タイワンダイはタイ科でも光る旨さ

 

こんにちは、夢海です🐟️

 

私はこれまで数多の種類の魚を頂いてきました。

小さい頃から魚が好きで、高校時代にバイトで稼いだお金を鮮魚に使い、気がつけば水産業に就職。

そんな流れがあり、いつしか集計を取り始め今に至ります。

 

沼というものはハマりだした頃があれもこれもと種類を求める欲に繋がりますが、次第に落ち着き、それまでのデータを一度確認、再度集め直して集計や味の確認をする。というのがここ最近の課題というか本能的に取り組んでいる内容になります。

事実、今現在で本当に食べてみたい魚は?と聞かれても、パッと思いつかないのが現状です。

 

これまでは欲しい魚種を伝えておき、送っていただく事が多かったのですが、近頃は手に入ればありがたく頂き、一期一会で出会えた時に出会えたものを。がモットーになりつつあります。

このような前置きをしたのは、今回の魚は長い間探し回っていた魚であるからです。

 

それは水産業に努めだして約1年。

図鑑でしか見たことがない魚が南方の産地からやって来たものの、売り先が決まっており手に入らなかったという思い出のある魚がいます。

 

 

タイワンダイの特徴

この異形な姿は国内で見られるタイ科の中でも目立って体高のある種で、背鰭も長く迫力があります。

 

この魚こそタイワンダイ。

これこそが長いこと探していた魚であり、実食してみたかった魚です。

 

網ものなのか、やや色はくすんでしまっているし、胸鰭も片方はやや欠損気味。

しかしアジはタイに変えられぬ、(腐ってないけど)腐ってもタイワンダイ、状態なんて気になりません。

 

背鰭は長く、タイ科でも非常に目立つ見た目をしています。

背鰭を見るとヒレコダイに似ています。

 

触るとハリがありしっかり硬直し、全長29.1cmなのに体高があるため551gと、持つと見た目以上にずっしり感じられます。(ほぼ同じサイズのキダイで480g)

 

 

タイワンダイの料理

タイワンダイとタマガシラの刺身

今回は皮を引いた単の刺身、焼霜、皮を炙ったものを造りました。

同じセットに入っていたタマガシラと一緒に盛ります。

 

焼霜は風味豊か。

皮目に旨味があり、身というか表面の筋肉を走る筋が程よい食感をし、もちっと反発します。

炙った香ばしさが抜けてくると、今度はじわじわとタイワンダイの身の甘さが目立ってきて、うまま!となります。

 

刺身はほんのりとした脂の味わいに加え、身そのものに甘みがあり実に味わい深い。

寝かされたからこそのこの味なのかも知れませんが、惜しいのはこれが活魚や活締めでのものでないという点であり、身が活きた状態であれば食感もより面白いのだろうなという想像ができます。

今回できなかった寿司にも適するような質をしています。

 

野締めの今回の個体でも、もちっとした質感で大変美味いことに変わりはありません。

 

久しぶりのタマガシラも焼霜に。

イトヨリダイ科らしく身は柔らかく瑞々しい。

やや旨味に欠けるので皮を活かして湯引き・焼霜がおすすめ。

 

タマガシラは単に焼いても美味なので、残り半身はオリーブオイルでソテーにしました。

 

タイワンダイの塩焼き

尾びれに近い部位を使用。

これがここ最近の塩焼きでは1番美味いと自信を持って評価できるほど、驚くほど美味かったです。

 

旨味があり、皮も柔らかく箸で切り離せるし、何よりも旨味豊か。

身の柔らかさは秋の真鯛に匹敵します。雲のようなふわっとした柔らかい質感は箸が止まりません。

 

しかし真鯛は雑味が少なく上品過ぎるのに対し、味のボリュームはこちらが上手。

皮も硬すぎない為に箸でほぐせ食べやすく、身離れも良いためこりゃ美味しいや美味しいオホホホ。と夢中で食べきってしまいます。

しかし写真でも分かるように油断したらあっという間に焦げてしまうので、火加減と焼き具合の確認はサボらず小まめにやりましょう。

 

タイワンダイの西京焼き

頭に近い箇所を切身にして西京味噌へ漬けておきます。

忙しさもあり、一度冷凍庫へ避難させておき、ふと思い出したときに晩のおかずとして溶かし焼きました。

 

さて、これが驚く美味さであり、おかずに困った日に引っ張り出した事に困りました。

気持ち的には手軽に飯が食えればいい。と取り出したものですが、味わいは完全にその上を行きます。

火を通すことで絶妙な柔らかさとなり、優しい口当たりです。

 

せっかくならばもっと贅沢をしたいという日のために取っておくべきであったとやや後悔。

次回手に入れば半身は丸ごと焼き用でも良いと思えます。

 

タイワンダイの煮付け

頭を煮つけに。

頭部の骨をきれいに取り出したかったので半割にはしませんでした。

砂糖を多めにして甘さを出してました。

 

体高の分だけ頬肉も縦に大きく、可食部が多めです。

そしてこれがとにかく美味い。

焼いて美味いのだから当然なのかも知れませんし、長い事煮魚の汁の配合をああじゃない、こうじゃないと研究してきて自分好みに作れるようになったというのもあるとは思いますが、これは汁のおかげでなく間違いなくタイワンダイが美味いんだと言い切れます。

 

身はしっとり。焼きのようなホワホワホワっとした柔らかい質感はなく、細かい繊維質で程よく締まり食べやすいです。

皮目がやはりうまく、煮汁を吸い、ツルンっとする食感で甘旨いものに仕上がっています。

質を見ると味噌との相性が良く、柔らかい味の味噌と合わせて味噌煮にも向きそうです。

 

 

タイワンダイの評価

 

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・☆☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・今回は入合で取り寄せたため本種のみでの評価は不測。安くはないと思われる。

 

コスパ

・歩留まりのいい魚。

 

珍しさ

・関東では非常に珍しいと思われる。しかし全く流通しない魚とは思えず、面白い魚を買い集める業者が居れば入ってきてもおかしくないと考えている。

 

・非常に美味。旬を見極めるには年間を通して食べ調べる必要があると考えている為、今回の個体は時期的にどれ程のポテンシャルなのかが分からない。この上もあり得そうではある。より大型の個体を食べてみたい。

 

今回は念願のタイワンダイを美味しく頂きました。

想像以上に美味い魚で、ただ単に珍しいネタで面白いと片してしまうには勿体ない魅力があります。

この魚はまだまだ食べていたいし、まだまだ試せていない調理も多いので次回出会えた時に期待です。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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