やっと出会えた鮮度のいいハシキンメ

2024年1月27日

こんにちは、夢海です🐟

 

これまで、かれこれ600種以上の魚を食べてきて、美味い魚もごまんといましたが、その全てが果たして一番美味しい状態のものだったと言うと絶対的にそうではありません。

鮮度がやや悪くなり始めているものや、漁法により傷んでしまっているものなどを1個体のみ食べたことがある。なんて事も多く、今回紹介するハシキンメもどこかでリベンジしたいと考えていた魚でした。

 

 

 

ハシキンメの特徴

今回のハシキンメは小田原産。

これまで2度食べたことのあるハシキンメはどちらも沼津産のもので、漁獲から都内へ届くまでに時間が掛かってしまいます。

そして水氷仕立てで来るものの、内臓が水へ溶け出て黄色っぽく変色した中に並べられていて、色はくすみ、内蔵も溶けてしまっている。

においが出てきているなんてものが多く、食べたことのあるハシキンメも同様の状態でした。

 

そのためこの魚に対する印象としては、あまり美味くない魚止まりでいた為に、どうにか鮮度のいいものを探したいと思っていました。

そんな中、発色がよく、関東にすぐ届けられる小田原産の今回の個体は発色が非常にいい状態で魚屋に並べられていて、買ったものを触るとハリがあり体が曲がりません。

 

ニマニマしながからレジ横の製氷機で袋氷を作り、そこから電車で自宅へと戻る最中に「今夜は刺身かな。」なんてワクワクしながら帰る楽しい帰路になりました。

 

口は大きく、口内は真っ黒。

 

目の周りには太陽のような模様の骨格が囲います。

よく似たヒウチダイは凹凸がより顕著に現れます。

 

全身を細かい鱗がビッチリと覆っています。

細かく、皮膚にしっかり食い込んでいるものの、身が柔らかいため鱗取りにはやや苦戦します。

 

腹を覆う楯鱗。

ヒウチダイ科の特徴です。

 

尾鰭の上下には小さな棘があり、うっかり刺さると痛いので要注意。

 

鰓は鮮やかな紅色をしており、張りもある今回の個体。

 

持ち帰ったその足でそのまま水洗い、3枚に卸します。

全身は薄ピンク色をしていて、キンメダイに近い印象。

 

特に腹まわりに多いものの、全体的に脂が混在するタイプの魚です。

 

皮を引くと皮の濃い赤色とは異なり、銀色の皮目が顔を出し、どこかシマアジなどのような、アジ科とも思える身をしています。

 

半身はこちらを使いお造りに。

残りは3等分し、加熱用として頂きます。

 

 

ハシキンメの料理

ハシキンメのお造り

購入当日。あまりにも早く食べたくなってしまい、前日に買っておいたクロソイを刺身にする予定が、今晩はハシキンメになりました。

 

ここまで発色がよく、且つ卸してこんな素晴らしい身をしているのだから仕方ないよね。

 

刺身はよく冷やし、友はレモンサワー。

間もなく25になるというのに未だにビールの味になれず、親友はひたすらにレモンサワーでした。

 

サワーを流し口を洗い、わさびをちょいと。醤油をちょこんとだけ漬け、切り身を舌へそっと乗せる。

 

しとっとした甘さが優しく包み、後を引かずにササッと消えるところに上品さが感じられ、あの見た目とは正反対で繊細な旨味です。

過去に頂いた個体だと臭みが出てしまっていた為、素の味というものがわからないままでいたのが非常に勿体なく思える程に美味い魚です。

 

ハシキンメのにぎり

刺身用に取った柵の端を握りに。

 

血合い・皮目・身の色と、見た目が非常に美しい寿司になりました。

 

身は柔らかく、ほどよく酸味があり旨味がありシャリとよく馴染みます。

喉越しがよく完成度が高い一貫でした。

 

やや厚みのある切り方で頂くのがよし。

柔らかさの中にあるプリプリな弾力に、甘みがそっと触れる様子がとても美味。

人生初のハシキンメの握りに舌鼓を打ちました。

 

ハシキンメの塩焼き

半身の尾鰭の方を骨付きで塩を振り、焼き上げたもの。

これまでハシキンメを塩焼きにして食べたことがなく、純粋な興味で焼いてみました。

 

しかしこれがまっっっこと美味く、皮はパリッと、身は水分が抜けてパサパサという事はなく、旨味の詰まった汁がじゅわっと溢れ出ます。

程よい身の締まりで、ツマミでも良ければ、ご飯のオトモにも。

 

ハシキンメの煮付け

頭とカマの周りは煮付けに。

鱗を落とすのがまあ大変な魚で、湯通ししてもなお頑固に貼り付いている為根気のいる料理です。

 

ただ食べてしまうとそんな努力も吹き飛ぶ美味さ。

これ、キンメダイの煮付けよりも美味しいんでない?

キンメダイの煮付けはほろほろと(これが美味いのは承知だが)して箸でつかみにくいものの、(カマや頬肉以外の身も)ハシキンメはちょうど箸で摘みやすくまとまって筋肉が締まります。

個人的にはちょいと硬く締まった煮付けが好きなためか、腹の甘い肉を堪能したあと頬肉・カマ肉にかぶり付き、ご飯のお供とする筈が集中して食べきってしまいました。

 

ハシキンメのオカシラの煮付けはキンメダイよりも可食部があり、(インパクト抜群で)見応えあり。

 

ハシキンメフライ

ラストはハシキンメフライで締めくくります。

3等分にした半身の真ん中を贅沢に、開かず厚みをそのままに、分厚い一番うまいとこをフライにしました。

 

程よい締まり具合。筋肉の節がほろりほろりと崩れるものの、さらに細かい繊維は強く束になっているためプリッとした食感が感じられます。

臭みもなく淡白な旨さが後をひき、この魚の上品さが感じられます。

 

 

ハシキンメの評価

 

価格   ・☆☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

 

価格

・平凡〜やや高級。特に釣り物などはキンメダイと同等の価格帯。

 

コスパ

・歩留まりは見た目ほど悪くないかも。

 

珍しさ

・たまに見かけるものの、安定的に流通はしていない。状態の良いものは見かけたら買い。

 

・嫌味のない上品なうまさがある。ただし鮮度が良いものを選ぶのが大前提。イマイチなものは加熱するとよい。

 

今回は、素直に美味しいと思えていなかったハシキンメを鮮度のいい個体でリベンジしました。

何も魚は鮮度が必ずしも重要ではないものの、購入時の状態というものはその後の調理の用途幅に直結するため、それは当然良いものが欲しいわけです。

珍しい魚はひとまず鮮度や状態を問わず買ってしまいますが、このハシキンメはイマイチな状態だけどとりあえず食べてみよう。というところで止まっており、身近で魚をよく食べている方との評価に差異があったままでした。

もちろん味覚なんて人それぞれ。昔から食べ馴染んだ味が美味いのは当然だし、それほど気にする点ではないとは思うものの、やっぱりこの魚のポテンシャルは記憶の中で止まっている程度ではありませんでした。

 

ハシキンメの見られる水族館

 

ハシキンメは水族館で展示される深海生物の中でも比較的観察する機会が多い魚。

深海生物の展示がある施設であれば、高確率で出会うことが出来る。

↑うみたまごで撮影

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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