夏場のニザダイは、本当に美味しくないのか?

2021年6月12日

こんにちは!夢海です🐟️

今回はあまり美味しくないと言われているサンノジ🐟️を入手しました。

果たして美味しくないのか!?実際に食べて確かめてみましょう!

 

 

ニザダイの形態

今回のお魚はニザダイ。流通上ではサンノジとも呼ばれています。

 

グレーの体色の一見地味な見た目の魚です。

産地は千葉県館山産。野〆のものではありますが、朝獲れということもあり鮮度は抜群。ちなみに1匹¥300とお買い得。

 

この魚があまり人気でない主な理由は身の臭さです。

海藻などを主に食べる魚で、長いグルグルとした腸を持ちます。この海藻の臭いが何とも言えない香りで臭み消しですら効かないというなかなか厄介な特徴です。

動物は草食動物の方が臭みがなく美味しいのに対し、魚は草食のものであるほど臭みが出てしまう傾向があります。

 

他にも似た環境に住むアイゴという魚なども同様に未利用魚という扱いになることが多いです。

私の目標はそんな未利用魚を救うこと。美味しく調理して正しい情報を発信していきます。

 

それではまずはニザダイを観察して特徴をお伝えしていきます!

このニザダイという魚、皆さんもご存知、あの有名な魚のキャラクターの仲間なんです!

その魚とは"ドリー"の名前で親しまれているナンヨウハギ。

 

コバルトブルーの美しい魚です。

このナンヨウハギを含めたハギと呼ばれる魚達はこのニザダイの仲間、ニザダイ科に属しています。

海藻などを齧る種類が多く、みんな揃っておちょぼ口をしているかわいい顔をした魚達なんですね~😊

 

さて、ニザダイに話を戻しましょう。流通名として紹介した「サンノジ」。これは尾鰭付近の黒い斑点模様が由来です。

 

これを縦にしてみたら漢字の三の字に似ている事からサンノジ。4本じゃん!という突っ込みは誰しもするかと思いますがこれは三の字。4は漢字で4本線ではありませんからね。

 

この模様のあるところには堅い突起があります。

 

先ほどのナンヨウハギも含め、ニザダイの仲間は種類によって様々な形をしています。

あるものは収納が出来る、前方に尖ったものだったり…。

これは身を守る為にあると言われています。

 

続いて紹介する背鰭、臀鰭にも鋭いチクチクとした棘があります。

 

臀鰭。深緑→青と綺麗なグラデーションで縁取られています。一見グレー1色の地味な魚ですが、この臀鰭を見せられると飲み込まれてしまいそうになります。

 

こちらは背鰭。指で押さえていますが絶対に真似しないで下さい。毒はないと言われていますが、刺さると痛いものは痛いです。

 

側線上に黒い反転があるのもニザダイの特徴です。

まるで縫い物を縫ったかのような跡ですね。

 

お顔はシュッと凹み、どこか馬の顔にも似ています。

 

下には可愛らしいおちょぼ口が。歯も独特で面白い形をしています。

 

大きな胸鰭に比べて腹鰭は小さめ。

こちらも青や深緑といった色のグラデーションが綺麗です。

 

 

ニザダイの調理

まずはにおいの元、頭と内蔵を落としてしまいます。

 

グルグル渦巻き状の内蔵の周りには脂肪の塊が。

脂ののりは年中いい魚ではあります。

 

血合いをしっかり洗い流して三枚に。

 

包丁に脂がついてあっという間にペタペタに。

身の見た目も脂で濁っています。

 

皮を引いて切り身やサク状に、用途に合わせて切っていきます。

 

△ニザダイの皮は頑丈の為引きやすいです。

 

ほんのりと赤い、美しい色の血合いをしています。

皮目には脂の層が。

 

今回の個体はこの時点でにおいが少しある為、西京漬けにしたり、スパイスたっぷりでムニエルにしたりと色々試してみます。

 

こちらを西京味噌に2日ほど漬け込みます。

 

ムニエルは腹の方の身を使用します。

ハーブスパイスとカレー粉で味付け。小麦粉をまぶしたらたっぷりのバターを溶かして焼いていきます。

もう片側の腹のところもたっぷりのニンニク、カレー粉で味付けをして唐揚げにしていきます。

 

決して食べれないにおいではないのですが、万人受けはしません。今回の処理がどこまで通用してくれるのか、食べて確かめてみましょう。

 

 

ニザダイの料理

ニザダイの西京焼き

まずは西京焼きから。この時点で嫌な予感は薄々しています。西京味噌のいい香りも漂っているものの、あの海藻のようなにおいが感じられます。

 

恐る恐る口へ運んでみます…。

 

「うーん。思った程じゃないけどにおうね。」

身は脂を含みジューっと音を弾けさせながら焼き上がる程で、柔らかく西京焼きとしてかなり美味いのですが、海藻のようなにおいが台無しにしてしまいます。

梅雨時期のニザダイは初めてで、海藻が生える冬~春を過ぎたこの時期のものは年間の中で最もハズレな時期なのかも知れません。

 

2年前の8月に食べた長崎の〆のものは臭かった印象は残っておらず、ニザダイは"美味しい魚"というイメージしか持っていませんでした。

今回の個体で美味しくないといわれる理由がようやく分かりました。

 

ニザダイのムニエル

ハーブを多めに香りづけ。さてさて味はどうでしょう。

 

西京焼きに比べかなり緩和されました。身そのものはジューシーさがあり、ほどよく締まりとても美味しいです。

それでもどこかふわっと香る海藻のにおいが少し気になります。

西京焼きよりは食べやすく、このにおいに慣れてる方なら問題なく美味しく食べられるでしょう。

 

ニザダイの唐揚げ

最後はこちら!唐揚げです。

 

カレーパウダーをまぶし、ニンニクを強めに入れた漬けダレに投入。30分寝かせてカリッと揚げました。

今のところ3品の中で一番においが気になりません。

 

なんとこれが口に入れてもそこまで気にならず普通に食べることが出来ました。※全くにおいがしない訳ではありません。

夏場のくさいニザダイは味付けをしっかりして唐揚げにしたら何とかなりそうです。

 

 

夏のニザダイの評価

価格   ・・・・☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・・・☆☆

 

全体的に評価は低めです。

価格は魚屋に並ぶともう少ししますが、それでも安い魚である事は変わりません。

過食部はやや多め。身もふっくらとして食べ応えのある魚です。

珍しさはそれほど珍しくなく、産地としては東海地方~九州にかけてのものを比較的見かけます。

今回は夏場のニザダイということで、実際はとても美味しい魚ではありますが今回は味わいの評価を低めに設定します。

臭みのないニザダイは☆5つほどの美味さなんです!

 

今回はあまり人気のない魚、ニザダイを食べてみました。

年間で一番臭みの強いタイミングだったのであまり良い紹介は出来ませんでしが、冬場のニザダイは本当に美味しいんです。

寒い時期に手に入ったら再度ご紹介させて頂きます!

 

 

※本記事は、サテライトライターさんの記事になります。

ライター紹介

サテライトライター:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

広告