肝パン!これ以上はなかなか無い極上のマトウダイ

こんにちは!夢海です🐟️

 

今回は冬に美味しい、私にとって思い出深い魚を購入してきたので紹介していきます。

 

 

マトウダイの特徴

今回の主役はマトウダイ。

頭でっかちな見た目に、体の中心に的のような模様があることで知名度は低くない魚です。

 

ひとたび見たことのある人に向けて写真を見せれば「この魚ね。」と思い出せるくらいにはインパクトのある姿をしています。

 

和名である“マトウダイ“の由来は主に2つの説が有名です。

 

まずは長く伸びる口をびょーんと伸ばした顔が馬の頭に似ている事から「馬頭鯛(ばとうだい)」

このばとうだいが訛り、マトウダイとなったという説がまずひとつ。

 

続いては序盤にも書いた通り、的のような模様から「的鯛(まとだい)」→マトウダイとなった説。

どちらも有力な説の一つとして、大体この2つがあがります。

やっぱりこの目立つ模様を無視して名付けられなさそうという適当な理由から、私は後者が由来なのではと思います。

 

箱には「マト」や「的」、時には「馬頭」として書かれてやってくる事もあり、これらは産地によってまちまち。

 

さて、そんな今回のマトウダイは茨城県産。水氷の箱に4、5枚入った状態で届いたこのマトウダイはクオリティが高く、網で漁獲されたものとは思えないダメージの少ない見事なものばかり。

 

体に厚みがあり立派なマトウダイ!

魚を丸呑みににしてしまう大食らいな魚で、胃袋のものが溶け出し身が弱りやすい魚ですが今回の個体はお腹もバッチシ硬いです。

 

そして内臓を開いた瞬間に見えるクリーム色の“アレ“がひょっこり顔を出しました。

 

肝だぁー!!

 

そしてデカい、デカいぞ…!!

なんと重量の1/10が肝臓、つまり肝でした。

 

病気が心配になってしまいそうなほど、お腹にパンッパンに詰まっていました。

胃袋から魚が丸ごと出てくる事の多いマトウダイですが、今回の個体は空っぽでした。

さすがにここまで内臓を圧迫されていたら食欲も出ないものなのかな…(笑)

 

肝に感心するのはここらにするとして、

身は3枚に、刺身で食べるものは皮も引いてしまいましょう。

 

マトウダイを扱うのももう何年ぶりだろうか…。

こんなに薄皮のの残るような魚だったかな。と少し思い返しながら仕込みました。

 

続いてあの肝。これをどうしようかと一晩考えて閃きました。

そうだ!“まと肝“を作ろう!!

 

“あん肝“ならぬ“まと肝“です。

作り方は簡単。血栓を取り除き綺麗にした肝を、酒や塩で臭みを消しつつ味付けします。

 

これをアルミホイルに包み25分ほど蒸し上げるだけ!

 

見た目は不格好ですが…味さえ良ければよし!

 

どれどれ、味見してみましょう。

 

少し蒸し上げ過ぎたかやや硬め。

アン肝には負けてしまいますが、濃厚さはしっかり感じられます。

 

しかしこれは…日本酒がうまいぞー!!🤤🍶

 

肝の仕込みも上手く出来たので身の方も美味しく調理していきましょうー!

 

 

マトウダイの料理

マトウダイの寿司(昆布〆・マト肝軍艦)

まずは寿司から!

関東ではなかなか見かける事の少ないネタですね。

 

肝の大きくなる魚はあまり身に脂を蓄えず、マトウダイの身はさっぱり淡白な味わい。

そこで昆布で締めて旨味をプラス。薬味で紅葉おろしと小ネギをのせます。

余計な水分が抜け落ち、旨味が凝縮されます。

そしてもっちりねっとり食感でとても柔らかいんです!

 

 

気になるマト肝の方を…

 

絶品だ!!!

 

これ今までバカ正直に煮付けやら鍋にしてきたのが勿体ない。

味の濃厚さは劣るものの、アン肝の代わりに出されても文句を言えないレベル。

 

いやー、今年は冬を満喫しているね。

 

マトウダイの天ぷら

続いては天ぷら。

マトウダイは天ぷらにするには持って来いの上ネタだと考えます。

 

何よりも血合いが薄いため見た目が綺麗。

そして程よい水分でふんわり仕上がります。

 

今回は天つゆで頂きました。

かつおダシ香る、ふんわりうまい天ぷらが口いっぱいに広がります。

口当たりがふわっと軽く、つまみにあるとちょうどいいような存在です。

 

マトウダイ鍋

マトウダイは切り身にしてムキ牡蠣と合わせて鍋にします。

 

厚みがある割にパサパサせず、鶏のむね肉でも食べているような繊維がハッキリした食感。

いい意味で味が薄いため、魚臭さがありません。

魚が苦手な方でもきっとおいしく食べられるであろう身質。

さすがにこのマトウダイを使った鍋を中心に提供するお店というのはなかなか無いでしょうが、ぜひ試して頂きたい一品です。

 

しかし北陸などでは鍋の魚に人気なのだそう。

実は北陸へは未だ行けたことがないので、現地を訪れた際はスーパーなどで調査したいところです。

 

サン・ピエールのムニエル

ここで突然表れた「サンピエール」という単語。

これはフランス語でマトウダイ、意味で「聖なる魚」の意味を持ちます。

 

厚みのあるマトウダイの切り身を塩コショウ、香草で味付け。

小麦粉をまぶしてバターでカリッと焼き上げます。

皮付きのものにはチーズをのせ、仕上げにマトウダイの肝をのせて完成!

 

カリッと焼き上げた表面の層の下にはホクホクの白身が隠れています。

バターに香草の香りに包まれながら、濃厚なバターのような肝の旨味がやって来ます。

フレンチで肝まで使われるかは分かりませんが、身は臭みがなく硬くならない為人気な理由がわかります。

 

 

マトウダイの評価

 

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・・☆☆

珍しさ  ・・・☆☆

味わい  ・・☆☆☆

 

価格

・基本的に安い魚。産地や漁法で大きく評価が変わる。北陸など日本海では人気の高い魚だが、関東などの太平洋側では安いもの。

 

コスパ

・頭でっかちな魚な上、体も薄いため歩留まりは良くない。価格こそ安いが、可食部を考えるとそれほど安いものではない。

 

珍しさ

・晩秋頃から見かけるようになりはじめ、冬場によく目にする。

 

・魚そのものの味としては淡白で旨味が少ない。しかし身質は大変良いので、加熱調理全般に向く。少ないが出来れば釣りもの、続いて定置網のものなど、魚へのダメージが少ないものを選びたい。肝が入っている時はぜひ活用したい。

 

 

思い出深い魚と冒頭でお話しました。

とあるラジオでも述べたことがありますが、実はこのマトウダイこそ今日の私を形作るキッカケになった思い入れのある魚です。

 

初めて訪れた角上魚類さん。

そこに図鑑でしか見たことが無かったマトウダイが並んでいるではありませんか!

 

今でこそ私の中では食用として頻繁に利用されている魚であるという認識ではありますが、当時の私にはあまりにも衝撃的で、ぴょーん、とそれまで知らなかった世界を映し出してくれたような魚です。

当時高校生だった私は、家庭用の包丁でその買ったマトウダイを何時間もかけ卸し、お刺身にしましたがこれが飛び上がるうまさ。

あの日食べたマトウダイの味は一生忘れないでしょう。

 

ライター紹介

副管理人:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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