上質なスズキに初夏を感じる

 

こんにちは、夢海です🐟️

 

今回は初夏が来る少し前の事。

7月の頭にまで話は遡ります。

 

夏が来ると思い出す魚のひとつに、大阪湾産のフッコがあります。

遠い昔、大宮市場へ視察に行った帰りに角上魚類へ立ち寄り、金銭的にもサイズ的にも手頃な大阪湾産のスズキを見つけました。

 

魚体が良かったこともあってか、当時はまだまだ魚を見る目が未熟ではあったものの、なんとなく買ってみようとなりました。

それを持ち帰り捌いて洗いにして食べたらビックリする風味の強さと優しい甘味があり、それ以降梅雨〜初夏にスズキを食わねばやってられん!な体になってしまいました。

 

 

スズキの特徴

ということで今回の魚はスズキ。

 

市場にコロコロと入ってきており、そのどれもが体高が出てきて背中が盛り上がりはじめています。

ぼちぼち食べていかねば。と、入荷があり家の冷蔵庫が空いてきたタイミングを見て1本買い付けてきました。

 

今回の個体は香川県産。

やや白っぽい、56.3cm1670gの個体です。

 

スズキの旬は身が美味くなる初夏と、大量に獲れて安く、産卵前の白子や卵が楽しめる冬の2度あると個人的に思っています。

 

旬というのは人それぞれが食材それぞれに対して持つものであり、一概に取り決める必要はないであろうと最近の私は考えています。

もちろん、獲れない時期を旬とするのは逸れている気もしますが、使い手によってニーズが変わるというのもあり、一般消費者には可能な限り安いほうが有り難いものです。

 

少々話が逸れましたが、そんな初夏の身が美味いスズキは、夏に向かうに連れて相場が徐々に上がっていきます。

チョロっと前倒しして梅雨明け前頃に買っても、身は美味いし金銭的にもちょっとお得であるため気持ち早買いが良いのではと考えています。

 

背は盛り上がり張りがある。

 

卸すと身はしっとりとし、脂を感じます。

 

腹回りにはサシが見られ、食べなくとも甘くて美味いんだろうなと想像の出来る上物。

購入当日は仕込みだけで終わらせる予定だったものの、思わず刺身用に切りつけました。

 

 

スズキの料理

スズキのあらい

まずは買ってきた日に卸して刺身状に切りつける。

これを氷水で締めてから水気を拭きとり盛り付ける。

 

血合いは薄く、控えめな色合いはどことなく和を感じる美しさのある身をしています。

見栄えだけでなく味もよし。

まだギリギリ耐えられる暑さの中なので、レモンを買い忘れた事が悔やまれる程度で、よく冷やした刺身はとにかく美味い。

 

醤油につけると脂が弾かれ表面をきらめかせます。

控えめで奥深い甘味が染み渡り、これが止まらない美味さであっという間に平らげてしまいます。

塩で頂いても良し。

 

スズキの握り

適度な柔らかさのある質をしたスズキはシャリとの相性抜群。

スズキの身がシャリを優しく包み込むような質感で柔らかく、シャリと仲の良い甘さをしています。

それも脂の重い甘味ではなく、身そのものと脂そのものの甘味であり、色々な要素が絡んだ味わいのように思えます。

 

今回は煮切り醬油で頂きましたが、レモンがあれば塩レモンというチョイスもまたよし。

かなり悪く言えばダラけてまったりした味わいを引き締めて、洗練された味わいとなります。

質感の良い夏場のスズキが重宝される訳です。

 

スズキの塩焼き

骨付きの切身に塩をして馴染ませてから焼きます。

非常に絶妙な焼色がつけられ、これだけで満足だというのにこれをさらには食べられるという贅沢っぷり。

箸を入れるとサラサラとした肉汁が溢れ、焼き上がりとともに美味い香りが漂います。

 

皮もパリッと食感がよく、スズキの旨味と塩味と絡めながらいただく。

身に含まれる豊富な旨味は瀬戸内の近海を思わせる、多様な海が感じられる淡白の一言では済ませられない美味しさがある。

この香りに釣られてご近所さんも今夜は焼魚にしようか。なんて思ってくれれば嬉しいとちょっと思ったり。

 

スズキの西京焼き

あまりの美味しさで、あれもこれもと調理していたら予定していた西京焼き用の切身が歪となってしまいました。

まあ客人に出すわけでもないので、見栄えは二の次。家庭用では味が重要となります。

少量のみりんと酒と混ぜ合わせた正真正銘の西京味噌にスズキの切身を並べて、丸一日待ちます。

 

味噌を拭き取り焼き上げていきます。

切れ端を漬け込んだのと、切り口を見ても皮が縮んで丸くなるのは明白だったので致し方ないとして、しかしそんな見ためも気にならない品のある香りがたまらず、サッとコンロから上げていただきます。

 

程よく個性のある魚でないと西京焼きは味噌の風味に押されてしまいますが、スズキは皮、身共に味のある魚なのでこれが美味く仕上がります。

どことなく川魚の風味が感じられるのもまたスズキを焼く魅力のひとつです。

 

スズキのあら煮

スズキのあら煮は品川の定食屋で食べてからは定番。

頭やほほに肉が多く、カマはしっとりした質感で煮物に向きます。

 

一緒に炊くべきはネギ。これは必須であとはお好みで大根などを入れればいいと思う。

ネギとスズキはなんとも言えない相性の良さで、本来であれば冬のスズキと旬のネギを合わせ、そこへ真子も投入するのが望ましいですが夏では真子がないためそれも叶わず。

 

夏スズキでこれを作るのは贅沢なので、あらは出汁にして汁やうどんにかけても美味です。

 

 

スズキの評価

 

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・・☆

味わい  ☆☆☆☆☆

価格

・夏本番前であれば比較的手が出しやすい。7月に入り、梅雨もあけたあたりから相場の単価も1.5〜倍近くに上がるため、気持ち早めに購入しておきたい。尚冬は産卵に集まりまとまって水揚げがあるため、身の質は刺身で考えれば夏に劣るが、白子や真子の楽しみもあればコスパよく買えるため違った旬が味わえる。

 

コスパ

・歩留まりは良い方である。背骨は太いので卸すときには骨に身を残しすぎないよう要注意。あらは美味いので活用したい。

 

珍しさ

・一般的に流通する。都内小売では見かける機会は少ないが、デパートなどでは切身や刺身用の柵で並ぶ。市場でもよく目にするので関東であれば入手は容易。

 

・個人的な好みというバイアスもかかっているとは思うが、究極的に美味い魚だと思う。質が良く刺身はもちろんだが火を通してもよい。皮目に脂の層があり、皮自体にも味がある。

 

今回は夏に薦めたい美味い魚、スズキを紹介しました。

近年スーパーやデパ地下などの鮮魚店でも刺身用の柵などで売られるところも見られることが増えたように感じ、また養殖も行われているので比較的見つけやすい魚です。

ぜひ、この夏はスズキを。また、秋、冬の個体と季節の移ろいとともに楽しむのも良いでしょう。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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