中型のベラは優秀であり美味キツネダイ
こんにちは、夢海です🐟
さて、4月も下旬。
近頃普通に美味しい魚を普通に食べ、これ以上幸せな事はないだろう。なんて感じながらも、心の何処かでは珍しいものを求めていました。
冬・春は魚がうまいものが多い一方で種類が乏しく、メジャーなものばかり目につきます。
そんな4月の下旬に市場をふらりふらりと歩き回り、おもろいものはないが〜ないが〜。と、彷徨っていました。
「今日も収穫なしか…。」
と半ば諦めかけ、場外へ向かいつつ比較的変わったものを置いている事の多い仲卸さんへ足を運びました。
するといましたいました、赤い目を引くやつが…。
目次
キツネダイの特徴
今回出会えたのはキツネダイ。
長崎県佐世保産のフィルムが被せられ、同じ箱にはレンコ鯛(キダイ)が混じった箱で来ていました。
このキツネダイは珍しいという程ではなく度々市場でも目にします。
しかしいざ意識して探すとなるとなかなか入手が難しいもの。
私は特にこういう魚を買い逃す傾向にあり、より珍しいものにばかり目が行ってしまったり、美味そうな魚があればそちらを購入したり。
全く見ない魚じゃないし、次回でも手に入るので今ではないな。なんて判断しては買わずに逃すという流れが頻繁です。
中型のベラ科というと、カンダイも最近購入したばかりで記憶に新しいため、比較という点でも面白いと感じました。
キツネダイは口の切れ込みが大きい。
まさにキツネ顔な長く伸びた顔つき。
体色は強いオレンジ色。
鱗は大きく剥がれやすい。
流通の段階で剥がれてしまっている個体もあるため、きれいな状態で入手したい場合は釣り物で探す。
今回の個体は恐らく釣り物。しかし佐世保は遠く輸送に時間がかかるため、鮮度感は二の次に気にするべき点。
今回の個体は鰓が鮮やかな赤色ではあったものの、両面のぬめりににおいが出ていた。
ベラ科(に限ったことではないが)はなるべく早めにこのぬめりを落としておきたい。
背鰭は一部が黒くなっている。
背鰭の基部は鱗で覆われている。
胸鰭は透明。基部はやや黄色みがかる。
尾鰭は上葉・下葉が伸び、赤や黄色のグラデーションが美しい。
臀鰭も同様に色が混じり複雑で美しい見た目をしている。
鋭い棘条があるため要注意。
キツネダイの料理
キツネダイのお造り
前回のコブダイは海藻の森を泳ぐ姿をイメージしましたが、キツネダイはより深い海域に生息しているため、華やかなヤギなどの近くを泳ぐ姿を想像して盛りました。
湯引きの身でさえもヤギなどを思わせるグラデーションのかかった色合いで非常に美しい見た目をしています。
では味わいも華やかなのかな?と思うと、味の方は淡白。
皮目に旨味があり、食感もあり面白いので湯引きをオススメしたいです。
味わえば舌にじわ〜っと遅れてやってくるような甘味があり、繊細な心で向きあうべき魚になります。
氷水に落とし"あらい"としても食感が引き締まり美味。
刺身だけでも食べ方は色々と楽しめます。
キツネダイの握り(湯引き塩レモン・煮切醤油薬味のせ)
見た目が美しく、握りにしても見栄えがいい。
味は淡白なので補い方は色々と選択肢があります。
今回は湯引きにして皮つきのものを塩レモンで、皮を引いたものは煮切醤油を塗り、薬味を乗せます。
湯引きは塩をする事により旨味を引き締め、香りも強めます。
皮はゴリッとした強めの食感があるので薄く切りつけるとよし。
この皮がアクセントとなり、存在感の大きい一貫になります。
湯引きの方を薬味と合わせてみても間違いなく美味いでしょう。
皮を引いたものであれば皮のみをボイルし刻んでポン酢と合わせるというつまみにも使えます。
続いては煮切り醤油を表面に塗り、ネギや生姜を刻んだ薬味を乗せて頂く。
こちらもレモン果汁はお好みで。
皮を引いたもので食感の面白さは薄まるものの、身はやや硬くゴリゴリとした食感があり、切りつけ方で印象も変わります。
身は硬くシャリとの馴染みはまずまず。
しかし米の甘味がキツネダイのうまさを引き立たせ、甘味など味は相互反応を起こし奥深い旨味となります。
キツネダイの唐揚げ
最後は余った切身の皮を引き塩コショウしておく。
そこへ片栗粉をまぶして揚げるだけの簡単なもの。
ソースはお好みで。今回は純粋にケチャップをかけ、パセリで飾り付けてみた。
軽い繊維で軽く、一口大の身は軽やかで食べやすい。
火を通すことでザ・白身魚という強い旨味が目立つようになり、ソースも多様に選べます。
大きめに取っておきフライに、または薄くスライスして天ぷらでも美味です。
キツネダイの評価
価格 ・・☆☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・☆☆☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・安くはないが高くもない。色のある魚の割には買い求めやすい魚。
コスパ
・歩留まりは普通。頭の大きさの割に、身は膨れ可食部は多い。
珍しさ
・産地の情報を追えば見かける機会はある。いざ市場などで探そうとすれば少々苦戦する。まとまって獲れる魚ではないので苦労するが、扱う業者さえ見つかれば容易に手に入る。
味
・淡白ではあるが繊細な旨味がある。皮目に味があるので湯引きや煮付けで特色を活かせる。
今回は中型のベラ、キツネダイを食べてみました。
ベラは小型の種でも甘味があり、大変美味いのですが、中型にもなると歩留まりも悪くなく、様々な調理に向きます。
色味が良くとも価格もそれほど高くならず、物価高な昨今では非常に優秀である魚だと思えます。
ベラは多様で鑑賞するのも楽しいので、この機会にぜひベラを好きになってもらえると嬉しいです。
以上、ベラ好きの夢海でした〜。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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