名前が奇抜なチョウセンバカマは王道の味

 

こんにちは、夢海です🐟

 

市場は歩いていると季節を感じられるだけでなく、面白い魚がそれなりに入り、毎日歩いていても楽しいと思えます。

早起きして仕事前に顔を出すという日課を送っており、いいものがあれば買って今晩は何を作ろう。なんて考えるという1日は心にも体にも健康的な日々を送っています。

 

なんて前ぶりをしておいたら、今回の魚は市場で見つけて来たのだろう。となりますが、長崎から直接送っていただいたものになります。

というのも、今回紹介する"チョウセンバカマ"はまとまって水揚げされる事が少なく、正箱(同じ魚種・サイズでまとまって仕立てられた箱)を作るのが難しく、そういった魚は色箱(サイズや種類がまちまちの箱)で送られてきます。

 

しかしなん十軒と仲卸が立ち並ぶ豊洲で、この色箱を探すには少々努力が必要で、競り場ならまだしも、仲卸ではあまり並べているところは見かけません。

ましてやその中でもチョウセンバカマという魚種を絞って探すには、自身の努力が足りない可能性もあるものの、なかなか骨が折れる作業になります。

魚によっては市場で探すよりも、取り寄せる方が楽である場合があります。

 

 

チョウセンバカマの特徴

今回の個体は長崎県産。

 

入手は実に4年ぶりになります。

以前のやってきた個体のサイズ感は記録を取れていませんが、体感的に500グラムほどであっただろう。と認識しています。

それが今回やってきた個体は33.0cmTL746gとかなり大型の個体。

少なくとも私が見てきた中では最大のものです。

 

この魚は2020年最初の外に行けぬわ。魚が買えぬわ。なコロナ禍の時、本当にお世話になった卸さんより取り寄せました。

 

頭は三角形。

 

背鰭は強い棘条が並ぶ。

棘のすぐ後ろに白いラインが通る。

 

背鰭軟条は目立つ班があり、他のところは半透明。

 

尾びれはやや湾入し白く縁取られる。

 

鱗は細かくやや剥がれにくい。基本的には鱗が剥がれずしっかり付いた状態で流通するので、きれいな状態で観察でき嬉しい魚です。

 

顔は尖り腹は平ら。

新幹線のようなフォルムで、全体的に黄土色の比較的大人しめな見た目です。

久しぶりにチョウセンバカマを扱ったものの、身は膨れて張りがあり硬く、この個体は間違いなく良いものだと直感で感じました。

 

 

チョウセンバカマの料理

チョウセンバカマのお造り

まずは単に刺身から。

皮を引いたもの、皮を炙り焼霜にしたものを造りました。

 

血合いは薄く淡い見た目。

しとっとした舌触り、身質は硬く、皮目にゴリッとした食感があり歯ごたえが良い。

主産地である九州の甘い醤油に合わせると美味でしょう。

淡い旨味があり、奥深い。

 

焼霜はこの魚で初めて試した調理法になります。

皮は厚みがあるためしっかりめに炙る。

が、思っていたほど硬くはありません。

皮下にコラーゲン質の層があり、これが食感としてワンクッション挟みます。

 

チョウセンバカマの握り

血合い骨を抜き、背腹を切り分けない状態から切りつけ、身の高さのあるカミの部分を切りつけました。

 

血合いは赤く、タイ系の美しい見た目をしています。

今回は単にわさびのみでつけてみました。

 

刺身で述べた通り、皮目にゴリッとした食感があり身は柔らかい。

ほのかに香る酸味と、甘みのある優しい口当たりの味わいです。

シャリとも相性のいい質をしており、握りとして非常にうまし。

 

チョウセンバカマの卵とじ丼

残り半身を長い事冷凍庫にて保管していました。

引っ越し作業がいよいよ本格化し、冷凍庫の在庫を消費する中で発掘されたところを融かしてごま油でソテーし、醤油などで味付けした溶き卵に綴じてみました。

 

魚の卵綴じはヘルシーで見た目以上にあっさり食べられ美味しい調理法であると考えています。

ごま油の香りで食欲をそそり、出汁を効かせたふわっと食感の卵と、しとっと柔らかいチョウセンバカマの身が米を食べる手を止めさせません。

火を通すと身の節は細かくまとまり、身離れのいい印象です。

 

これは骨付きで焼いても食べやすいでしょう。

出汁で味付けをした中でもチョウセンバカマの味は活きており、素材として優秀である事が伺えます。

 

 

チョウセンバカマの評価

 

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・数がまとまらず、知名度も低いことから比較的安い。

 

コスパ

・歩留まりは悪くない。鯛型をしているが頭は小さめ。

 

珍しさ

・珍しい魚ではないものの、産地周辺で消費されるもの。都内では目にする機会は少ない。売っているところを2度しか見ていないところからも、産地から取り寄せた方が入手は早いと思われる。

 

・万能な魚。刺身でもいいし焼いてもいい。特有の香りがあるのは砂泥底に生息する魚に共通する。

 

今回はチョウセンバカマを調理して頂きました。

久しぶりの入手ではありましたが、これまでのもので、最もポテンシャルの高い個体に出会えました。

味は王道、横綱級。であり、白身としてバランスの取れた味わいである。と知れただけで今回の収穫としては大きいのではないでしょうか。

人生でまだ3個体しか食べたことがない種なので、まだまだ表面的な評価しかできませんが、この魚は美味いと声を大にして伝えたいと思います。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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