不味いと噂のイセゴイ、実際は…?

 

こんにちは、夢海です🐟

 

世の中、味が気になる魚というものはごまんとおり(おそらく私だけ)、その中でもいつしか入手出来ないものかと長い事探していたものがあります。

今回はそんな魚を入手したのでご紹介しようと思います。

 

イセゴイの特徴

今回の魚はイセゴイ。

ギンギラとした鱗に全身を覆われ、まるで金属で出来ているのではないかとも思えるほどに重厚感のある見た目をしています。

 

この魚、決して珍しい訳ではないものの、南方に多い種類かつ、まとまって水揚げのあるような魚でないため市場に入ることもなかなかありません。

魚好きにとってはお宝のようなもので、度々ネットサイトなどで見かけることはありますが、既に売れてしまっていて入手機会を何度も逃してきました。

 

そんなイセゴイを今回は運良く長崎から取り寄せる事が出来ました!

大きさは49.4cm1195グラム。家庭で消費し切るにはちょうどいいサイズです。

 

まな板にのせたイセゴイ。

他のどの魚よりも金属感があります。

 

口は目立った歯がなく、大きく開きます。

 

外見はヒラなどに似ていますが、ニシン目の魚とは異なり鱗は大きくやや剥がれにくいです。

 

内臓はほぼ脂肪で覆われていてまとまりがあります。

残念ながら胃の内容物はない様子。

 

3枚に卸してみました。

感想としては、ソトイワシを思い出す質感。

やや身割れがしやすく、脂のようなものとは異なる粘着性があり指にペトッとくっつきます。

 

片身は丁寧に骨を一本一本取り除いていきます。

yの字状ではないものの、本数が多いため骨の折れる作業です。

 

腹側は焼き用に、背の節を刺身用に切り分けていきます。

 

背の下(尾鰭側)は炙りに。

 

特別脂のある様子はないものの、バチバチと弾ける音がしながら皮が縮んでいきます。

これを切りつけて盛り付ければ完成!

 

イセゴイの料理

イセゴイのお造り&塩焼き

骨抜き作業に疲れたため刺身はあまり取らず、空白を埋めるように塩焼きを添えてみました。

 

聞く話によると金属臭いなど、とにかく美味しくないというレビューをよく目にする魚であったため味が最も気になる魚でした。

 

身の柔らかさで見栄えは良くないものの、色味は悪くない。

薄くピンクに色づいた身に、皮目は血合いと薄皮が残り、身近なもので例えると養殖のはまちなんかを思い出させます。

普通にわさび醬油でいただいてみます。

 

これはいける…!!

素は淡白な味なものの、奥にうま味があり、もちっと反発する弾力はエソやマトウダイなどを彷彿とさせる。

今回はしませんでしたが、寿司ネタにしてもおいしいのではないかと思われます。

少なくとも今回の個体では金属臭らしいもの感じられず、”普通にうまい”という印象でした。

 

続いては炙りを。

 

身の味そのものは淡白なため、もちっとした食感に香ばしさが加わり、旨味にコクが生まれます。

皮目に軽く振った塩が身の甘さを際立たせ、満足感のある味わい。

身が柔らかいという理由で厚切りにしましたが、食感を楽しむ為にも、厚めにスライスして丁度よいと感じました。

 

塩焼き

骨を取り除いた腹側を使いました。

塩を強めにやき、すだちと酢漬けにしたミョウガと合わせて頂きます。

 

こちらもジューシーさが残り、普通にうまい淡泊な白身魚という印象です。

焼き立てはボソボソとせず身からはジューシーさが感じられる。

控えめな脂が混在し、口当たりはふわっと軽やか。

白身の淡白な旨味の中に、青魚のような風味も感じられる面白いもの。

 

最も近いものを出すというのであればニシンが近いと思われます。

 

イセゴイの煮付け

片身の尾鰭に近い部位をそのまま煮付けに。

他にも処理する魚が色々とあり、時間もないため骨を抜かず、食べながら抜くとします。

 

やはり処理なしでは食べるのにひと苦労する程に小骨がありますが、それでも味は非常にうまい。

キュッと締まった様子はヒラのようにも感じられ、血合いからは青魚の旨味も伝わってくる。

白身の淡白な質感に密度を見れば、サバのような食感の側面もあり、骨を取った後でフレークにしても美味いと思われます。

甘辛い味つけにして圧力鍋で骨がホロホロになるように煮てみても面白いかもしれません。

 

今回はこれで使い切ってしまいましたが次回入手できた時に試してみたい調理法に空想が膨らみます。

 

イセゴイの評価

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ・・☆☆☆

 

価格

・今回はセットで取り寄せた為、単体での価格は不明。値付けされる事自体少ないと考えられる。

 

コスパ

・歩留まりは悪くない。小骨が多いため下処理の手間はかかる。

 

珍しさ

・あまり出会えない。流通にもなかなか乗らず、南方の産地から取り寄せる等が必要になる。

 

・聞いた評価ほどまずくない。白身と青魚らしさがあり、特に加熱すると旨さがより強く現れる。身質も良いため利用価値は十分にあると考えられる。

 

今回は不味いという評価をよく耳にするイセゴイを調理して頂きました。

今回頂いた印象としては決して不味いなんてとんでもなく、普通に美味だと感じました。

 

個体のポテンシャルや下処理、漁獲から卸すまでの時間など、魚の味が変わる要素は挙げるといくらでも出てくるため、今回の個体がたまたま当たりだったという可能性もあります。

しかし評価以上に可能性があると思うため、また入手した際には色々試してみたいと思います!

 

イセゴイの見られる水族館

 

新江ノ島水族館では長期飼育されている個体が見られる。

他にもアクアパーク品川など、探せば見られる魚。(2024.1現在)

 

アクアパーク品川で撮影(2023.12)

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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