2種のアジ科を食べ比べ!ヒレナガカンパチとリュウキュウヨロイアジ

こんにちは、夢海です🐟

 

奈良・和歌山へ飛ぶ予定がある前日、ふらりふらりと市場を散策していた日のこと、さすがに今日は買わないぞ。と決めていた筈なのに、そんな日に限り欲しかった魚があるのはいつもの事。

タイミングが悪い。だなんて愚痴を言いながらも、結局気になり、店頭にその魚が並んでいた仲卸さんへ戻ってきてしまいました。

 

 

ヒレナガカンパチとリュウキュウヨロイアジの特徴

今回の市場で見つけたのはヒレナガカンパチという魚。

カンパチ同様にブリ属の魚で、カンパチに比べ背鰭が長く鎌状に伸びているのが特徴です。

 

↑カンパチに比べ体色が暗く、ピンク色の光沢があるカンパチに対して、黄色や深緑色をしている。

 

入荷が全くない訳ではないものの、このサイズは見かけず、またヒレナガカンパチとしての入荷もなかなか無いため混じりのものを探すしかありません。

 

少し前に、3キロとちょっと大きいなというものを見送っていたため、今回衝動的に手が出てしまいました。

 

産地は三宅島産。

箱の横にはカンパチ4、ヒレナガ1と書かれており、産地では見分けられている様子。

実際並べてみてみると、ヒレナガカンパチの黒さが目立ちます。

 

では冒頭の写真に写るヒレナガカンパチの下にいる丸い銀色の小さな魚はなにか。というと、仕事を終え、ヒレナガカンパチを持ち帰ってる最中にふと寄ってしまった吉池さんに売られていたリュウキュウヨロイアジになります。

 

小さいし、一度食べたことがあるとは言え、しっかり味わえていない。2尾くらいならばなんとかなるだろう。と、こちらもオマケついでに買ってきてしまったものです。

 

背鰭が長く延伸し、背面から見ると黒い横帯が目立つ。

 

通常のヨロイアジのほうが実はまだ未食で、リュウキュウヨロイアジが2度目になります。

ヨロイアジに比べて鰭が黄色く、明るい体色をしています。

 

翌日から2日間、家を離れるためできる限り生魚は置いておきたくありませんでしたが、カンパチはアジ科の中でもトップクラスの物持ちの良い魚。

半身を当日に食べ、残りは帰ってから加熱調理しようとなりました。

 

 

ヒレナガカンパチとリュウキュウヨロイアジの料理

ヒレナガカンパチとリュウキュウヨロイアジのお造り

ヒレナガカンパチは半身を、リュウキュウヨロイアジは1尾と半身を1枚使いました。

 

ヒレナガカンパチ

サイズが小さいためか、かなりあっさり。

通常のカンパチに比べても水分が少なく、粉っぽさを舌の上で感じる。微かな旨味はあるが限りなく白身に近いサッパリとした味わいでした。

 

リュウキュウヨロイアジ

一方でリュウキュウヨロイアジは脂のりが非常によく、勝手に舌の上でとろけるほど柔らかい質。

脂の甘みだけでなく青魚の香りに旨味が絡み合い、結果的に後味はスッキリと消えてゆくため、万人に受ける美味しさだと思えます。

 

 

ヒレナガカンパチと大根の煮物

いわゆるぶり大根の要領で作りました。

あら炊きだのなんだの言い換えていますが、毎回ブリ以外のブリ属で作る時は料理名に悩みます。

ヒラマサであればマサ大根がしっくり来るものの、カンパチ大根だと少し長くなってしまうし、語呂が悪い。カン大根はなんだか発音しづらく、パチ大根では偽物に聞こえてしまう。

 

あまりにも「ぶり大根」という料理名が美味しそうに聞こえすぎてしまう事が原因なのでしょう。

というわけで今回は煮物という事にしておきます。

なんてことはさておき、脂の多いブリで作るぶり大根は絶品だが、脂の少ないヒレナガカンパチではどうなるのか。

 

まあ、アジ科なだけあり美味いよね。

ブリに比べて脂があっさりしていて青魚感が薄まり、白身魚を炊いたような味わい。

程よく締まった身に汁がしっかり染み込んでいます。

 

リュウキュウヨロイアジの塩焼き

一方でリュウキュウヨロイアジの残り半身は単純に焼いてみました。

 

これが度肝を抜かれるほどの旨さ。

とてもこのサイズからは想像の出来ない旨味の濃さ。

脂が濃すぎず、身はグズグズとせず程よく締まり身離れよし。しっとりとした身に香ばしい皮目のパリッとした食感。

 

青魚の雰囲気はやや薄く、白身の旨さが混じりアクセント的な臭みのみがほのかに香る程度で品も感じられる。

これは2尾と言わず残っていたもの全て買ってきても良かったのではないかと後悔するレベルでした。

 

これを干物にしてもよさそう。フライにしたらどうだろう。なんて考えてもみますが、無駄に手を加えない方がうまいなんて魚も一定数おり、この魚もまたその仲間なのだろうと結論づけました。

 

 

ヒレナガカンパチとリュウキュウヨロイアジの評価

 

・ヒレナガカンパチ

価格   ・・・☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ・・☆☆☆

 

価格

・価格はやや安〜平凡。天然のカンパチ、特にショッコと呼ばれる1キロほどのサイズの混じりでやってくるため、それほど値は張らない。

 

コスパ

・ブリ属は総じて歩留まりは悪くない。ヒレナガカンパチはカンパチに比べ体高があり身は平たくなる傾向があるように見られる。コスパは平凡〜やや良し。

 

珍しさ

・ブリ属4種の中では最も入手が難しい。天然のカンパチの箱からひたすらに探すか、伊豆諸島方面へ釣りに出かけると出会える可能性は高い。

 

・カンパチに比べ淡白さがより目立つ。身に水分が少なく、単に焼くなどでは冷めるとあっという間に美味しくなくなるので、加熱したものは出来立てを食べるべし。

 

・リュウキュウヨロイアジ

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・☆☆☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

価格

・価格は平凡〜やや高級。知名度こそ高くないものの、美味さを知っている人にとっては価値のある魚と言える。単価が張っても、1尾あたりが小さいため一般家庭には優しめ。

 

コスパ

・小さいため姿で焼く、煮るなどすると余すことなく使える。ぜひ刺身で食べて頂きたいところだが、歩留まりは平凡。

 

珍しさ

・全く、ではないものの、あまり見かけないため入荷があれば買うべし。太平洋側の産地が殆どのため、日本海側で流通がない場所では入手困難と予想。

 

・この知名度が低かろう小さい魚に値がついているだけの事はあり、味わいに一定の評価があると思われる。旨味・香り・脂の総合的なバランスが非常によく、アジ科魚類の中でもトップクラスの味わいと個人的に評価する。

 

 

ヒレナガカンパチとリュウキュウヨロイアジの見られる水族館

ヒレナガカンパチ

食用として養殖も盛んなカンパチ自体、展示している水族館は少ない。

ヒレナガカンパチは見られたらラッキー程にはあまり見られない。

写真は四国水族館にて2022年7月に撮影したもの。

 

リュウキュウヨロイアジ

こちらもまた水族館ではレア種。

長期飼育している水族館は、私が訪問したことのある約50館のうちでは思い当たらず。

写真は2022年の春に撮影した個体。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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