盛夏はヒラマサの最盛期

 

こんにちは、夢海です🐟️

今回は夏の魚、入道雲が頻繁に見えるようになってきた8月の上旬。

 

今年も暑いな、でもまだ夏枯れはあまり感じられない。(この後やってくる)そんな時期でした。

たまたまオススメに流れてきて思わず見かけたブログを開くと、産地での水揚げを頻繁に発信されているサイトのようでした。

1番新しい記事の日付を確認すると…なんと前日の情報でした。

 

産地は京都若狭湾辺りらしく、数種類紹介されていましたが、他の魚種が霞むほど素晴らしいヒラマサが写っていました。

 

 

ヒラマサの特徴

今回の魚はヒラマサ。

 

それもタグ付き、京都からやってきた丸っと太ったいい個体です。

体高があり厚みもあり、硬直してブリブリとしています。

冒頭で紹介したブログを見たのが、ちょうど市場でこの荷を見つける当日の朝、市場へ向かう最中でした。

 

今回購入してきたヒラマサと同じタグが付いているものが並んでいるのを見かけました。

どの個体も身がブリブリしていてこれは美味そうだなぁ。豊洲にも入ってきてくれんかなぁ。とぼやいていた直後に市場で並んでいるのを見つけたのです。

 

そんなタグ付きのヒラマサが目の前にあれば、こりゃ買わねばならん。と当然買ってしまうもの。

キロ単価もヒラマサにしては安く、この日は他に福井、青森など複数産地からの荷が確認できましたが、この日は断トツで京都産のものがいいと判断しました。

旬は旬でも1週間ちょこっとの期間だけが特に一番最盛となることが多く、今回のヒラマサも1週間前に見たもの以上にいい個体で、まさに一番のピークであると言えます。

 

尾鰭まで肉がビシッと締まり、張りがある。

 

元々体高のある魚だが、より一層丸みを帯びている。

これでいて胴の幅もありまさにボディビルダー並。

 

体色は黄金色のラインが体の中央を走り輝いている。下氷仕立てなので上面は色褪せておらず、見た目から美しい。

 

 

内臓には脂肪がありました。

 

この硬さはやはり脂肪であったかと、久しぶりに見た石鹸のような大きい内臓脂肪を見て嬉しくなりました。

5年前頃であれば、比較的内臓脂肪がガッツリ詰まった魚をよく買っていたものの、ここ最近ではあまり出会えておらず、全体的に脂肪が薄いように思えます。

海の魚が痩せているのか、旬といえる時期がズレ始めているのか、単に魚を食べる頻度が増え、肥っている痩せているにこだわらず多くの魚を食べているため割合が減っているのか。

後者であることを祈ります。

 

 

ヒラマサの料理

ヒラマサの握り

たまたま養殖のヒラマサも1ブロック手に入り、同時に握りました。

左から2貫ずつ、腹側、背側、養殖の並びになります。

 

まず腹側。今回の魚体で最も脂ののっていた部位になります。

口へ入れるとシャリと同じように解けていく様子は絶品そのもの。ヒラマサが好きになったのもこの味に感動したからでした。

脂があるとは言え、ブリに比べると食べやすい脂の質で、まとわりついていつまでも残るものではなく、サラサラと喉を通り越していくような軽い脂です。

 

香りも豊かで、ヒラマサは初夏を連れてくる回遊魚と言っても過言ではないほど、日本海に夏を連れてきます。

 

続いては背側。

こちらもまたヒラマサの好きな点があり、やや硬く締まった食感のいい身は脂による味の濁りがない分、素直な旨味が伝わります。

ほんのりと酸味があるのがブリ属ならでは。

 

そしてゴリッと皮目が硬いのはその中でもヒラマサの特徴で、この歯ごたえの良さと後味の良さは万人受けするものでしょう。

やや硬い質は寿司向きかと言うと"ええそうだとも"と自信を持って言えるものではないかも知れませんが、それでもこのほのかな甘味はシャリとの相乗効果によって引き立ち、一貫では物足りないな、もう一貫。と手を止めることを忘れ食べてしまいそうです。

刺身で食べるならば下手な寒ブリよりも、1キロちょっとのヒラマサの方が個人的には箸が進みます。

 

養殖は背側の柵をもらってきました。

 

養殖のヒラマサはここ数年でグンと見る機会が増えた気がします。

安定供給という面では大型チェーン店などで扱いやすいのでしょうが、まずくはないものの、天然物の素直な旨味を隣に並べてしまうと面白みのない味であると感じてしまいます。

私自身、天然思考ではないものの、季節を感じるには天然物を食べねば。です。

 

今回の握りは旨し。

産地でフィレ加工され、数日経った状態のためヒラマサのゴリゴリとした食感は薄れてしまっているものの、身はまだ硬く、カンパチに比べて脂のりは控えめなため、食べやすさがあります。

しかし素が繊細な味の魚であるため、養殖ブリなどに比べて養殖臭は目立つ印象。

 

面白い発見となりました。

 

ヒラマサのお造り

天然物の半透明色の身が何とも美しい。

血合いも鮮やかで見栄えが非常にいいです。

今回は単に刺身で。味と食感の特に強い尾に近いところを使いました。

 

透明感があり、あっさりしていそうな見た目なのに醤油にはキラリと脂が浮かび上がり、わさびのツンとした香りをファンファーレに、後からジャンジャカジャンとヒラマサの旨味が込み上げてきます。

程よい酸味あり、皮目のコリッという食感よりも、ブリッとした筋肉の弾力が実に面白いです。

甘さあり、酸味あり、こちらもやはりヒラマサ自身の脂が洗い流しスッキリとした後味となります。

 

※養殖ものは割愛

 

ヒラマサの塩焼き

軽く塩をして15分ほど置いて汗を拭き取り、もう一度塩をして(1回目よりやや多めに)ひと晩馴染ませてから焼きました。

 

骨付きで焼き上げたので皮がまるまる心配は御無用。

そもそも皮が薄い種、皮目に脂がある種は焼き切れるので、丸まりにくいです。

 

さて、パリパリに焼き上がった皮の下に隠れる身はどうか。

これが文句なしにうまい、なんて偉そうな事言えないほどに大変美味しゅうもので、箸先から伝わるサクっと皮が破れる音、じゅわっとその下から溢れる肉汁。まったりと甘く、身の中に含まれるジューシーな脂と水分がその味を巻き込んで静かに消えていく。

後味はあっさりとしており、もう一度、もう一度と摘む箸が止まりません。

 

200グラムぐらいの切身があったものの、気がつくと食べきってしまいました。

 

ヒラマサの西京焼き

西京味噌に漬け込んでおき、ふた晩。

そろそろ良いかな?良いよな。と、あまりの食べたさに気がつくと味噌をペーパーで拭き取っており、そのままコンロへ。

 

二切れで済ませてしまっていたことをこの時に後悔。

 

焼き上がった香りからもう美味しいことがわかります。

次回は半身分漬魚にしよう。なんて先の話は置いておき、箸で真ん中を切り分けると身の中から脂が溢れます。

これを今回は白米と共に。

 

ヒラマサのあっさりとした旨味の隙間を埋め合わせるように西京味噌が合わさり、おかずとして優秀なコメ泥棒になります。

アジ科を食味で評価するのであれば、アジ科というベースの旨味があり、その先の属レベルで見ていくとグラフのように浮かび上がります。

そこに脂の質がどのようなものか。を掛け合わせて割り出すと、本種はブリ属でも優れて西京味噌との相性が良いものであると感じられます。

 

 

ヒラマサの評価

 

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・・・・☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

価格

・ピンからキリまで。イナダなどブリに比べるとやや高いが、近年まとまって揚がっている事もあり、案外安く手に入る事も多い。

 

コスパ

・歩留まりよし、アラも使える。魚価も張らない等の点からコスパはいい方の魚。

 

珍しさ

・近年では天然魚のほか、養殖も見られる機会が増えたと思う。小売りでも購入可。

 

・絶品。刺身や焼き物で重宝される。今回は手頃なサイズの中でも大きめであったため、色々調理しよう!なんて意気込んではいたものの、生食と焼きのみで食べ尽くしてしまった。脂が薄ければ油を使った調理にも向く。アジ科ならではの旨味があり、その中でも品があるあっさり系なので面白い料理がいくらでも作れる。

 

今回は最盛期のヒラマサを堪能しました。

焼きと生食のみという単純なものになってしまいましたが、美味いものを美味く食べるには十分ではないでしょうか。

しかしヒラマサは個人的にまだまだ開拓途中な魚で、もっと面白く美味しい調理法があるのでは無いかと考えています。

今年は日本海側の産地を初め、北は青森などからも頻繁にやってきていて、且つ比較的安いものが多いのでまた今季中に冒険をしてみたいなと思います。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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