ヒメマスは大きさも味もお姫様

 

こんにちは、夢海です🐟

今回は念願の魚を入手できましたので紹介していきます。

 

ここ数日は沖縄から魚が来たり、長崎から魚が来たりと、その中にも未食の種が紛れていて初実食のものが続き充実しています。

そんな中で豊洲をいつも通り散歩していると、これまた鮮魚として初めて出会う魚が並んでいました。

 

豊洲は通い始めて3年ほど。

大型のバケアカムツやオオスジハタなど、(経済的に)入手困難な高級魚を除くと、大体の日は未食の種を見かけません。

しかし6月に入り、最低気温が安定して20度を下回らなくなった中旬のある日、水氷に浸かった銀色に光る魚が並んでいました。

 

鮮魚として初めて見る魚ではあるものの、昨日にSNS上で入荷情報が上がっているのを見ていたため、直ぐにあの魚であろうと直感し、箱の中をよく見てみました。

 

 

ヒメマスの特徴

今回の主役ヒメマスは北海道支勿湖産。

水氷で仕立てられており、20入りの箱がひとつ、ポツンと置いてあります。

 

時間が早かったため、値札もなければ魚種も書かれていない状態で置いてありましたが、迷わず仲卸のおっちゃん声をかけて袋をもらい、太さと鮮度感のいいものを3本選んできました。

 

ヒメマスとはベニサケの陸封型で、海へ降りず淡水域で一生を過ごすベニサケになります。

ベニザケといえば塩鮭、フレークなど、主に加工品で目にする機会は多いものですが、ヒメマスとなると流通量は極端に少なくなります。

 

体は柔らかく、押せばへこむ。

かなり身が割れやすそうな印象。

 

瞳孔が大きく、かわいらしい顔つきが印象的。

 

 

水氷でよく冷やされており、鮮度感は悪くないものの、触った様子から足は早い様子がうかがえます。

購入日に仕込みだけ終わらせ翌日の調理に準備します。

 

身は淡いサーモンピンク色。

一度冷凍しルイベにするという使い方もできますが、今回は当日のうちに加熱して頂いていきます。

身は早速弱くなってきており、ややグズグズっとしてしまいました。

皮の硬さとは裏腹に身は非常に柔らかいため卸す場合は注意が必要です。

 

 

ヒメマスの料理

ヒメマス3品盛

1尾で1品ずつ作り、これを1枚のプレートに盛り付けてみました。

これをしたかったが為に、仕上がるのに数日かかるルイベを見送りました。

帰ってから4本買っておくべきであったと後悔しました。

 

ヒメマスのみそ焼き

頭つきで背開きにし、コンロで軽く火を通します。

4分ほど焼き火が通れば味噌を塗り、ネギを散らして仕上げます。

 

味噌の甘みと塩味、そしてヒメマスの旨味が非常にいい塩梅で、鉄串で手を火傷しながらもうまいうまいとあっという間に食べてしまいました。

 

ホクホクとする旨味は川の鱒である事を改めて思い知らされ、この小さい魚体の中に驚くほどの旨味が詰まっています。

味噌は赤味噌を使いましたが、この繊細な味を引き立てるのであれば思い切って白味噌でも良かったでしょう。

 

ヒメマスのムニエル

腹開きにし骨を取り除いたものに、ハーブ類や塩コショウをして味付けしました。

これをオリーブオイルを熱したフライパンで焼き上げます。

洋風でもヒメマスの味は活きてきて、ハーブの中でしっかりと感じられる濃いけれども繊細でありながら、後味はスッと消えていく旨味があります。

他のサケ科に比べても風味豊かに思えます。

 

ヒメマスの天ぷら

腹開きにして丸々一尾を揚げたもの。

身が赤いサケ科は揚げる調理法が最も美味いというのが個人的な意見で、身を見てこれは揚げたいと思い天ぷらにしました。

 

ヒメマスはサケ科の中でも小型の割に身が赤いため、天ぷらという手段は選ぶべきと思います。

思えばこのサイズで身がオレンジ色のサケ科は他にいないのでは。

すると、1尾を開いて天ぷらにするというのはヒメマスを使ってこそ意味のあるものだと思います。

 

冷まして美味い揚げ物というのはあまり存在しないものの、ヒメマスの天ぷらは冷めてしまってはボソボソ感が目立つため、揚げたてを食べてほしいです。

 

皮目に薄っすらではありますが、脂の甘味のようなものも感じられます。

これが滑らかな食感を感じさせ、なめらかな美味さがあり、これが食感をより複雑に、より面白くさせます。

 

 

ヒメマスの評価

 

価格   ・☆☆☆☆

コスパ  ・・☆☆☆

珍しさ  ・☆☆☆☆

味わい  ☆☆☆☆☆

 

価格

・キロ当たりいくらという売り方よりも、1尾〇〇円として売られることが多いもの。しかしこれを計算するとなかなかな単価になる。決して安くはない魚。

 

コスパ

・小さい魚であるため、歩留まりが悪くならないよう丸ごと使いたい。そうすれば原価計算もしやすく扱いやすいものだと考える。

 

珍しさ

・珍しいというよりも、希少価値が高いというのが正確かも。生息地は知られていて、釣り人のターゲットにもなる。しかし市場流通が少ないため、珍しいという意味合いより希少価値が高いという言葉選びの方が正確であると考える。

 

・サケ科は旨味が濃い種が多く、淡水に生息するものの中でもトップクラスの味の濃さであると感じる。非の打ち所なし。絶品。料理人側にこれを活かせる腕があれば十分な魚である。いつしか己のような素人料理ではなく、プロの調理したヒメマスを頂いてみたいものである。

 

今回は市場で仕入れたヒメマスを調理して頂きました。

名前に恥じないお姫様のような繊細な旨味、小さいけれど存在感の大きい旨味をしています。

今回はルイベが試せなかったのが非常に残念な点なので、リピートしてみたいという気持ちも含めて最挑戦は確実でしょう。

さて、北の国のお姫様に次会えるのはいつの事になるのやら。

 

ライター紹介

副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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