手頃なサイズのホウキハタは実にうまし

2025年12月20日

こんにちは、夢海です🐟️

 

特に魚がないという日ではなかったが、一捻りした魚種が欲しいと考えるとあまり面白いものがなかった日だった。

如何にも、な春の市場で、この日は小笠原からの荷が来ていたようで、青い父島と書かれたラベルの箱が積まれている。

箱を覗くとアカハタやアカハタモドキと共にホウキハタが入っていた。

 

 

ホウキハタの特徴

今回の魚はホウキハタ。

 

先にも述べたが小笠原諸島父島産である。

地方で小笠原の魚は見かけないが、フェリーが出ている関東、東京では珍しくない光景である。

沖縄ほど多種多様とはいかないものの、同じような南方の美味しい白身などは比較的手に入りやすい。

 

さて、ホウキハタの話に絞ると本種は鹿児島などからも来る。

1日に数本しかない、なんて日もあるが、年間を通せば全く手に入らない、なんてことはない。

黄色い鰭と、クリーム色の体色にマーブル模様を思わせる茶色い模様が特徴的である。

 

よく似たイヤゴハタやカケハシハタはこれに細かい斑点も加わるため、見慣れれば見分けるのは意外と容易である。

 

本種は昨年訪れた大阪の魚料理店で食べたことがあるが、それきりで、自身で調理したことは今回が初めてとなる。

手頃な大きさであったことと、晩の献立を決めようとしているときに出会えたので、初調理ということで買い求めてくる。

 

小型であることもあり、ハタにしては財布に優しかった。

 

 

ホウキハタの料理

ホウキハタの握り

ホウキハタは半身を切りつけ、皮を引く。

 

半身を丸ごと生で食べないので、残りは焼き物用などにとっておく。

身はしこっとしており、心地のいい歯ごたえを堪能していると次第に甘さが感じられる。

身の硬さは決してシャリと馴染むようなものではないけれど、味が良いなと思わせる。

 

軽くしゃぶしゃぶにする、昆布締めにするなどのひと手間で幾らでも美味しくなる。

 

ホウキハタの天ぷら

握り用に取った柵の切れ端などを適当な大きさにカットして軽く振り塩をする。

水分を取り、衣につけて揚げる。

 

生の質から、もっと筋肉質なものを想像していたが、意外にも柔らかい。

淡い美味さがあり、塩と相性が良い。

 

ホウキハタの塩焼き

皮付きで切っておき、丸まらないように切れ込みを入れる。

これに酒を塗りながら焼き上げる。

 

ハタを焼いて味わうということはこれまでしたことがない。

 

ホウキハタは特に焼いて美味しいものであると感じられる。

身が締まり、ちょっと硬くなるけど身はしっとりしている。

水分が無くなり、ハタは硬くボソボソとしがちなものであるが、そんな事は思わないし、むしろしっとりしていてかなり美味い。

 

これは次回手に入った時の、漬魚候補だなー。

 

ホウキハタの鍋

味付けは塩のみ。昆布と焼いたホウキハタのアラから出汁をとり、味を見ながら塩を少しずつ入れる。

 

まだ暑くなる前に食べたものだったが、それでも鍋が食いたいと自然に思えるような季節でもなかった。

それでも美味いと感じるのは、ハタという魚のポテンシャルが素晴らしい点だからであろう。

 

火が入り、生では分からなかった甘みが表れるようになる。

暖かい春風が窓から入ってくる。

ポン酢を落としてサッパリめに食べると、そよ風が舌の上も抜けていくようだ。

 

品があり美味いのだ。

 

ホウキハタのカマ焼き

ホウキハタのカマに塩をして軽く乾かし、これをコンロで焼き上げる。

 

このカマがなかなか肉付きがよく、困っちゃうほどに非常に美味いのだ。

塩をして水分を抜いたので繊維がより引き締まり、レモンが染み込むといい酒の肴になる。

塩も少し強めにしておくと良い。

 

豊富な白身の味が、後から後からと追ってくる。

舌の上では大渋滞を起こしているのだが、それでもまだまだ、味が溢れる。

ハタのカマを焼いただけでこんなに美味しいだなんて、思いもしなかった。

 

ホウキハタという魚があまりに優秀、ということでもあるのかも。

 

 

ホウキハタの評価

価格　　　・☆☆☆☆

コスパ　　・・・☆☆

珍しさ　　・・・☆☆

味わい　　・☆☆☆☆

 

・価格

ハタ類の中では比較的買い求めやすい価格帯。

 

・コスパ

他のハタ科魚類同様に頭は大きく、小型のものほど頭の割合が大きく歩留まりも同様に悪くなる。アラも汁などにして使うと良い。寿司屋などは身が硬く肉も取れないのであまり好まない場合が多い。

 

・珍しさ

一般に流通するものではないが、それでも希少性が非常に高いという訳でもない。市場では比較的見かける。豊洲へは主に小笠原諸島産のものか、鹿児島や沖縄からやって来る。見つけるのは難しくないが、元々高価な魚であるため、大型になればそれなりに値は張る。

・味

身は引き締まり、刺身にしても良かったし、湯引きやしゃぶしゃぶでも良さそうだ。用途は色々試せて、さらにはその総てが美味い。

 

書きまとめるのに時間がかかってしまったシリーズ。

本種を食べたのは3月だが、いまは年末が近づき、あれもこれも終わらせねばならぬ、という12月。

それだけ時間が経っていても、本種の味は思い出せる程、印象強い。

ホウキハタ、まだまだ試したい料理は多いので、手頃なものがあればなー。と考えるばかり。