カンムリベラはベラの王様?
こんにちは!夢海です🐟️
今回は念願の魚を入手しました!今回も美味しく頂いていきましょう!
目次
カンムリベラの形態
今回の魚はカンムリベラ。なんと!ご厚意で頂いたものになります。
本当に長いこと憧れていた魚で大変感謝しております。
こちらがそのカンムリベラ
とても鮮やかというには何とも人工的なペンキを塗ったかのような色合いで、他のカラフルな熱帯魚に比べるとひと味違った色彩をしています。
こちらをなんと2個体も頂きました!
釣りで捕獲された個体で、場所は八丈島、大きさは大きいもので40cm,1016g。
因みにカンムリベラは成長するに従って性転換する典型的なベラの仲間です。
子供の頃は雌で生まれ、白い体にオレンジ色の反転がある幼魚からガラッと見た目を変えて深緑色の成魚に成長します。そのため今回の個体はどちらも雄になります。
それではじっくり見てみましょう!
まずは胸鰭のまわり
カンムリベラの特徴の一つに、深緑色の体の真ん中にやや薄めの青が混ざったかのようなラインがあります。
このシュッと伸びた腹鰭もまたこのカンムリベラの面白いポイントだと思います。
そんな鰭でなんの役に立つの!?なんて思わず突っ込んでしまいそうですが、泳ぐ時は器用に開いては方向転換などに使っています。
臀鰭。高級そうな絨毯にありそうな模様が散らばり、オレンジ色、エメラルドグリーンのラインで縁取られています。
オレンジと薄い緑色のグラデーションはベラや近縁のブダイなどでもよく観察出来ます。
この色鉛筆や絵の具で塗ったような見た目。見れば見るほど吸い込まれてしまそうです。
細かな鱗が網目模様になって複雑に連なっています。
まるで齧られたような尾鰭も特徴的。
実は名前の由来はこの尾鰭からきているのです。
というのもこの尾鰭を上にしたら…
どうでしょう。絵に描いたような冠に見えませんか?
尾鰭を上にした時の形が冠に似てるからカンムリベラ。この見た目だとまず鮮やかな体色に目を奪われてしまいそうですが、由来は鰭の形からきているんです!
物凄い観察眼だと思います。メガネモチノウオことナポレオンフィッシュのように、雄になるとおでこが出っ張りそれが冠に見えるからというものだと長年思っていました。しかし実は尾鰭の形が、と聞いたときに恐ろしいほどに深く納得出来ました。
魚の名前というのは、見た目から付けられた一見単純なものが多いです。しかし意味や由来を調べれば自分では見ることのなかった角度で観察出来て、新たな発見があるんですねー✨
それでは観察もこのあたりで。調理していきましょう!
カンムリベラ「サバイテイクヨッ!!」
カンムリベラの調理
2匹合わせてちょうど2キロほど。こんなに沢山あるので様々な調理法で食べ尽くしましょう!
まずは頭を落として鰓と内蔵を抜きます。
鰓の奥の方からなにやら堅い骨のようなものが
こちらは咽頭歯と呼ばれる、主に餌をすり潰す器官になります。実は多くの魚がこれを持っていますが、特にこのベラの仲間やブダイの仲間は大きく発達しています。
口のこの歯で獲物を捕まえたり、時には餌を捕獲するとき石などをひっくり返して探す事も出来る、手先ならぬ口先が器用な魚です。
水族館でもベラの仲間、特にこのカンムリベラ属の魚は比較的よく観察出来ます。
サンシャイン水族館のツユベラや葛西臨海水族園のカンムリベラなんかがオススメ!
口の使い方も多種多様。もっと伸びてストローのように餌を吸い込む種類もいます。
捌くのにかなり脱線してしまいました💦
こちらがカンムリベラの身になります。真っ白な身がとても綺麗です!
フエフキダイなど南方の魚によく見られる身の色をしています。
身の様子は加熱向きといった質感。
水分が多い訳ではありませんがふわふわと柔らかい印象。
生で食べれますが、ベラの仲間は旨味を堪能というよりも食感を楽しむ魚です。しかし初魚種は気になるので握りを作ってみましょう!
ということで1尾分は丸々皮を引きサクを用意します。
これを全て生食には使わないので、刺身状に切り分けたら残りはフライや唐揚げ用にカットしていきます。
たまたま西京味噌もあったので西京焼きにもしましょう。
残りは鱗を落として骨ごとぶつ切りに。
鱗は落としやすいですが、よく飛び散るので水をかけながらなど対策しないと悲惨な事になります。
カットしたら切れ込みを網目状に入れていきます。
こちらは全てバター焼きに。
厚みのあるところは深めに切れ込みを入れてしまいます。
鱗を落としたものの残りの半身はマース煮にしましょう。
熱帯地域の魚は熱帯地域の食べ方が美味しいです。
カンムリベラの料理
カンムリベラの唐揚げ
一口大にカットして味付けをしたもの。出来立てを頂きます。
サクッと弾けてはふわふわな身が溢れ出ます。
身は細々として柔らかくとろけるようなタイプ。揚げ物なのに食べ応えを感じず、あまり唐揚げには向かないと思います。
とはいえ美味しい事に変わりはなく箸が止まりません。
切れ端を揚げた為にカンムリベラの持ち味を最大限に引き出せなかったと思います。
続いては厚切りのフライを!
カンムリベラの食べ方
カンムリベラフライ
こちらは厚切りに。唐揚げと違い食べ応え抜群であること間違いなし!
ソースをかけて頂きます!
これこそがカンムリベラの持っている底力であることは間違いなし!
ザクザクの衣の下はふんわり食感で旨味も感じられます。
厚切りなので食べ応えも抜群。ベラは柔らかい食感の為厚切りにするのがオススメです。
カンムリベラの天ぷら
揚げ物ラッシュです(笑)ふわっと仕上がりました。
カレー塩で頂きます。
鼻を抜けて広がるカレーの香りにカンムリベラは旨味で対抗。味付けに負けてカレー味の何かではなく、しっかりと魚の天ぷらということを忘れさせないまま消えていきます。
軽やかなスナック感覚で食べられます。
カンムリベラのマース煮
沖縄の郷土料理、マース煮です。
カンムリベラは伊豆諸島以外にも沖縄などで漁獲されます。地域性の相性抜群。味わいは…
こちらも美味い!
煮ることで揚げてふんわりとした身とは違い、少ししまって魚らしい食感になります。
醤油で煮つけても美味しいとは思います。が、上品な旨さのカンムリベラは繊細な薄味のもので味付けした方が素材として引き立たせる事が出来ます。
カンムリベラのバター焼き
身が柔らかく崩れてしまいました。
焼いてもしまらず、ここまで柔らかいものとは思いもしませんでした。
皮はカリッカリでバターの甘味とふわふわの身が混ざり合う、なんとも楽しい味わいです。
心地のいい磯の香りも感じられ、味付けのスパイスもしっかり効いていて繊細ながら味覚を何層にも分けて楽しめます。
カンムリベラの西京焼き
一晩西京味噌に漬けて焦げないよう気をつけながら焼き上げます。
食欲をそそる味噌と焼けた魚のいい香りが漂い、皿に盛りつけるとすぐにパクッと一口。
ほっぺたが落ちる美味さです。
固くならず程よくジューシーなカンムリベラにはもってこいな調理法。魚そのものの脂はやはり薄いですが、それこそサワラなどの高級西京漬けのネタにも匹敵します。
カンムリベラの握り
まるでイカのような、魚にしては真っ白な身が目を引く握りになりました。
厚すぎず、薄すぎずの厚みで切りつけ山葵で握ってみました。
食感はとてもよく、もちふわっとします。少し筋が残ってしまうことと、魚そのものに旨味が少ない点が少々残念なポイント。しかし一人前の握りの1貫として入るとその見た目から目を引く存在になりそうです。
そのままで食べるには少し物足りないのでゆず塩で炙る、ジュレポン酢と浅葱をのせるなどすれば申し分のない1貫になること間違いないと思います。
今回は試しませんでしたが、湯引きにして皮を活かすのもまた見た目がよく仕上がりそうです。
カンムリベラの評価
価格 ・・☆☆☆
コスパ ・☆☆☆☆
珍しさ ・☆☆☆☆
味わい ・・☆☆☆
今回は頂き物の為評価出来ませんが、価格は一度だけ魚屋時代に入ってきたことがあり、キロあたり¥1000ほどだったと記憶しています。
航空便を使った八丈島のものだったのでやや割高にはなっていますが、現地での評価はここまで高くないものと考えられます。
コスパよし。食べる部位がとにかく多い!ベラの仲間は尾鰭の方まで身がびっちり詰まっています。
珍しさはなかなか流通しない為入手困難な魚の一つだと思います。
どうやら面白いくらいに釣れるのだとか…。
味わいは☆3です。美味しいけどカンムリベラとしての特色が薄い為控えめな評価です。
しかし腐ってもタイならぬ腐ってもベラ。身質は良好で、加熱すると特に美味くなります。
釣りの外道(狙いの魚でないもの)としてよく釣れるそうですが、大きく食べ応えもあるので釣れた際は持ち帰ってみてはいかがでしょうか。
※本記事は、サテライトライターさんの記事になります。
サテライトライター:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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