腹太スズキは冬の名物
こんにちは、夢海です🐟
今回は調査を兼ねて、冬場のスズキを買ってみました。
スズキがうまいとされるのは夏場になりますが、この冬本番になる前、産卵の為に深場に移動した「腹太スズキ」と呼ばれるものもまた美味いもの。
仕事で卸す機会があり、徐々に大きくなり始めた白子が気になり一本買ってきました。
目次
スズキの特徴
今回のスズキは千葉県銚子港から市場へと入荷のあったもの。
千葉県産の鮮魚はこぞって鮮度が良く、今回のものも水揚げ翌日にやってきたもので目の輝きが違います。
無駄に冷やされすぎておらず、体は硬直せずぐよんぐよんと柔らかく、首元をザックリ、尾びれ付近の背骨も断ち切られている〆方は千葉県の産地でよく見られるものになります。
2016年6月末に買った京都産の500グラム程しかないふっこサイズのスズキが驚くほどに美味く、これを再び食べたく毎年夏にはスズキが食べたくなりますが、2023年の夏はやけに高くなりました。
結局食べられず、前回食べたのはもうどれくらい振りなのだろうと振り返ると、前回食べたのは今年の2月。飲食店にてあら煮を注文。
ラウンドで買ってきて自分で卸したのも同じく2月でこの時は養殖個体でした。
鰓蓋()には返しのような棘があり、刺さると非常に痛い為、取り扱う際には油断しないこと。
それでは今回の個体の生殖巣を拝見。
白子であれば湯引いてポン酢にする。としか考えておらず、2分の1。さてどちらが出るか。と腹を割いてみたところ、現れたのはオレンジ色の卵でした。
気持ち小さい様に見えますが、割りとスズキの生殖巣はこの程度にも思えます。
それでは調理に…と思いましたが、
2分の1というかなりの高確率であるものの、頭と口はすっかり白子ポン酢の気分でいたため卵をどうしようという考えになっていませんでした。
鍋にしてもよいし、あらと炊いても良いな。なんて考えた中で、中途半端に余った身と共に西京味噌へと漬け込むことにしました。
同時に膨れていた理由がパンパンに張った胃袋。
何をこんなに腹へと詰め込んだんだと開くと、出てきたのは15センチほどの皮が溶けているボラ3匹。
胃の内側は臭うもののまだ新しいということもあり、身ににおいが移っていないのが良いところ。
この時期のスズキは鮮度問わず、血合いの色がややくすみ身も白濁するものの、魚そのものの風味が豊かで美味いのです。
スズキの料理
スズキのお造り
まずは購入当日。漁獲翌日のうちにお造りにして堪能します。
もち、でもなくゴリっという食感でもない、身はふわっと軽く反発してくる程度で、嫌味のない味わい。
少々物足りなさも感じる程の味の中に確かにある、優しい旨味。
刺身でもいいけど、これは漬けにしても良かったかも。
なんて思いながらも、うまいうまいと刺身のまま食べきってしまいました。
スズキのあら炊き
頭や中骨、刺身などで余った切れ端などの身を野菜と炊き出しました。
約1.7キロの魚体なのでそれなりの量がとれ、作り置きにもでき数日は困らない。
だいぶ変色し、安くなっていたレンコンや白菜などを購入しまとめて炊きました。
スズキのほんわりとした軽い食感の中に、レンコンのシャキシャキとしたアクセントがあると惣菜としての面白みが増えるし、根菜類は臭み消しとして魚との相性が良いため常に何かしら置いてあります。
特に美味いのがカマ肉。
スズキのカマは煮るのが最も美味いと思えるようになったのは大森のとある定食屋で「すずきのあら煮」を頼んでからの事で、以来すずきのあらは甘く煮付けるというのが決めています。
スズキの天ぷら
適当な大きさに切りつけた切り身を天ぷらに。
スズキの天ぷらなんて食べたことがなかったのではないかとも思えるほど、衝撃の大きい味でした。
衣の下で蒸されたスズキの身は、衣の下でホロッとくずれるほど柔らかい。
淡白なのに奥深く、嫌味のない上品なうまみ。
刺身に切りつけた切れっ端を、「どうするかー。最近やってないし天ぷらでも作るか。」なんてふた切れしか揚げなかった事が非常に勿体ない事をしました。
スズキのムニエル
皮付きの切り身に塩コショウ、好みでハーブ類。今回はタイム・オレガノ・バジルにカレーパウダーを配合したものをまぶし、仕上げにバジルソースをかけました。
切り身にしておけばこのくらいさっと15分ほどで作れてしまうので、生活の中に魚を取り入れたい方には休日の朝なんかに丁度良いのではないでしょうか。
さて、味の方はというと、スズキのムニエルは定番中の定番メニュー。
特筆する程でもないのは美味いが故。
しかし今回の個体はやけに川の香りがせず、不気味な程の上品さがあります。
ある種スズキらしい美味しさがないようなものとも思えますが、魚として破茶滅茶にうまし。
寒い朝に香るハーブ類が食欲をそそります。
朝ご飯はこれにコーヒーのみ。
添えるならトーストはいらない。合わせるならゆで卵のみで。
すずきと魚卵の西京焼き
卵巣と、中途半端に余ってしまった尾に近い身を西京味噌に漬け込みました。
スイートポテトのような見た目でこれならちびっ子も喜びそうな見た目をしているが、
食べると大人が喜ぶ味。
この細さの卵巣は煮つけて縮めるよりも、やはり焼くのがベストでした。
卵の奥深い甘みと皮目に感じられる川の香りがする身の相性がよく、
しとっとした身をつまみ、卵をちびちび合わせつつ、淡と濃を交互に楽しむのは至福の時でした。
スズキの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・・☆☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・この時期のスズキは安い。ある意味消費者目線でお買い得な旬である。
コスパ
・歩留まりは悪くない。オマケにこの時期であれば白子か卵巣も高確率であり、アラも上品な出汁が取れるので活用したい。
珍しさ
・珍しいものではない。冬場は特に鮮魚が強いわけでもないスーパーで切り身を見かけることもあり、安さゆえに出会える事は多いのでは。
味
・雑味がなく非常にうまい。特に加熱して味わい深くなる。沖へ出る冬の個体だからか川の香りも感じない。これは数食べて調べてみるしかない。
今回は冬の腹太スズキと呼ばれる産卵期のものを購入してきました。
水産業者的には冬のスズキ、特に年明け頃の産卵を終えた個体は身がやせ細り、筋肉も焼けてしまっているものも多いため、安いもののやや嫌われがち。
しかしこの手軽さと万能さという点がスズキの非常にいい所だと思います。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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