ポテンシャル100%!旬真っ只中のツムブリ食べてみた
こんにちは!夢海です🐟️
上質な魚を見つけては買い、見つけては買いを繰り返した2022年秋。
今年も後少し、色々と食べたなぁと思い過ごしていたある日、ふと目に付いたとある情報。
五島列島で漁をされている方が鮮魚販売アプリに掲載した、一際目を引く魚。
その漁師様のプロフィールなどを見ても魚を大切に扱っているのが伺えます。
これは買うしかない!と、悩む間もなく購入ボタンを押した2日後…
ぶりっぶりに太ったこの魚が届きました!
それでは紹介していきます!
目次
ツムブリの特徴
そういえばこの魚を紹介したことがない。
そもそも、この魚を本当に美味いと感じたことがなかった。
そんな思いで取り寄せたこのツムブリ。
タグには大きな文字で書かれる「俺の魚」。
こういった目立つネーミングは覚えるし、何よりもこだわってタグまで作るところの魚がまずい筈がない。
そして梱包方法にも注目すると、ぱっと見は氷が少ないように思えませんか?
氷はやはり溶けてしまうと水になりますし、場所によっては国内であっても届くまでに2日以上掛かる場合も有ります。
すると氷をたくさん入れたとしても当然溶けて水になり、その水に魚が浸かると傷むのも早まります。
しかし今回の梱包では氷の代わりに大きな保冷剤を2つ敷いていただき、届いた段階でも殆ど溶けていません。
保冷剤は物持ちがよく、溶けても魚が水に浸からないので高鮮度のものを届けられます。(元々鮮魚の梱包を仕事でしていた身としてはコストが気になりますが…)
魚も丁寧に締められ、血抜きも施された極上のツムブリ。
そんな魚を想う気持ちでピカピカな状態のまま長崎は五島列島から関東までやってきてくれました。
それではここでツムブリという魚はどんな特徴なのか、観察していきましょう!
名前にブリと付くということはブリの仲間??
よく聞かれますがなかなか回答に困る問題。
確かにブリと同じアジ科に属し、種類としもブリとは遠くもないものの、そっくりとも言いきれません。
しかし属で見るとブリは、カンパチやヒラマサといった食卓でお馴染みの魚たちと共にブリ属に属し、ツムブリはアジ科で唯一のツムブリ属に属します。
同じアジ科という意味ではブリに近しい魚かも知れませんが、ブリの仲間と言い切ってしまうには少々語弊があるようにも思えます。
名前の由来も紡錘形のブリということで、漢字で書くと「紡鰤」。
まずは口。ツムブリの口は少々小さめ。
ブリはよりガッツリ開くのに対して、ツムブリは細長い顔つきからかあまり開きません。
そしてツムブリというとこの青いラインに目を惹かれます。
ブリもグリーンの背に黄色いラインが通り、お腹は白くなっています。
ブリは黄色い線が1本なのに対して、ツムブリは2本あったりと、ここも見分けるポイントになります。
そして全体的に体は細長くなっています。
尾鰭もブリなどに比べ角度が急になっているのと、シュッと細長くなっています。
鮮度は当然バッチシ!
ガチガチのお腹も内臓脂肪もかなり詰まっています。
高まる期待をそのままに、半身に卸してみると…
芸術的な美しさ!!
いやー、たまりませんねぇ。。
このまま額縁に入れて飾っていたいです😌
腹骨を取ってみるとその脂のノリがより一層よく分かります。
身もしっとりとして包丁が思うように進まない密度の濃い身になっています。
そしてこの脂の入り方が南方種らしい。
頭に近い背と腹まわりだけ脂が濃くて、尾鰭に近いと赤身が強くなるのはこれまでもギンガメアジやカッポレで見てきました。
筋肉質でいながら脂も楽しめる、1尾で2度美味しい魚です!
それでは調理していこう!!
ツムブリの料理
ツムブリの刺身(赤身・トロ)
まずは卸してすぐのものをそのまま切りつけたお刺身から。
左は背下(尾鰭に近いところ)の赤身、右側の白いものは腹上のトロの部分です。
この霜降り具合!めちゃめちゃうまそー!!
わさびをのっけて醤油にちょこん。
強い脂の甘味がガツンとやってきます。
濃すぎて2切れも食べればお腹いっぱいになりそうな様子は、冬の王者寒ブリにも匹敵するのではないでしょうか。
脂・旨味を数値にすればトップクラスですが、果たしてそれが美味いかと言うと賛否分かれそうなところです。
個人的にはもう少しマイルドな方が好きかな。
続いては雄節、すなわち背中側の身を食べます。
同じ魚とは思えないこの色味の違い。
トロに比べて黒ずんで見えますが、食べやすさは圧倒的にこちらでしょう。
ブリの仲間は脂が少ないほど赤身の香りが漂います。
そしてあっさりしていそうな見た目ではあるものの、皮目に脂があり余韻を引く甘さが口に残ります。
これぐらいが食べやすいなぁ。
ツムブリ大根
あら(頭)を細かく一口大にカットしたものと身を切り落としたものを大根と共に炊きました。
ツムブリは霜降りをして臭みを取り、大根とじっくり炊きあげます。
砂糖多めの味付けに、ダシは昆布とカツオのブレンド。
赤身の強い部位はパサパサし易いので、今回は脂特に強いカマと腹の身周辺、背中の切り落としなどを使いました。
旬のブリにも負けないツムブリ大根、脂の甘味がしっかり感じられます。
15分ほどじっくり味をしみこませました。
これを一晩寝かせ、翌日の弁当に突っ込んだものは尚美味くなりました。
ツムブリの握り
腹のトロの部位を握り、半分は塩を振って炙りました。
まずは生のものから!
う~ん、とろける!!
お刺身では少々きつかった脂も、シャリに乗せてしまう事で食べやすさは上がります。
しかし香りが本当に大トロだなぁ。
違うのは青魚の香りがほんのりとするところ。
塩レモンで味付けてみても美味しいでしょう。
それでもやっぱり濃い!という方にはこちらがオススメでしょう。
ツムブリの炙りトロ
塩をして炙りました。
撮影をさっと終え、まだ温かいうちに頂いてしまいます。
温度が高いほど香りは広がるので、炙りこそ握りたて炙りたてが一番美味いタイミングだと思います。
鼻を抜ける香ばしい匂い。
表面の水分が飛び、半分焼き魚なのような旨味の増したツムブリ。
炙りではよりマイルドになり脂のキツさというものはほぼ無くなってしまいます。
炙ったものに大根おろしやネギを乗せ、ポン酢で頂く。試してもいないのに、薬味で味を彩るのが好きな信者としてはこれが最適解という結末に。
「いや、軽く湯引きにしてしゃぶしゃぶの握りとするのも絶対美味いぞ。」
「ゆず胡椒も合いそうだ。」
そんな想像の広がる優秀なネタでした。
時期や産地を拘らなければ見かける魚ではありますが、同様のクオリティを目指してしまうと次は何年後になるのか…。
しかし今後も、“いつしか食べた美味いネタ“として記憶に止まり続けるのでしょう。
ツムブリステーキ
冷蔵庫の切り身を思い浮かべながら残りは何にしようかなんて考えている時にふと寄ったスーパーのソース売り場。
ステーキ肉用のタレを見つけ、「ものは試しだ。」と意気込んで作ったこの一品は傑作と呼ぶに等しい美味さでした。
甘辛いソースに青魚の旨味、これが見事に融合するのです。
表面をカリッと焼き上げ香ばしさがある一方、
この層を越えると噛むごとに溢れ出る脂、これに青魚の旨味が乗っかり波のごとく押し寄せます。
身の質を見ずに闇雲に焼いてしまえばパサパサとする魚種もいるであろう調理法ですが、脂が十分にあり加熱してもパサつかないのは検証済み。
選択肢として間違いないであろう塩焼きにせず、敢えてステーキを選んで良かったかも知れません。
ツムブリの照り焼き
ブリと言えば照り焼きもまた定番メニューとして外せません。
普通脂のないこの魚ですが、今回はしっかりと脂のある部位を切り身にして焼きました。
噛めば噛むほど溢れ出る青魚の旨味!
醤油の焦げた香ばしいタレとよく合い、白米がすすみます。
脂を含んでいるためパサっとせず、「水分を持っていかれたー!」という思いをしなくていいのはこの魚の褒めるべきポイントではないでしょうか。
「これは3切れ焼いて良かったよ。」
残りは翌日のお弁当に入りましたとさ。
ツムブリカツの卵綴じ丼
ツムブリをフライにしたものを甘めのダシ汁で加熱した卵に投入。
これがまた大変美味しく気がつけば丼が空になっていました。
しっかりと味のついた卵で綴じることで、臭みが軽減されつつも味の濃い魚だからこそ旨味が殺されず存在感があります。
カツに食らいつくとジュワっと甘いダシと一緒に旨味が溢れます。
豚ロースに比べて脂身の筋なんかがなく、肉に比べ柔らかいのも美味しいポイント。
肉よりも魚食おうぜ!!
これなら青魚が苦手な方でもきっとおいしく食べられると思います。
ツムブリの西京焼き
切り身を味噌に漬けて2日間。
ペーパーで拭き取り、焦げないよう気にしながらじっくり焼き上げました。
表面の照りがよく出て実に美味しそうです。
照り焼きとは違い、こちらは上品な美味さ。
味噌の効果なのか、きめ細かい旨味を感じます。
同じ焼きでも、調理が違うだけで魚そのものの味も変わってしまうように思えました。
ツムブリの評価
価格 ・・☆☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・☆☆☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・価格は小さなものほど安い。2kgを超えたくらいの個体からキロあたりの単価が倍近くなる。
コスパ
・歩留まりのいい魚。顔が細長く大きいため、あら炊きや汁などに活用したい。
珍しさ
・晩夏~秋頃にかけて見かける機会は多い。南方の魚で見かける機会は増えているのではないかと思う。
味
・脂がなくパサパサしていて不味いという意見をよく耳にする。しかし大型のものはよく肥っていて大変美味。焼いても煮ても口の水分が持っていかれるものだと思っていたが、今回のもので印象がかなり変わった。
今回は青くてきれいな回遊魚、ツムブリを食べてみました。
食べたことはあったものの、やはり聞く話の通りボソボソでそれまで美味しいものだと認識していませんでした。
しかし今回、念願の大型個体ということで、これまで感じられなかった濃い脂と旨味を堪能出来ました。
魚の評価はまちまちで、大きさや状態にも左右されますし、季節や産地といった要素も重要になってきます。
その奥深さこそが魚食の楽しいところであり、ハマると抜け出せない魅力があります。
この記事を見て興味を持った方は、まず何かしら魚を捌いてみてください!
人生を形作る一歩になるかも知れません。
副管理人:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません