絶品!幻のカツオ”スマ”食べてみた

こんにちは🐟️夢海です!

今回は以前ご紹介しました、幻の絶品カツオ”ヒラソウダ”の上位互換、スマのご紹介になります!

 

 

星模様が美味しさの証

主役のスマはこちらになります!

すまがつおと呼ばれていたり、地域によってはお腹の黒い斑点がお灸の痕に見えることから灸(やいと)かつおと呼ばれたりしています。

この星の数は個体によってまちまちです。昔お世話になった先輩は7つ星が美味しいとかどうとか…。真相は闇の中です(確実な根拠はありません。)

 

鰭を広げてみました。背鰭が鋭く頑丈です。この鰭を使いブレーキをかけたり、海中を自在に泳ぎ回ります。

そしてこのサバ亜目の特徴は尾鰭近くのギザギザ。小さく離れた鰭と書いて小離鰭(しょうりき)と呼びます。

 

泳いでいるカツオやマグロをよーく観察すると、この小離鰭がヒラヒラと左右に動いているのを確認出来ます。

どうやらこの鰭が水を受け流し抵抗を減らしているのだとか。

 

 

スマの捌き方・調理

水の抵抗を減らす為に他にも面白い特徴を備えています。

一般的な魚を思い浮かべて下さい。

 

恐らく多くの方が、この問いに対して鱗がほぼ全身に付いているものを想像するかと思います。

しかしこのスマ含むカツオ、マグロの仲間はかなり退化しており、特に固いものは頭部や胸鰭の上部に集まっています。

そのため、調理をする際はまずこの鱗をすき引きしてから卸し始めます。

触れば容易に分かりますが、このスマはしましまの波模様のない部分を表面の皮だけを取るイメージで処理していきます。

次に頭を落とし、内蔵を洗います。

 

洗えたら続いては背鰭もこの段階で落としていきます。背鰭の両サイドは固い皮で覆われているので、背鰭と垂直になるように皮だけを剥がしていきます。

後端は第二背鰭から包丁を入れると綺麗にいきます。

 

両サイドにガイドラインを入れられたら包丁を逆さにして第二背鰭からコツコツと叩いて剥がします。

 

これを怠ると背鰭周りの固い皮に邪魔され身が骨に残ってしまう、なんて事があります。

 

これで下処理は完了。ここでようやく身に包丁を入れていきます。

ここからは通常のカツオ同様に卸します。

開くとこの鮮やかな赤身に思わず声を上げてしまいます。

カツオほど濃い赤でもなく、キハダの子供やコシナガと呼ばれるマグロほど薄くもない、まるでお寿司屋さんのマグロの赤身のような色。

このサイズでこの色が出るのはスマくらいでしょうか。

 

何も食べていない状態で捌いていたので、ここで空腹がピークに。

こちらをサクに切り分ければお刺身用の仕込みは完了。

 

血合い周りは竜田揚げにしてしまいます。

こちらに醤油や酒で味付けをして揚げるだけで完成!

マグロやカツオ類を捌く時はよく作ります。

 

そして頭やカマで鹿児島の郷土料理、ビンタ煮を作ります。

 

この様に頭を半分に割り煮付けていきます。

心臓も一緒に煮てしまいます。

△右下の黒いものが心臓です。

 

ビンタ煮のビンタというのは鹿児島の方言で「頭」を指します。簡単に解釈すれば兜煮を方言で訳したような感じですね(笑)

鰹節を作る工程で不要な頭を活用したメニューのようです。

これを味噌で味付けします。

 

 

絶品スマのフルコース

スマのお刺身

スマをサク状にしてそのまま切るものと表面を炙ったものを切りつけてみました。

色合いはまるで中トロ!赤身ほど赤くはなく、白い部分とグラデーションになっており脂がある様子が伺えます。

赤身はわさび醤油がよく合うので今回も定番で頂きます。

 

醤油にちょこんと付けると脂が浮かんできます。

 

口へ入れると赤身特有の酸味が溢れ、後を続くように脂の甘味が溶け出します。

そして何よりもトロける!!背中の節を使いましたが、それこそマグロでいうトロのようです。

 

実はこのスマは全身トロを堪能出来る素晴らしいお魚なのです!

しかも脂こい訳ではなく、程よい脂のノリで酸味も強くない為飽きが来ません。

無限に食べられてしまいそうな、まるで悪魔の食べ物です(笑)

 

続いては炙りを!

 

醤油でちょこんと味付けをします。

 

こちらも脂がじわ~り浮かび上がります。

いやぁ、見てるだけでたまりません…!!

 

タタキほどガッツリ炙らず表面が変色する程で炙りました。

こちらはそのままのお刺身よりも香ばしさがプラスされて(ほぼ無いですが)魚の臭みが緩和され、苦手な方でも食べて頂けるんじゃないかな。と思います。

 

スマガツオと呼称する事もありますが、味わいはカツオの特有のにおいというものがなく、マグロに近い感じです。

実際に身近な人でカツオが苦手という方に薦めてみたらおいしかった!と食べられるほどかなりマイルドな味わいです。

 

スマの腹んぼ

こちらは腹んぼと呼ばれるお腹の骨がない部位です。

高知などではカツオのこの部位を炙ったり味付けをしたものをお土産として売っていたりもするので是非探してみて下さい!

今回は塩を振り塩焼きに。

 

先程も書きましたが骨が無いためこのままバリバリと食べることが出来ます。

お腹の部位なので脂はもちろんのっています。

 

美味しい珍味なので、カツオ類を捌く際には是非お試しを!!

 

スマガツオ握り

お刺身で美味しいものは握っても美味い!

と必ずとは言い切れませんが、旨味が強い、身が柔らかいものは間違いなく寿司に合います。

柔らかいとシャリと溶け合い易く、味が広がります。

 

好みにもよりますが、ウニやサーモンも寿司で人気なのも相性が良いからこそだと思います。

このスマガツオはマグロのトロに比べると、脂が控えめで優しい味わいです。

 

シャリの香りをかき消してしまうほどの脂ではないため、酢飯とよく混ざり合います。

幻のカツオとも呼ばれる程なので、出回る機会は少ないのですがこれを食べてしまったら間違いなくリピートしたくなる旨さです。

寿司の中でもトップクラスで美味しい食材だと思います。

 

スマガツオたたき

 

 

 

 

 

高知風にネギとポン酢で頂きます。

 

本場ではここにスライスニンニクをのせたり、ネギももっと散らして食べますが、ニンニクが無かった為あくまで高知”風”で。

赤身と薬味は相性バッチリなのでさっぱり食べられて箸が止まりません!

脂が薬味で中和されて重く感じさせません。

ポン酢もここにかけてあるのでそのまま豪快にかき込めるのがまた良いところですね!

 

スマのビンタ煮

甘い香りが漂います。

 

カツオやマグロは鱗がかなり特殊な形状をしており、頭の鱗は針状に尖っています。

この鱗の下から出てくる頬肉が非常に美味しいんです!

 

ホロホロと缶詰めの肉とも思えるようにほぐれて溶けます。

量は非常に少ないものですが、抜群に美味しいので食べ忘れ厳禁ですよ!

 

続いては心臓のほう頂きます!

処理は煮付ける前に血が程よく抜けるように塩水で洗います。

鮮度が良ければお刺身でもいけます!

 

一口齧るとまるでレバーのようにホロホロです。

 

そして如何にも鉄分を含んでいそうな味わいです。

甘辛い煮汁と合わさりちょうど食べやすい味付けになりました。気になる方はレバーを想像してみて下さい。まさにそれです。(笑)

珍味ではありますが、レバー同様においしく頂けます。

いくらか集めて炒めればレバニラ風にもなりそう!

 

 

スマの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・☆☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

まず価格は決して安くはありません。

産地だと安い場合もありますが、都市部に流れてくるものは近年評価が上がり値段が高騰してきています。

コスパは今回の記事でご紹介した通り、頭まで美味しく食べられます。ご紹介はしませんでしたが、中骨は中落ちを取ってからあら汁にも使えます。

”幻の”とも言われますが、カツオ程多くは無いにしても決して珍しいものではありません。

九州~沖縄方面でよく漁獲され、また完全養殖もされていたりとこれから口に出来る機会が増えるかも知れません。

味わいは極上です。マグロ寄りのマグロとカツオの中間のような特徴を持ち、今まで体験したことの無いような味わいを感じられるかと思います。

 

今回は幻のカツオ、スマをご紹介しました!

如何でしたか。きっと食べたくなった筈…😁

魅力が伝わっていれば幸いです。

 

スマは養殖の研究がされていたり、時折テレビ番組で取り上げられたりと、今注目されている美味い魚です。

きっと大衆魚というものはこのように誕生していくのでしょうね。

昔は鮮度保持が難しく、マグロはあまり人気の無い食材だったりと今では信じられない事も多々あります。

近年温暖化や海水温の上昇といった単語を聞く機会が増えました。

真実は正直分かりませんが、亜熱帯に生息する魚が東京の目の前の海にまで入ってきている目撃例は確かに多いです。

すなわち、温帯に生息している今頂いている魚も何処か北へ移動してしまったり数が減少していく可能性も無くはありません。

それを防ぐにはどうするか。より満遍なく多くのお魚を頂き、時代に合う大衆魚選びが大切だと思います。

生物たちは多様にいるように見えて、特定の種がいなくなれば生態ピラミッドが崩れてしまったりと、非常に繊細な中で彼らは生きています。

特定の種類をいつまでも深追いし続けていればいずれ枯渇してしまいます。

そして漁業の盛んな街では古くからの伝統の漁法があったり、歴史もあります。しかし効率性の良い漁法では決して無い為これでは賄いきれません。

そうなると効率性だけ重視した漁法が多くなってしまいます。

こういった漁法が必ず悪だという訳ではありません。しかし効率性だけを見て伝統の漁法を潰してしまうのは違うのではと思ってしまいます。

 

こういった歴史や先人の知恵から、資源を採りすぎてしまわない工夫があったりと学べる事は沢山あります。

歴史を守り、魚たちも守れる事に繋がるので多くの方に興味を持って頂きたいです。

皆さんで美味しい魚を食べ、日本の漁師さん、水産業を支えましょう!

 

本記事は、サテライトライターさんの記事になります。

ライター紹介

サテライトライター:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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