2024年の初フィッシュはクロメジナ

こんにちは、夢海です🐟

 

今回の魚は年が明けて3週目頃。

年始早々に胃腸炎と思われる吐き気に見舞われた後、やっと落ち着き食べたいものが食べられる状況に。

2024年初買いの海産物は以前紹介したアカイシガニですが、魚でカウントすると今回のクロメジナが2024年初魚になります。

 

 

クロメジナの特徴

今回のクロメジナは三重県産。

2023年〜2024年の冬季メジナの豊洲への入荷状況は富山湾や京都などの日本海側のもので始まり、年が明けたと共に三重や高知などの太平洋側の産地のものが増えてきました。

 

メジナ・クロメジナはあまり区別されて流通せず、市場でクロメジナを入手するには基本的にメジナの箱を探す事になります。

比較的南方に多いクロメジナは、日本海側のメジナの箱には滅多に混ざらず、太平洋側の産地に切り替わった途端見かける頻度が増えました。

 

37.9cmTL 951gの個体。

1キロを下回るものの、丸みがあり太っている。

 

クロメジナは釣り界隈では「尾長グレ」と呼ばれ区別される。

尾鰭の湾入はメジナよりも深く、上葉・下葉は長い。

 

敢えてメジナではなくクロメジナを選んだのは、冬場のクロメジナを知っておきたかったという理由が今回の主な理由です。

よく知りもしないでクロメジナは夏の魚だ!と思い込み、以前書いた時にもそう謳っていました。

夏に美味い磯魚!クロメジナ

しかし魚体を見た時にこれは試さざるを得ない。となり、なんでも良いから魚が食べたい。というタイミングでもあった為購入は躊躇いませんでした。

 

卸す包丁へ伝わる重さと、ベタッと付いた脂が見えてウキウキ。

そして卸した身を見るとさらにものの良さを確信。

 

これは買っておいて正解だった!

1年半前に紹介した個体よりもグンと良く、全身に脂が混在します。

 

身は透明感がなくしっかり濁っている。

 

皮を引くと鮮やかな血合いを霞ませる脂の層。

皮の下に脂が溜まる魚であるため、皮引きは簡単な魚種になります。

 

内臓からは脂肪の塊が出てきました。

冬場のメジナ類は、脂肪で臓器が押されているのではないかと心配になるほどカッチカチの固形が出てきます。

 

クロメジナも冬の魚であったのかもしれない。

そもそも夏に食べうまいと感じた個体はサッパリとクセのない美味さであったからで、大型の個体であったものの確かに脂の気配は薄いものでした。

 

ついで買いの小田原産アカカマス。

冬場は特に何度でも食べたくなる美味い魚です。

今季はあといくつ買うのだろう。

 

 

クロメジナの料理

クロメジナとアカカマスの炙り

1月も下旬だと言うのに(私の中では秋のイメージがあるため)ネタが晩秋のような、季節感を問われると萎縮してしまいそうな盛り合わせになりました。

が、季節感のおかしいことなんて、ここ最近の海を見れば残念ながら頷けてしまいます。

 

アカカマスは味わいを楽しむためにそのままカット。

クロメジナはコントラストの美しい身を表に、花のように盛ってみました。

 

前回食べた夏場のものは身も赤く、ここまでハッキリしません。

脂の量の違いに加え、三重の魚の中でも仕立てがいい産地であるため、しっかり血が抜けていることも考えられそうです。

 

深い旨味があり、まったりとコクのある味わいかと思えば血合いの酸味が塩梅良くサッパリとさせます。

味があり美味い!なのに、後味はスッキリとしておりしつこいと思わせない味わいで、1切れ2切れでお腹いっぱいとはならず、酒と共にゆったりと楽しみました。

 

クロメジナのアクアパッツァ

アクアパッツァはその見栄えの割に手軽で、更には野菜も取れて美味い。

最近、安い八百屋を見つけてしまった為、魚を野菜と合わせて調理するのがブームになっています。

 

切身にしたクロメジナはオリーブオイルでソテーする。

ほかの魚介類と炒め、両面に焦げ目が付いたら白ワイン、野菜などを入れ煮込む。

今回は貝に北海あさりを、他に冷凍のイカやエビを使用しました。

 

アクアパッツァを作る度に、イカは生のもの、エビも都度スーパーなどで購入していたため、毎度毎度コストがかかる。となり、今回は冷凍品を導入。

冷凍品に興味なんかないやい。という私でしたが、ふとアクアパッツァを作りたいなとなった時に役に立つものです。

 

エビやらイカやらのエキスを吸い、色味が秋鮭らしくなったクロメジナ。

ホロホロっと繊維がほどける食感。

クロメジナの脂が汁に溶けてスープと合わさり身は脂っこさが抜け食べやすく、海鮮の旨味が凝縮したスープと合わせることでクロメジナの旨味がよく伝わります。

 

クロメジナの照り焼き

切身にしたクロメジナをサラダ油で焼き、野菜と炒めて火が通ったところでタレを入れます。

 

普段、照り焼きをするのに選ぶのはイナダなどが余ったときで、白身を選択する事は少ないです。

しかし今回、使わねばならない野菜があり、脂のある切身であったため、足し算して出た結果が照り焼きでした。

 

皮が厚くそこに旨味の溜まる魚であれば大抵は美味くなるのだろうな。と思ったのが今回の結末。

 

磯魚のクロメジナは程よく皮目に香りがあり、これが活きます。

これに甘いタレを絡め、白米の上でバンドさせて掻き込むと腹が膨れるのを忘れたようにガツガツとご飯が進みます。

困ったことに最近、加熱調理した魚で白米を掻き込むことが多く、美味い魚が多いって幸せだな。なんて満腹感と幸福感に包まれるのでした。

 

クロメジナの天ぷら

刺身にした半身のうち、腹側の柵を天ぷらにしてみました。

 

脂のある魚を揚げるという行為は、ここ最近になりやっとその良さが分かるようになりました。

油✕魚の油 では、あまりにしつこいのではないかという考えでしたが、その脂に含まれている旨味を閉じ込めるという仕組みを考えると、魚種によっては美味しい調理法へとなります。

 

冬場のクロメジナは特に上品な脂であるため臭みがなく、揚げて油を落とした熱々のものを天つゆに少々くぐらせると脂が緩和され、クロメジナの強い旨味に包まれます。

脂っこさを感じないのは、身が程よく締まり筋肉の繊維が感じられるほどに食感が残っているため、柔らかすぎないためかもしれません。

冬であれば手に入る柚皮を衣に混ぜ込んでおいても良しでしょう。

 

 

クロメジナの評価

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・メジナのいいところは旬の時期に安いところ。まとまって獲れるため、上物でも安く買えるため毎年買ってしまう。これがクロメジナとして区別されてしまえば、クロメジナの方がやや高くなるのでは?(過去に区別している産地では決まってクロメジナがより高かったという個人的経験の元)基本的には区別されないため、個人的にはクロメジナを選んぶと得した気持ちになる。

 

コスパ

・メジナは歩留まりは良い方だ。頭部は肉が少ないが、あらは濃い出汁が取れる。

 

珍しさ

・クロメジナは産地によるが、太平洋側のメジナの箱を漁れば意外と見つかるもの。日本海側の産地(富山湾など)ではまだあまり見かけていないが、今後増える可能性もある。

 

・メジナに比べて磯の香りが薄く上品な印象。食べた個体数はまだ10個体前後と少ないため、断言には至らないがメジナよりも個人的な評価は高い。

 

今回のクロメジナは印象を覆してくれた思い出の1尾となりました。

メジナは冬の魚であり、クロメジナもまた同様に冬がうまい!魚なのかも知れません。

 

実際に見て、買って、食ってみる。というのが一番に魚を知る行為であり、特色を見つけるという行動で、

今回の個体に出会えなければ私の中でクロメジナは夏の魚であり、冬場に見かけても大した反応は出来なかったと思います。

そもそも旬というものはどの産地やサイズの個体にも当てはまる万能なものではなく、これを外していても状況により美味いものは美味い!となります。

そうなると旬とは何なのだろう。どちらかと言うと漁期的や漁獲量で見る機会の多い時期を指し、分かりやすく言えば桜は春。のようなもっと季語的な意味なのではないか。なんて、今回のクロメジナのような魚を食べると考えてしまいます。(例えばホタルイカは圧倒的に春と言えるのに、少ないながら通年ある魚は分からない。という意味。)

それはさておき。美味い物は美味い。ので今回はここにて完結。

 

水族館で出会ったクロメジナ

 

メジナなどと混ざって展示されている事が多い。

メジナのいる水槽をよく観察すると紛れている事が多々ある。

 

写真は閉園してしまった、丹後魚っ知館。

 

クロメジナは鰓蓋が黒く目立つ。

鱗に模様がないためグレー一色に見える。

 

メジナ(左)とクロメジナ(右)

生時、メジナはやや青みがあり、クロメジナの方が色が薄い。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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