春を告げるショウサイフグ

こんにちは、夢海です🐟️

時は3月31日。

本当に明日4月が来るのか?と思える、肌を刺すというには大袈裟なものの、ツンとした寒い3月の末日でした。

体調を崩し、実に1週間ぶりの市場調査となります。

日々価格が変動する中で、長い期間相場の変動を見ていないと文字通り飲まれるような気持ちになり、病み上がりでもどっと疲れる思いをする事になるので、可能な限り市場には毎日通っておきたいところ。

価格の変動を頭の片隅に置きつつ、晩ご飯探しも同時進行で行います。

こちらは気楽で肩の力を抜き、力を抜くどころか腕を振り回すくらいの勢いで調査していきます。

この日は久しぶりの外に出たのもあってか、朝の空気はもう明日には4月になるとは思えない寒さで、本能的に刺身よりも鍋用の魚を探してしまう。

豊洲だと室内なので風はそれほど吹かないが、築地であったらこの温度差について行けなかっただろう。

そんな中見つけたのが正に旬のショウサイフグである。

産地が消費地東京に近いところでまとまった水揚げがある魚のため、ラウンドでも比較的見かけるのが本種です。

それでは特徴を…と言いたいところですが、フグ調理師免許を持っていないため、当然、身欠での購入となります。

いつしか生鮮画像を撮影するためにも、免許は取得しておきたいところです。

今回は5尾、並んでいたものの中から大きいところから購入してきました。

産地は千葉県富津産。正に江戸前のものとなります。

本種は基本的に筋肉以外、皮も含め食用不可となっています。

血液もなるべく避けたいので、血合筋と、あら骨も血液を除去して使います。

一般的に食用とされる種でも皮に毒を持つ種は普通に存在するので、個人での調理は避けましょう。

ショウサイフグの料理

ショウサイフグの握り

購入したものの中で大きいものを使った。

身はやや水分が多いため、半身にして断面に塩をする。

20分置いたら汁気を拭き取り、片身から4貫分取る。

4貫つけて、2貫に塩をして炙る。

単につけたものでも、馴染みこそ良くはないものの、食感が楽しい。

下手な臭みもなく、後から爽やかなフグ特有の香りが感じられる。

炙りは塩をしてレモンをかけたもの。

表面に火が通り、香ばしさが出てこれが旨味に変換されつつ、食感を見ても単につけたものに比べてシャリとの一体感が見られる。

香りだったり、苦味を味わう季節なので、春って、これくらいあっさりしていて良いのかも。

ショウサイフグのてっちり

ショウサイフグを3尾分使った。

あら骨を焼いて昆布と炊き出汁を取る。

ショウサイフグの切身、ネギ、豆腐を鍋に置いておき、この出汁で煮る。

火を止める寸前で水菜を入れて、軽く火を入れる。

あまりに待ち遠しくなってきたため、こんなものだろう。と火を止めて腹をなだめるために食卓へと運ぶ。

フグと昆布の出汁をまずすすり、ぷは〜っと唸る。

フグの身をかじると汁でもないのにぷは〜っとまた唸りたくなる気持ちなり、某まんじゅうではないけれど、美味い、美味すぎる!とも叫びたくなる。

簡単だけれども、こういう絶妙なバランスで立っている料理がどうしても好きな年齢なのかもしれない。

フグの身は原魚で水分がやや多いためか、ホクホクのあとに少しばかりパサつく。

これを汁で補う。

淡白ながらも香りから味覚へと伝わる旨味があり、この身のホクホクに乗っかっては香る。

少し汁と具を残し、翌日は雑炊に。

こちらも文句無し。絶品な朝ごはんでした。

ショウサイフグの天ぷら

ショウサイフグは切身にして塩をする。

水分が抜けて身が締まったら汁気を拭き取り、油で揚げる。

表面の水分は抜け、身の中心分に肉汁が残ります。

西へ行くとフグの天ぷらは惣菜としてもスーパーなどに売られ、昔、初めて高知で食べた時はこの美味さに感動したな、という事を思い出す。

恐らく当時食べたものはサバフグ。

ショウサイフグの天ぷらというものは人生で初めてなのだろうけれど、当時の"ふく天"を思い出し、どこか懐かしい気持ちになる。

ただし、今回のショウサイフグはやや身が締まらない。だらけている。

もう少し塩をして軽く干しても良かったのかも知れない。

産卵前という時期でこういった質になっているという可能性も考えられる。

美味いんだけれど、少し旨さが物足りない。

やっぱり種類が違うのかなのか、ショウサイフグの基本がこれくらいなのか、産卵前だからか?

と、今度は疑問が止まらなくなる。

来年はシーズン通して買って調べたいところ。

ショウサイフグのふくフライ

ショウサイフグは1尾分使用。半身に卸してこれに衣をつけてそのまま揚げるだけ。

切身に適度な塩をしているので、味も入り、水分でだらけない仕上がりになっている。

どうにも天ぷらよりフライが上手くいきました。

ソースでもタルタルでもイケる味わい。

特別強い旨味がある、というわけではないものの、フグというだけで特別感がある。

惣菜的だけど、コロッケではなくメンチカツみたいな豪華な1品となりました。

ショウサイフグの評価

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・☆☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

・価格

高級のトラフグなどと肩を並べるほどではないものの、サバフグ類のような惣菜的なものでもない。季節を楽しむためのちょっといいフグといった感じ。

 

・コスパ

身欠で購入すると歩留まりを気にしなくていいので、丸ごと使えるイメージだ。一般的な白身魚よりやや高級といった具合。

 

・珍しさ

春先になると、関東では千葉などからまとまってやってくる。季節を考えれば入手は難しくはない。

 

・味

個人的にフグが好みであるというのはあるものの、何にしてもいいのでどんな調理にしようかと考えられて楽しく、しかも美味しい。

 

初めてショウサイフグを食べてみました。

今回のフグで今シーズンは恐らく終了。

暖かくなり、魚種が増え楽しい時期へと移行していきますが、フグが恋しいと思う時期へと突入するという意味でもあります。

今季食べたのはカナフグ、マフグ、ショウサイフグ、イシガキフグのみ。

来シーズンはもっと季節を通しフグを中心に見てみる事としても面白いでしょう。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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