美味いじゃないか!クロホシマンジュウダイ
こんにちは、夢海です🐟️
今年(2024年)も終盤に差し掛かり、1年の終わりがひしひしと気持ちを焦らせてくる時期になってきました。
これまで魚を650種前後食べてきた私ですが、年間でどれほどの種類を食べているかというのは意外に計測した事がなく、今年はこれを地道にカウントしていました。
すると11月の下旬でおよそ150種前後。
大衆魚はひと通り食べますが、今年は特に初めて食べる魚種に出会える機会が多かったと感じられる年になりました。
今回の魚もまた、初入手となったクロホシマンジュウダイという魚です。
目次
クロホシマンジュウダイの特徴
今回の魚はクロホシマンジュウダイ。
この魚は以前ミナミギンガメアジを購入させていただいた仲卸さんで買わせて頂き、「出ちゃったけどこんなのも入っていたよ。」と箱を見せてもらった翌週のことでした。
あまりに早い対面に、思わずぴょんぴょこ跳ね上がりそうな勢いのまま購入。
持ち帰り計測・撮影をして調理に取り掛かります。
今回買ったのは2個体。どちらも同じ荷で、鹿児島県産。
ややデブロクのある箱の中で一番大きいもの、小さいものを選択。
こう並べてみると、大きくなるに連れて丸い体型が細長く引き伸ばされているように見えます。
顔つきも鼻のあたりから前に飛び出て若魚のかわいらしい丸みのある姿から、シルエットにやや凹凸が生まれます。
↑立派な成魚でも顔つきはかわいらしい。
黒星の由来は言わずもがなこの黒い斑点から。
表面はザラリとした硬い質感で、細かい鱗が頑固に張り付いています。
印象としては鱗の大きいニザダイといった様子。
これは剥がすのが大変そうだ…。
尾鰭や背鰭には黒い筋模様が通る。
内臓は渦巻き状の長い腸があり、アイゴ、ニザダイ、ツバメウオなどニザダイ亜目らしさが強く感じられる。
やや溶けていたりと写真でお見せ出来る状態でなかったので載せませんが、苦玉もかなり大きいので割らぬよう注意が必要です。
しかし!ここでなんと言う事でしょう。内臓を取り出そうとした際に苦玉を潰してしまい、全身に浴びてしまいました。
胆汁自体にニオイはそこまでないものの、身の方にまで移ってしまい、応急処置として洗い流したもののこれは手遅れでしょう。
部屋に散らばった胆汁を拭き、気を取り直して調理再開。
皮を引くと小型のイシダイなどを思い出させる見た目になる。
脂などは薄く質はツバメウオらしさが感じられる。
そしてエンガワは思いの外発達していました。
クロホシマンジュウダイの料理
クロホシマンジュウダイの刺身
まずは刺身から。
ニザダイ亜目は胃の内容物が体内で発酵し、身に移ってニオイが付いてしまう。というのはまあ少なくはない事ですが、意外にもクロホシマンジュウダイにはそれが感じられません。
念の為2個体とも味見をしましたが、臭さはなく品のある味わいです。
背はしっとりとした質で硬さがあり、コラーゲン質が強めに感じられます。
脂あるんだろう。なんて余計な想像をしたので、思いの外脂は少なくあっさり。
皮目に何となく感じられる程度で、今が時期でないのか、そもそもこういった魚なのか、年間を通して探す必要がありそうです。
腹は薄く、強い食感があります。噛むと甘みが増してきてここで初めて味の強い魚だと感じられました。
小型な上、平たい体系であるため背と腹の質の違いが顕著です。
使用用途に合わせてスライス、調理したい魚です。
クロホシマンジュウダイの塩焼き
皮が硬い魚なので焼くと縮んで食べにくくなるであろう。ということは承知で焼き上げました。
塩をしてラップし一晩置いておく。
翌日に取り出して焼く。
皮が硬いので当然表面からでは箸で剥がすことしか出来ず、手でしゃぶりつく。
この皮に美味さがあるらしく、塩っ気の効いた後から旨さの大群が押し寄せてくる。
皮がおいしい魚だということがよく分かります。
身は細かくほぐれ、嫌味のない味が広がる。
南方の魚とは思えない味の広がり方で、脂も少々重たさがあり量の割に舌にのしかかってくる。
刺身よりも圧倒的に焼いたほうが美味いと感じました。
柑橘との相性もよし。
クロホシマンジュウダイの煮付け
特に皮に風味があり、柔らかくなめらかな質感。
身も硬さのある生の質感からは想像できない柔らかさがある。
繊維の節は大きく汁をよく吸います。
この身からくるこみ上げるうま味は青魚のそれに追いつきそうな勢いで、その勢いのまま米にもガッツキます。
酒よりも米に合うおいしさ。
強いクセがないのに魚らしさがあり、青魚に迫る旨味は米が欲しくなる。
白身の淡白さはあまり感じられず、身はボソつかない。
このしっとりした質も米に合う要素なのでしょう。
この味の強さなら味噌煮にも向きそうです。
クロホシマンジュウダイの天ぷら
皮が硬く丸まるであろうと考え、皮を引いた身を揚げたもの。
皮目に独特のクセと味のある魚であったので、皮を引いたことで風味が殆どなくなってしまった。
身の質のとしては柔らかくほぐれるものの、味が薄く感じます。
この魚のクセというか独特な香りは得意不得意分かれそうなものですが、天ぷらとしてここまで味が薄いとなると、わざわざクロホシマンジュウダイを使わず他の白身魚でもいいじゃないか。となります。
やはりこの魚は皮を活かすのが良さそうで、次回入手した際には皮付きで頂きたいところです。
クロホシマンジュウダイの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・☆☆☆
味わい ・・☆☆☆
価格
・比較的安価。1尾あたりも小さいので買い求めやすい。
コスパ
・体高があり頭が小さく背の身は取りやすい。しかし腹の身は薄く面積が広い上、胆汁が染みやすいので
歩留まりは悪くない。価格も控えめなので扱いやすい。
珍しさ
・やや珍しい。一般流通しないので産地で探す、取り寄せる等の努力は必要。
味
・今回の個体は刺身は普通。加熱して美味であった。より脂が乗ってもおかしくないような質なので、秋は脂の抜けている時期だったのかも。時期を変えてまた試してみたい。
今回は珍魚、クロホシマンジュウダイを頂きました。
以前から食べたという方はSNSなどでも身近で見ていましたが、なかなかどうも手元にはやってきてくれる機会は回って来ず、今回初食べとなりました。
正直より独特のニオイがあり調理法に悩まされそうであると考えていましたが、2個体ともどうやらその様子はなく、クセがなく皮目がおいしい優秀な魚でした。
ただ脂ののり方は今が最盛期でないと思えました。
この魚の美味しい時期を探すためにまた定期的に見つける必要がありそうです。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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