マダイも秋にうまい魚のひとつ

こんにちは!夢海です🐟

 

8月も終盤のある日のこと。

「サンマがうん十万してたや」

「筋子があるのどうの」

なんて声が耳に入ってきて、

早いことで市場に入ってくる魚が秋めいてきている事に気が付きました。

 

食欲の秋だなんて言われ、旬のものを1つでも多く答えたくなるほど人が食べ物について一番考える時期なんじゃないかと思います。

 

しかしその一方で秋という印象が薄く、隠れてしまっているものも当然あり、春に「桜鯛」と言われるマダイも、秋に食べたくなるうまい魚だと知る人は少いでしょう。

 

 

秋の天然マダイ

今年は見かける機会が多かったこともあり、梅雨頃によく入って来てきた愛媛のものを狙っていましたが、毎度の事ながら冷蔵庫に魚たちがいる状況が続いていたため断念していたところでした。

この日は津々浦々マダイが入っており、値段やサイズなどを見つつ選んでいましたが、最後に立ち寄った仲卸さんで非常にいいものを見かけ即決。

 

いつぶりの天然マダイになるのだろう。

6月に新潟を訪れた際に食べた佐渡産の握りが最後だろうか。なんて思いながら、いい買い物が出来たことに鼻歌がこぼれました。

 

さて、解説を入れるとマダイは夏に産卵期を迎えます。

そのため春には卵・白子を持ち、それらも美味しく頂けるためこれもまた旬と言えます。

産卵で集まり漁獲量が増える事も消費者に取ってお財布に嬉しい旬となります。

春のものは寿司屋、特にチェーン店などでは「桜鯛」なんて名前で売り出されています。

 

しかしこれが7月になるといよいよ産卵期を迎え、栄養が薄い状態に。

これが麦の収穫時期と合わさる事から「麦わら鯛」と呼ばれ、脂が落ち身が痩せてしまう季節を迎えます。

 

そしてまた栄養を蓄えようと餌を荒食いし、秋ごろから冬にかけて脂がのり太ってくる、そんなサイクルです。

しかし南北に長い我が国の至る所で水揚げされるマダイは地域によって産卵期がずれ、例えば東北で獲れたものが太っていて最高に良くとも、同時期の九州のものも同じかと言うと一概にそうとは言えません。

 

そんな数ある産地の中からこの日選ばれたのは、茨城県産の朝〆たばかりのもの。

1キロ切っている小ぶりのものですが、身は厚く価格もどの産地の野締めのものよりも安く、ホンマかいなと疑うレベル。

 

擦れてはいるものの、身の柔らかさは明らかに死後硬直前であり、何尾かいた中から身の厚いものを選ってきたため紛れもない上物です。

 

折角の朝〆のものなので、購入当日の晩に割ってみました。

 

朝〆のものなので身は反発し、細かな血栓が身に混じっていないのを見ると丁寧に処理されている事がわかります。

生殖巣はほぼなく、腹回りに脂肪の塊が感じられる為まさに産卵後の餌を食べ栄養をつけている時期のものでしょう。

年間を通しても身が最も美味い時期のものだと考えられます。

 

 

天然マダイの料理

天然マダイのお造り

持ち帰った当日。

折角の朝〆のものやと、時間がない中で造りました。

 

天然マダイの美しいところはやはり日焼けしていない薄ピンク色の体色。

おまけに鮮度が抜群にいいと来たので、皮に光沢があり飾りに使ってみました。

 

これが驚くほどに美味く、脂のりは養殖ものに引けを取らないほどの甘みを感じます。

しかし当然、養殖魚特有の香りがなく後味はスッキリ。

レモンチューハイと合わせつつ贅沢な晩酌になりました。

 

マダイ丼

3枚に卸したマダイのうち、半身の背側を焼霜にし、皮を引いたものは腹側を使いました。

 

ちょうど安くなっていた北海道産のエゾバフンウニも手に入ったタイミングだったので、豪華にのっけてみます。

白米でなく酢飯にしたのが大正解で、ご飯に味があることでタイがグンと美味しくなります。

単に刺身で食べるのとはまた違い、酢飯の酸味でタイの甘みが引き立ち、余韻を長く楽しめます。

 

焼霜はこれに香ばしさが混じり、旨味と甘みがより強烈なものになります。

しかしそれでいて後味があっさりしているため、濃厚なウニの旨味との相性が抜群に合います。

 

マダイの尾鰭の唐揚げ

処理の際、尾切りにされていたものの尾を塩コショウで味付けし、衣を付けじっくり揚げました。

天然マダイのシュッと長い尾鰭は見栄えも良く、パリパリと食感も非常に良し。

 

尾の付け根の骨は硬く食べられませんが、鰭とその周りに付いた肉の美味さを知ってしまうと、わざわざ尾鰭だけで揚げる意味がわかります。

1キロない個体で揚げ時間もかからないので、捨ててしまうくらいであれば作る価値もあります。

 

マダイフライ

刺身にして残った半身の腹側を、皮の付いたままフライにしてみました。

フライにすると普段食べ慣れたマダイの繊細さを改めて思い出させてくれます。

 

ザクザクっと衣が割れると、旨味が溢れながら弾ける旨味が感じられます。

マダイをフライにすると贅沢だの勿体ないだの言われそうですが、刺身にするのが定番と同等なほど、間違いなくフライにして旨い魚です。

 

 

天然マダイの評価

 

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・・☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格

・高級魚のイメージが強いが、まとまって獲れる時期のものは高い魚ではない。ブランドであったり、よほど太っている仕立てのいいものでない限りは天然ものでも買い求めやすい。

 

コスパ

・歩留りは約40%。養殖ものが多く流通している事もあり、白身魚の比較に用いられる事がしばしば。

 

珍しさ

・至って一般的な魚。いつでも手に入る。天然物は扱う店さえ探せば入手可。

 

味わい

・食べ慣れた味。ということもあってか、文句なしのうまさ。身だけでなく良い出汁も取れる。

 

 

秋と呼ぶにはまだ早いものの、旬を間もなく迎えるマダイを堪能しました。

秋の食材。特に水産物は、サンマに秋鮭など近年不漁続きのものばかり。

当然相場も高騰し、なかなか一般の家庭でおかずに取り入れがたい価格です。

 

そんな中でもマダイは比較的漁獲量があり、高級魚と思われがちですが、実は価格もそれほど高くない為秋の魚として個人的に食べて欲しいものです。

 

ライター紹介

副管理人:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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