初めての日本海産サンマは2年魚

こんにちは、夢海です🐟️

12月も下旬。いよいよ年末だという忙しさを見せる寒い寒い豊洲市場。

魚種も流石に少なくなり、冬らしさが全面に出るようになってきました。

当然秋の魚は殆どなくなり、北海道や三陸のサンマも見なくなりました。

しかしこの日はそんなサンマが珍しく置いてあり、どこのものだろうと札を見ると石川県と書かれている。

日本海でも少ないながら漁獲はされるものの、滅多に豊洲では見かけないため、物珍しさから思わず購入してきました。

サンマの特徴

仲卸の方に「珍しいですよね。」と尋ねると「いやいや珍しいなんてもんじゃないよ。見たことない。」と返って来る。

豊洲を歩くようになったのはここ3.4年の出来事なので、たまたま見かけなかったというだけの可能性もあり得るが、それでも日本海のサンマというのは市場に関わらず、生鮮品が関東で売られているところを確かに見かけた事がない。

計り売りで2本買い求めると、目方が0.38kgと返って来る。

その後も見た目に違和感があり何かが引っかかるな。と伝票に目をやると0.38kとしっかり印字されているのだ。

確かに選っている時もどこか違和感があったが、今では滅多にお目にかけれなくなった190gサイズ。

見た目に違和感があったのはこのせいなのか。とここで気が付く。

思えば購入時、仲卸のおっちゃんも僕も産地の珍しさばかりに気を取られて盛り上がっていました。

すっかりこの2.3年でサンマは120gもあれば立派だ。なんて思えてしまうようになった事をひとり寂しく思いながら持ち帰ります。

帰宅後すぐさま測りにかけてみてもやはり189gある。

おかえり!とは言えないけど、この大きさの個体(2年魚)がまだ残っていたんだという事に対する喜びが強い。

また、今シーズン見てきた三陸や北海道のものに比べ、近海のためか鮮度も非常にいい。

サンマとは思えない張りがあり、身は硬く、脂はないんだろう。と見て取れるものですが、それでもこの胴回りの太さ、というものにはつい期待してしまいます。

このサンマの青いラインだっていつ振りに見られたのだろう…

ほんの10数年前までは福島県小名浜で¥2,000とかで4kg箱が買えていた気がする。

それも近海で獲られ揚がって直ぐのものなので鮮度抜群、サイズも大きかった。

震災の2.3年前の話だったと思いますが、今とは比較にならない程の活気で溢れていたのを思い出す。

サンマの料理

サンマの刺身

初日は刺身に。

皮を引き、切りつけるという工程でも、秋のサンマとは違い手がベタつかない。

その分身はしっかりしているので割れないし、銀皮も綺麗に残ります。

舌の上でとろける様子はなく、皮目に食感が感じられます。

脂はやはりないものの、その分サンマの旨味が隠れず待ち構えてくれており、舌に触れた途端に爽やかな、その奥からじわじわ香るサンマの旨味が感じられます。

コリッとした食感も心地よく、脂が多く柔らかいものと比べてより分かりやすいハッキリした味わい。

つまみにするにはこちらが向いているかもしれません。

サンマの握り

やや硬い身のサンマをつける。

やっぱり手にベタつく感覚はないものの、皮目の銀皮や、血合いの鮮やかさがあり美味しそうな見た目となります。

食感こそ秋の脂ののったサンマに比べると劣るものの、コリっとした食感とその後に香るサンマの旨味は寿司として一体感があり非常に美味。

真冬なのに爽やかな味わいが舌の上を駆け抜ける。

この力強さのある食感から感じられる後味は儚さも感じられます。

口に入れた途端にとろける〜!とはならないものの、サンマを味わうならこれくらいが良いんじゃない。と思います。

皮目の食感や、スッキリした旨味など、ニシンのような感覚を覚えます。

サンマの塩焼き

焼き上がりを取り出す際、美味しそうだ!というよりも先にサイズの大きさに驚きました。

たった数年で、こんなに大きいなと感じられるようになるとは…。とひと昔のサンマを思い出します。

脂が弾けた様子ともなく、焼けても尚身が硬そうに感じられます。

身離れは三陸などの脂個体に比べるとやや悪いものの、やはりこちらも引き締まった身から素直な旨味が伝わり、塩で旨味が濃縮され、おかずとしても美味しいし、つまみになる。

しかも今回の個体は卵も抱えていたのでこれまた甘くて美味い!となる。

サンマの卵はキャペリン(カラフトシシャモ)のように粒が比較的大きく、これだけでも存在感があります。

サンマの卵というのも今回初めて頂きました。

サンマのアヒージョ

脂がないのなら、油を使おう!

と言うことで、年末のそんなシーズンという事もあり、プレートのメニューにサンマも付け加える。

サンマは塩をして寝かせておき、余分な水分を拭き取ったあと、オリーブオイルで静かに加熱していく。

少し温度が高かったのか揚げ焼きのようになってしまいましたが、結果美味いものに仕上がったのでよしとします。

こちらもまた脂こさはなく、オリーブの海を泳ぐサンマは、ニンニクとオリーブの香りを纏い、1尾なのに大群で押し寄せたようになる。

おかずにはならないものの、ほぐしてクラッカーやクリームチーズと合わせ、白ワインで。

サンマは青魚でもワインに合わせやすく、特に脂の薄くなった個体は上品な味付けにも合う。

より低温の油でコンフィという選択肢も試してみたくなります。

サンマの特徴

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・今や大衆魚とは言えない価格帯に。今回の個体もそこそこの値が付いていた。最盛期の三陸のものの約2.5倍ほど。秋のサンマが満足に流通していたら、季節の終わりのものなのでより安かったものと考える。

 

コスパ

・大型のため歩留まりは悪くない。加熱調理の場合、骨付きで使うと尚良い。

 

珍しさ

・魚種としての珍しさはいつでも入手可能な大衆魚だが、産地で見てみると珍しい。南下する個体が獲れる事は知られているが、実際に市場へ入ることは少ないと思われる。今シーズン、一箱しか見かけていない。

 

・脂が抜けており、身は硬さがあるので秋の個体を思い浮かべるとやや拍子抜け。その分サンマらしい味は深みがあり、子もまた美味かった。これはこれで良さがあるので脂がないからダメという安直なものではない。

 

今回は石川から来ていた大型のサンマを調理してみました。

 

あとがきにはなりますが、これが2024年12月の出来事です。

あれもこれも獲れない、獲れても小型か、数がいないかという暗いニュースばかりな水産業界ですが、初めての日本海産のもので、それもまさかこのサイズに出会えるとは思ってもみなかったので、この個体に出会えたという喜びもまた大きいです。

今度は三陸のこのサイズのものも、安定して来ておくれ〜。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

広告