地味な魚は上物が多い『シマセトダイ』

こんにちは!夢海です🐟

 

過去に食べた魚を再び集めて計測・再評価を行うことに重点を置いて市場を駆け回る暑い暑い2023年夏。

朝から滝に打たれたくらいに全身汗をかきながら向かった8月のある日の豊洲で、再評価するにはピッタリの魚を見つけました。

 

 

シマセトダイの特徴

今日の魚はシマセトダイというお魚。

 

グレーと茶色を混ぜ合わせたような地味な体色で、一見どこにでも居そうな魚。

しかしこれが出会える確率が非常に低く、毎日様々な場所で鮮魚入荷情報を見ていても年に5.6回見かける程度。

 

この魚が再評価をするのに適している理由はその珍しさに答えがあり、

以前購入したのも5年ほど前のことで、食べたこともその一度きり。

買えるタイミングはありましたが、冷蔵庫に魚が大量にいたり、市場を見たその晩にそのまま旅に出る予定があったりと、タイミングに恵まれませんでした。

 

 

ふつう、普段あまり見かけない魚というのは異彩を放ち、多種多様な魚が集まる中でも、「なんだこれ」と目に付くものの、地味な体色に加え、見かける事の多い同属のヒゲソリダイに見た目がそっくり。

ヒゲソリダイかぁ〜なんて見逃しそうになったところ、念のため立ち止まり確認したら本種が並んでいました。

 

さて気になるのはそのお値段。

すっかりこの魚の価値を忘れており、油断しており、帳場へ並んだ際に言われた金額に驚きました。

 

数が少なく種として珍しいものはあまり高くならない傾向がありますが、どうもこのシマセトダイはそうではないそうで、今回のものはキロ3300円しました。

 

近縁種であるヒゲソリダイは味が良く近年高騰傾向にあり、それが影響しているのかシマセトダイも2000円後半〜3000円台である事が多いです。

またヒゲソリダイ含めシマセトダイは味、質のいい種が多いイサキ科の魚。

高くなるのも納得です。

 

そんな同属のヒゲソリダイとは姿がそっくりなものの、ヒゲソリダイの特徴であるヒゲを剃ったあとのような細かな"ヒゲ"が目立ちません。

 

↑ヒゲソリダイ

 

触ると全くないという訳ではなさそうですが、名残とも思えるような極小のものが僅かに生えています。

他のヒゲダイやヒゲソリダイ、セトダイといった種はこのヒゲで餌かどうかを確認する事が出来ます。

 

続いては名前の由来になりますが、

「シマセトダイの由来は何だろうな。」と考えると当然、縞模様の「シマ」なんだろうとたどり着きます。

 

そして"シマ"がいるなら普通のセトダイもいるんでない?と繋がり、セトダイは以前紹介した「タモリ」と呼ばれる魚に当たります。

 

タモリという名を持つ魚を知っているか?セトダイ食べてみた

 

セトダイは名前の通り、瀬戸内海で多く見られる魚で、この他にも有明海などの九州沿岸に生息しています。

一方シマセトダイ。これまで見た産地は高知や今回の宮崎県など、外洋に面した海域で漁獲されている事が多く、瀬戸内海に多いという訳ではなさそうです。

 

面白い事に、縞模様で言えばセトダイの方がハッキリしてるという…

 

この場合だと、シマセトダイが縦縞、セトダイは横縞になります。

 

 

今回の個体は宮崎県日向産。

6入3kの箱で並べられていた中から大きいものを2尾購入してきました。

 

シマセトダイは食用魚としては中型の部類で、大きいと2キロほどになります。

過去に一度だけ購入した事のある個体は高知室戸産の1.5キロ前後でした。

当時はいくらしたんだっけな…。

 

小さくても身はしっかりしていて丈夫な魚なので悪いことはありませんが、ここは脂も加味して大きめのものを選んできました。

 

 

シマセトダイの料理

シマセトダイの煮付け

1尾は丸ごと煮付けにしてみました。

エラわたと鱗をしっかり落としたものに湯を掛けて残った鱗と臭みのもととなるヌメりを落とします。

切れ込みをいれ、濃いめの味付けでじっくり15分煮立たせます。

 

さすがはイサキ科。皮目の旨味が強く感じられる。

身は筋肉のふしが細かく、ホロホロほぐれるものの、繊維のひとつひとつがしっかりとしていて、噛む度にコクのある旨味が広がります。

このサイズ感であれば丸々煮付けであったり、グリルやアクアパッツァなど、皮目を使った調理にするとシマセトダイのよさがグンと現れます。

 

シマセトダイのお造り

まずはお造りから。

透明感があり淡い血合いの色をします。

 

コリッとした食感のあと、イサキ科らしく香る旨味。ほんのり礒の風味があるのがヒゲソリダイ属の特徴と言えるでしょう。

優しい舌触りで、全身まんべんなく混在するしっとりとした脂がほのかに甘く感じ大変美味しい魚です。

 

グレーで一見地味な外見ですが、身の色つや、味まで一級品です。

 

シマセトダイのムニエル

刺身用に使った1尾の残り半身を使用。

鱗を落としフィレ状にしたものに塩コショウを振り、水分を取ったものにハーブやコショウをまぶし小麦粉を付け焼き上げます。

 

半身1枚のフィレ状のものを焼き上げ、盛り付けるために半分に切り分けてみました。

 

仕事上、イサキ科の魚たちは身がしっかりしているので崩れにくいものの、食べるとふんわりと軽い為イタリアンやフレンチで人気が高いです。

 

ハーブ類で香り付けしたものの、魚の旨味が負けておらず、やはり皮目の美味さは焼くことで際立ちます。

 

バジルソースを絡めて頂くとまた一変。

隠し味で少量入れたスパイシーなカレーパウダーに爽やかなバジルの香りがまろやかにし、後味としては実に良いものになりました。

 

 

シマセトダイの評価

 

価格   ・☆☆☆☆

コスパ  ・・・☆☆

珍しさ  ・☆☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

 

価格

・数がまとまらない魚というのは比較的安いものが多い中、本種は高い。超高級魚とまではいかないものの、歩留りの悪さなどを考えると可食部のグラムあたりの単価はそこそこするもの。

 

コスパ

・ヒゲダイ属の仲間は総じて歩留りが良くない。取れる肉が少ないので、美味い出汁の取れるあらを活用したい。

 

珍しさ

・滅多に見ない珍魚とまではいかなくとも、通常の鮮魚店やスーパーではまず並ばない。大きめの市場や産地で根気よく探せば見つかるもの。名前がいいのも高い理由のひとつと考えられる。

 

・漁獲量が少ないことが惜しまれるほど、かなり美味い魚。ヒゲダイ属の中でもヒゲソリダイとは味がかなり近いが、本種の方がクセが少なく上品に感じる。

 

 

今回は久しぶりに入手したシマセトダイを再度食べてみました。

 

食べたことのある魚はほぼ全てその時の味を思い出せますが、人間には限度というものがあるらしく、データが重なるに連れ解像度が悪くなっていきます。

そう言った意味でも、今回シマセトダイを再入手できた事を嬉しく思います。

 

ライター紹介

副管理人:
夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

広告