赤いのに白身魚!?ハチビキとはどんな魚?
こんにちは!夢海です。
さっそくですがクイズ!
ハチビキはどれでしょうか!
サメやアンコウ、ミノカサゴとなんとな~く魚を知ってる方なら消去法で分かるかと思います。
正解は大きな赤い体のこの魚!
これがハチビキといいます。
さて、今回は別名赤サバとも呼ばれる赤い身をした白身魚”ハチビキ”をご紹介します。
目次
ハチビキの形態
まずは見た目をじっくり観察しましょう!
赤サバと呼ばれる通り、背中もお腹も鰭の先まで赤い魚です。
この魚はスズキ目ハチビキ科ハチビキ属に属する海水魚で、やや深い水深を好みます。
実は過去にこのハチビキに似たお魚をご紹介したことがあります。
このハワイチビキという魚もハチビキ科ハチビキ属のお魚。
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まるでポケモンの色違いのように姿はそっくりです。ポケモンの色違いで例えるなら、珍しい方はハワイチビキでこのハチビキはそれなりに見かけることが出来ます。
それでは細部まで観察していきましょう。
まず背鰭の条鰭、これは硬い棘条(きょくじょう)と呼ばれる鰭を支える骨で、赤くなっています。
深い海に生息しているため大きな目をしています。
目が大きいと可愛らしく見えますね(笑) 太い唇におちょぼ口が更にかわいく思えさせます。
しかし、おちょぼ口というのは見せかけ。
本気を出せばこんなに伸びるんです!
ビヨ~ン!
正面から。先ほどの可愛らしい顔も一転、迫力満点な顔になりました。
この伸びる口を使い、餌を吸い込むように捕食します。
深海という限られた環境で貴重な獲物を逃さない構造になっています。
ハチビキのさばき方・調理
それにしても今回の個体は丸っと肥っていていい感じ。大型のハチビキは脂があり旨味は濃くなります。
夏も終わりかけのこの時期が産卵期なのか、白子を抱えていました。
そして内臓には度々話題になるあの寄生虫が…😱
苦手な方は画像を飛ばして下さい!
白子をポン酢で食べようかと思いましたがこの虫を見て今回はやめることにしました。
白子の天ぷらにしたら良かったと後から後悔…。
内臓と血合いを洗い落として三枚に開きます。
鮮やかな赤い身が出てきますがこれでも白身魚なんです。
赤身、白身の違いは色素タンパク質と呼ばれるタンパク質の多さで決まります。
ハチビキはこの見た目でも白身魚なので、マグロを想像して食べてみるとあっさりしていて驚くと思います。
赤身にしては薄味ですが、魚としての旨味は強く、また大きくなるほど皮目に脂がのります。
今回の個体は中の上といったところでしょうか。
しかし時期でもないのにこのクオリティは当たりだと思います。
頭は半分に割り塩焼きにします。
標本のキャパがギリギリなので今回は珍しい頭も頂きます。(笑)
続いては生食用の仕込み。
尾鰭に近いところは筋が強いので加熱向きですが、今回は虫が付いていた事もあり尾鰭の方を使います。
皮を炙って薄切りに。
皮は固いので噛み切れるように切れ込みを入れます。
よく縮むので串打ちをしてバーナーで皮がパリっとするまで炙ります。
炙ったものをよく冷やしてスライス。これを漬けダレに漬け込みます。
残りは切り身にしてしまい加熱調理していきます。
ハチビキの料理
ハチビキの塩焼き
塩を強めに振って焦げないよう気をつけながら加熱をしました。火がギリギリ通るくらいで取り上げ、中に閉じこもった旨味を堪能します。
このハチビキ、私の中では今まで印象がかなり薄い魚でしたが今回ガラッと変わりました。とにかく魚らしい旨味が強いんです。
アジ類でいえばムロアジとかに近いかな。食べ応えのある大きな筋肉がほろほろほぐれる所も似ています。
ハチビキのかぶと焼き
同じく塩焼き(こちらは頭)。少ない頬肉と頭肉をほじくります。
想像以上に頭の肉は少なく、食べ応えがあまり感じられませんでした。
調理に使うなら汁用にダシにしたほうが有効活用出来ると思います。頬肉は魚の部位でもかなり好きですが、今回ばかりは身の方が美味かった。
ハチビキのお刺身
料理屋で出すなら赤サバの刺身。居酒屋の店先にあるメニュー票をチラリと見ると意外にも見かける事の多い魚です。
人気かどうかは分かりませんが、見た目がよく安くて美味いので扱い易いのでしょう。
オマケに日持ちが良いので店によっては重宝されているようです。
大きめにスライスしたところをわさび醤油でパクッと。
香りがいい魚で、口に入れると赤身らしい風味が鼻を抜けます。後から続くのはマグロのようなコクではなくブリ類のような旨味。
少し筋のある天然のワラサを食べているような感覚です。そこに皮目の脂も混ざってくるのでかなり美味い魚だと思います。
ハチビキの煮付け
煮付けは皮が縮んで丸まらないように皮目に飾り包丁を入れました。
この煮付けが驚くほどに美味しくオススメです。
コリッという食感が特徴の皮は柔らかくなり、腹の脂の甘味と濃い旨味が混ざり魚としてトップクラスで美味しいです。
水分も多すぎず少なくもないしっとりした身なので加熱してもパサつかないのが嬉しいポイントです。
湯引きをして下処理を行えば大きな血合いも臭みが抜けています。
ハチビキフライ
お刺身はもちろんですが、今回初めてフライで食べてみたところその旨さに驚きました。
先ほどの煮付け同様に大きな血合いがあるのでこちらは臭みを塩で抜きました。そうすることで旨味がギュッとつまりより味が濃くなります。
サクッと噛むと溢れる旨味とジューシーな白身が特徴的です。
血合いというものは劣化が早いものの旨味が詰まっている部位です。
アジの塩焼きでいう皮のすぐ下の茶色いところです。それに栄養もたっぷり!
臭みの消し方はいくらかあるので用途に合わせて試してみて下さい!
ハチビキの握り
最後はお寿司でいきましょう!
銀皮を残すと紅白色でとても美しいです。そしてサシが入り脂もありそうです。
お腹側の身はコリッとしたいい食感。そこから広がる甘味も美味です。
一方で背中の身は柔らかくあっさりとした身ですが、赤身の風味も感じられ、食感もマグロに似ています。脂は強いものの食感は背中の方が握りには向きそうです。
旨味が足りない時はごま油と塩で補ったり、スライスオニオンなんかを乗せてサラダ普通に握るのもまた見た目も味も良いかと思います。
ハチビキの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・☆☆☆☆
珍しさ ・・・☆☆
味わい ☆☆☆☆☆
まず価格、今回は鮮魚セットの一つとして購入しましたが、大体キロ¥600~1000前後が多いと思います。白身なのに身が赤かったりと、気味悪がられて比較的安価です。
コスパはそこそこ肉が取れ良好。頭の身は想像していた以上に少なかったのであらとして扱った方が効率的に頂けると思います。
珍しさは西に行けば行くほどみる機会が増えると思います。主な産地は九州方面、今回の個体もでしたが長崎で盛んに獲られている印象です。近年では居酒屋でも赤サバとして提供されたりと、見かける機会もちょこちょこあるかと思います。
味わいは文句なしの☆4つ!大型の個体ほど脂がのりコクのある美味い魚です。高級魚という上品さよりも、大衆魚に近いみんなの人気者といった立ち位置だと思います。
今回は赤い身をした白身魚、ハチビキをご紹介しました。
なんとも赤いのに白身と、不思議な魚ですが絶品なので皆様も見かけた際は是非手にとってみて下さい!
本記事は、サテライトライターさんの記事になります。
サテライトライター:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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