晩春のヒラスズキ
こんにちは、夢海です🐟️
さて、今回もまた毎度ながら衝動買いしてしまったお魚の話。
季節の旬のものは食べたいと思うのは当然ながら、その逆もまた気になります。
本来旬ではないだろう。と思ってしまうものの、物をみれば悪くない。こういった魚も見る度に手が伸びてしまう対象になります。
目次
晩春のヒラスズキ
肌寒く、薄い長袖でも耐え難くなる紅葉の染まる時期に旬を迎えるものでスズキ科ヒラスズキがあります。
本来であれば11月も下旬頃に見るようになり、私自身ここ2年は年末年始に食べているような魚です。
しかしこれが桜も散り終わり、日差しで微かに夏を思い出した4月の下旬に良いものが築地魚河岸に並んでいました。
値札が並んでいなかった為単価を聞き、そのまま呼吸もせず「1本ください。」と、あたかも買うことは決まっていたと言わんばかりの早さで、3本あるうち一番太いものを選んできました。
この体高を見ると、ヒラスズキの標準的な体型よりも背中が盛り上がっていることが分かると思います。
産地は宮崎、細かなとこまでは追えず。
所々網で擦れウロコが剥がれ落ちた跡が見えるため、定着のものと考えられます。
脳天には締めた穴があり、神経も抜いているのかなといった具合。
身はやや緩くなっているものの、野締めではなさそうです。
しかし腹が思った以上に柔らかく、少し遅いが卵だろうだなんて考えていました。が、これが全て胃の内容物でした。
↑茶色く膨れ上がったところが胃袋。
産卵後のこの時期ということもあり、餌を荒食いする時期なのでしょう。
内臓を包むように脂肪はあるものの、胃袋の方が腹をかなり圧迫しています。
胃袋が頑丈だったからか腹は溶けておらず、削る身も最小限で済みました。
身は全身に脂が混じり半透明。
旬真っ只中のものに比べると劣りますが、この季節でしかも餌食いだったということを考えると、ものは十分に上質といえるでしょう。
骨を外すときの包丁も微かにべとつきます。
ヒラスズキの料理
ヒラスズキのカルパッチョ
柵取りしたヒラスズキは薄切りに。
ベビーリーフ等を並べ、切りつけたヒラスズキを重ねていきます。
スライスしたレモンとトマトを飾り、仕上げにオリーブオイルなどで味付けをして完成。
薄く切りつけたため、生ハムのようにリーフを巻いて食べることで食感が生き、やや感じられる磯の風味もまたリーフの苦味で軽減されます。
ヒラスズキの握り
単にわさびでつけたものに、煮きり醤油を仕立てたもの。
脂の甘味あり、磯の風味ありで、大変味のある白身。
そしてもちっと柔らかく弾力があり、シャリとの馴染みがよく寿司として美味い一貫。
しかし冬場の個体に比べ脂が薄いのか思った以上にあっさり。これではスズキと大層変わりません。
間違いなく美味いのですが、ヒラスズキというのであればもう少しゴージャスというか、上品で贅沢な旨味が欲しいところです。
ヒラスズキの西京焼き
今回の最適解は西京焼きでした。
味噌で漬け込むことで磯の風味がマイルドになり、焼き上げることで、白身魚そのものの旨味がひょっこり現れてきます。
最も香りに旨味の強い皮目。
皮と身の境目にある脂の層が皮を持ち上げ、パリッとした食感を生み出します。
味噌の旨味は魚の臭みを旨味に変える変換機なのかも知れません。
ヒラスズキの評価
※今回は晩春のものとして評価
価格 ・・☆☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・・☆☆
味わい ・・☆☆☆
価格
・価格は平均的~やや高級。特に今回紹介した若魚のサイズは割安。
コスパ
・歩留まりは普通。
珍しさ
・産地以外では中央卸市場など、やや大きい施設であれば見つけやすい。珍しいものではないが春~秋頃まではそれほど見かけない。
味わい
・スズキに比べ沖合に生息し、沿岸の水くささが薄く、上品で食べやすい。しかし今回の個体は若いものが岸近くにいたためかやや風味あり。しかしこれもまたうまし。
今回は晩春、旬を外したヒラスズキを食べてみました。
見た目から期待したほどうまい!!という感想は出なかったものの、旬の終わりの時期として考えればまずまず。
安定して、とは言い切れませんが、年間を通しあまり味が落ちない安心して使える白身魚なのではないでしょうか。
季節を外して食べてみるのもまた醍醐味。立派な勉強です。
副管理人:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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