬けダレで米も飲み物の如くサラサラと喉を通過していきます。

 

晩御飯に刺身にして、余れば冷蔵庫へ保管。

翌朝にそれを漬けダレに落として朝ご飯に食べる、というのも贅沢で嬉しいヒラメの楽しみ方良いです。

強めに漬けダレを染み込ませ、あらから出汁をとって出汁茶漬け風にしても美味。

 

ヒラメの握り

左から

エンガワ軍艦・新玉レモン・ポン酢・塩レモン・わさび でつけました。

味わいは淡白なので薬味など工夫をすれば色々と楽しめるのがヒラメの面白いところ。

 

エンガワは脂が薄く細いため、こちらが美味いのはより大型の個体、そして春前になるのかなと思います。

今回は海苔の風味を補うべく軍艦で。

あまり脂の濃いエンガワが好きではないので、ソゲサイズのエンガワは個人的に食べやすく好きです。

クセのない甘味があり、噛むと味が溢れています。

 

旬の新玉ねぎも手に入り、カルパッチョ風にもアレンジ。

爽やかなレモン皮の酸味・渋みがヒラメの柔らかい布団のような食感に包みこまれ、玉ねぎのシャボンが弾けます。

ポン酢は一般的な食べ方。サボって最近はジュレポン酢を作っていないので、もみじおろしとネギを乗せ、これをちょんちょんとつけます。

軽く湯引きにしたネタをしゃぶしゃぶ風としてつけても美味しいでしょう。

 

ポン酢もカルパッチョ風に仕立てた新玉乗せのもの同様、柑橘の酸味を付け加えることにより、ヒラメの甘味と繊細さが際立ちます。

薬味を乗せると見栄えも美しく、後からじわーっと追ってくるもみじおろしの辛味もいいアクセントに。

 

塩レモンはつけたものに岩塩を振り、レモン汁を搾ります。

ヒラメに限らず、白身をより美味く食べるのであればこのコンビがあれば間違いありません。

 

シャリは青天の霹靂を使用。粒が立ち、一粒一粒に旨味が感じられます。甘味があるもちもち食感のヒラメの身と相性が抜群。

そのため単にわさびのみでつけても十分にうまし。

酢は市販の寿司用赤酢に黒酢を少々ブレンド。

コクがありスモーキーな風味が素材の底力を引き上げます。

 

ヒラメのあらと真子の煮付け

頭と真子は煮付けに。

まずは下処理として、煮付ける前に湯に落として鱗とヌメリを取る。

これをサボれば美味い煮付けは作れません。

 

旨味のある皮も楽しめ、ヒラメのあらは見た目以上に可食部があります。

真子も縮みはじめてはいるものの、二人前ほどのサイズはあったので炊いたものをすぐ食べ、残して味を染み込ませて翌日の楽しみにとっておく。という事もできます。

 

カレイは辛めの味付けが好きですが、ヒラメは甘めの味付けで煮付けるのが個人的な好み。(この違い何となくわかる方はいないかな?)

頬肉がうますぎて一瞬で消えてしまい、続いてカマ肉、頭肉とつまんでいればあっという間に食べきってしまいます。

卵をちょびちょび間に挟みつつ、卵うまいなぁ。身もうまいなぁ。と交互に楽しんでいるとあっという間になくなってしまうのがこの品の悩みどころ。

一応、明日の楽しみとして卵だけを残して終わりました。

 

ヒラメのムニエル

刺身用に柵取りして余った一部をムニエルに。

 

ムニエルは皮の有る無しで味わいも変わります。

皮付きであれば、強火で揚げ焼きにし、パリッとした食感、皮下の脂も混じる旨味を堪能できます。

 

皮がない場合はハーブ類などの味が浸透しやすく、繊細な味を付けたい場合には皮無しのほうがオススメ。

崩れやすくはなるので、返すときは慎重に、両面に焦げ色がついたら火からあげます。

今回は特段味付けにこだわった訳でもなく、刺身用に皮を引いたものが余ったため、皮無しで焼き上げました。

ホロッと柔らかく、タイムなどのハーブで味付けをした隙間からヒラメの旨味がちらりちらりと見え隠れします。

 

ヒラメの天ぷら

ラストは天ぷらで。

柵取りしたものに塩をして身を引き締め、水分を拭いて揚げます。

 

ヒラメの定番料理というと何だろう。と考えるとやはり刺身が一般的。

次いでムニエルかな、煮付けかな、となりますが、この天ぷらもまたその定番に並んでもいいであろうと思えます。

 

クセがなく大変美味で、身はホロッと崩れる柔らかさ。

米油で揚げて優しい甘い香りをまとった衣の控えめなサクッとした食感と、水分を含み柔らかい身に塩をしたことで引き締め、淡々としたヒラメの香りと、その中にある白身の"旨あじ"。

塩と柑橘でそっと食べるのがまっことうまい。

 

 

ヒラメの評価

 

価格   ・☆☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・・☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

価格

・やや高い。冬〜春にかけて、漁獲量が多いタイミングであればそこそこ手が出しやすい。

 

コスパ

・歩留まりは良い。あら骨は出汁に、頭などは煮つけに、などアラも使い勝手が良い。

 

珍しさ

・一般的。養殖も盛んで見ない日はあまりない。天然ものも冬〜春であれば安定的に市場で目にする。小売でも柵で売られたりと入手は容易。

 

・絶品。クセがない上品な旨さで万人に受ける。火を通しても硬くならず、ふわっと軽い口当たりで調理幅も広い。

 

今回は春の天然ヒラメを紹介しました。

この時期は大小かかわらず、ヒラメという魚は味がよくなるものだと感じます。

柵で買うなら冬でもいいのですが、真子を煮付けにするという楽しみがある春先にラウンドを買い求めみるのも良いものです。

公開時期では恐らく来年に試してみるかという時期になってしまうとは思いますが、ぜひ来年まで覚えて頂き試してみて下さい。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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