「ツチホゼリ」なにかの技名?いいえ、高級魚ハタの仲間です。
こんにちは!夢海です🐟
この度食べた魚が600種類を越し、祝福の言葉を頂くと共に多いのが「もう食べたことない魚、いないでしょ?」の言葉。
いやいや日本には4500種類以上の魚が云々…と言いたいものの、流通にのる魚は殆ど食べてしまったと言ってもいいでしょう。
しかしそんな中でも、何度か見かけてはいるものの、諸事情あり買えたことがない。という魚もいます。
例えばフグ類。身欠(有毒部位を処理したもの)であれば、免許がなくとも買い求められますが、丸でしか入荷がないフグは入手が難しいです。
しかし今回の主役は有毒魚ではないため、特殊な免許など必要ありません。
今回の魚がこれまで入手できなかったのは、その大きさのせいから。
一ヶ月に一度は見かけるんじゃないかという頻度で市場へ入ってきてはいるものの、どれも10キロを超すようなオオモノばかり。
マグロのように日常的に切り身で売られるような魚であれば入手は容易でしょう。
今回の主役も切り売りされていれば食べているであろうところ、ツチホゼリという魚が関東のスーパーで切り身で売られている事はまずなく、当然食べたことがない魚に含まれます。
目次
ツチホゼリの特徴
ということで、605種類目に食べた魚はツチホゼリ。
…はい。
これまた名前が聞き取りづらい魚ですね💦
ツチホゼリ、漢字で土穿。
海底に穴を掘り巣を作るというところからその名が付いたのだとか。
ツチホゼリ、技名のようでカッコいいですよね✨
全身はグレーで、黒っぽい斑点が無数に散らばります。
今回の個体はやや痩せている様子で、太っている個体は丸い体型をしており、シャープな顔つきの種類が多いハタらしからぬ見た目になります。
今回のツチホゼリは沖縄県産。細かな産地までは分かりませんでした。
恐らく突きん棒漁のものなのか、頭部には刺し傷のようなものがありました。
身はやや濁った白。ハタらしい見た目です。
ハタは鮮度持ちがいい魚ですが、どうやらこのツチホゼリはそうでもないそうです。
確かに身はやや水っぽさがあり、柔らかい質をしています。
ツチホゼリの料理
ツチホゼリのお造り
まずはお造りから。
これが10キロを超える大物であれば一体何人前取れるのでしょうか。
今回刺身に使用したのは背側を一節のみ。
それでも4人前以上はあるので、このサイズでも十分な量になります。
他のハタでは、血合いが殆どない上に色が薄いため、刺し身にするとほぼ真っ白な見た目をしています。
しかしこのツチホゼリ、赤い血合いがあり刺身からはまさかハタ科の魚だと思う方は少ないでしょう。
小ぶりのハタは淡白で単調な味ですが、1キロを超えると風味豊かになり、このツチホゼリは血合いからであろう酸味もほんのり感じられました。
他のハタにはない酸味があり、しっとりとした甘みもあり。
ゴリゴリとした硬い身ではなくもちっと食感も柔らかく、刺身としてかなり好まれる魚なのではないでしょうか。
ツチホゼリの握り
数日寝かせたツチホゼリを単にワサビのみでつけてみました。
ハタはもみじおろしとネギ、昆布締めなど味をつけて提供されている場面によく出会いますが、ツチホゼリは風味豊かな味わいなのでこのままでも十分に味があり美味。
舌の体温が伝わり、しっとりとした甘みが溶け出し、シャリと合わさる事で風味豊かな握りです。
淡白過ぎず、味のある白身に久しぶりに出会えました。
ツチホゼリのカマ煮付け
ハタ科というものは数が多く、これまでも数多のハタを食べてきました。
そんな中でも今回のツチホゼリはダントツに美味く、単に上品な旨味だけでなく脂が感じられます。
ハタは身がしっかりしていそうな印象ですが、皮が破れ身がホロホロとあっという間に崩れてしまいそうな程柔らかく仕上がりました。
箸が簡単に入るほど柔らかい仕上がりになり、あの巨体からは想像つかない細かな身で優しい味わい。
脂の質もギンダラみたいに煮汁に浮かび上がるようなサラサラとしたものです。
ツチホゼリフライ
皮を引き、厚めに切りつけた身を贅沢にフライにしました。
どうしても高い魚を揚げ物にしてしまうのは勿体ないと思われがちですが、ハタのフライは紛れもなく調理法として正解の一品です。
身はプリッとしているのに味わいは繊細で、ソースの後を追うように淡白ながら強い白身の味が追ってきます。
調理法としては重たく油を使うフライは味を殺してしまいそうですが、繊細な魚こそ味が引き立ち美味いものです。
ツチホゼリのムニエル
切り身にしたツチホゼリは塩コショウをふり30分ほど置きます。
その後タイムやオレガノなどのハーブ類、カレーパウダーを隠し味にまぶし、小麦粉をつけてオリーブオイルで焼き上げます。
仕上げにバジルソースをかけて完成。
ピリッと刺激のあるカレーパウダーなどの香辛料がツチホゼリの繊細さを引き立たせ、よりツチホゼリの淡白な旨味がよく感じられ、非常に美味でした。
ツチホゼリの西京焼き
西京味噌に漬け込み、バタバタとしていたため一時冷凍。原魚を購入してから2週間経ってしまってからやっと頂きました。
鱗を落とした皮付きの切り身を味噌につけて3日ほど。
しっかり味噌の味が染み込み、しっとりとしたツチホゼリ本来の柔らかさととても良く合います。
ツチホゼリの評価
価格 ・☆☆☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・☆☆☆☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・ハタ科ということで高級。一方で本場沖縄ではそれほど高い価値はないという声も聞いたことがある。本土と沖縄ではまた価値が違うのかも。今回の個体も1キロを超えたハタと考えるとやや割安。
コスパ
・身体が丸く、他のハタに比べ可食部は多い印象。兜も頬肉などが多く煮付けなどの調理で捨てずに利用できる。
珍しさ
・漁獲量が多い魚ではなく、南方に多い種類のため関東への入荷は少なく珍しい。扱うところは限られている印象なので、大型の個体であれば根気よく探していれば見られる。
味
・他のハタ類に比べ身に水分が多いためか、柔らかい質感。血合いもありほんのり酸味も感じられる。
今回は念願のツチホゼリという魚を入手しました!
プリッとした見た目の魚であるため、もっと脂があるものだと予想していましたが、実際食べてみると想像以上に瑞々しさがあり柔らかく、酸味で後味がスッキリしていました。
大型のハタは高価なため、小さいものが入ってきてくれると手が出しやすくていいなぁ。
スジアラとか入荷してくれると非常に嬉しいです。※この翌週入手出来る事をこの時はまだ知らなかった…
副管理人:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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