旬はいつだろう?脂ののった秋のハマフエフキ
こんにちは、夢海です🐟️
秋になり、今年は特に多かったなという魚が目立ってきました。
当然全国各地から魚が集まる豊洲では、産地での漁獲量がそのままそっくりやって来るわけではないので、場合によっては多く見える。なんて事もあるので、ここではあくまでも豊洲での見え方の話になります。
目次
ハマフエフキの特徴
今回紹介する魚はハマフエフキ。
南方に多いフエフキダイ科の魚で、主産地も長崎や鹿児島など西寄りとなります。
そんなハマフエフキが今年は豊洲で見かける機会が特に多かったように感じられます。
数もまとまり型も揃う。歩留まりが良い上に味も良いので、これがそれほど高くないのだから魚屋にとっては嬉しいものです。
今回のハマフエフキも産地は鹿児島県内之浦産。
今年はよくお世話になっている産地です。
となるとおそらくは定置網で獲られたもの。
胸鰭の上側は青い棘があり、鰭は黄色い。
クリーム色の下地に青い斑が散らばり、硬い鱗に覆われています。
タイ類と同様に鱗は剥がしやすく、水洗いも容易。
大型のためその後の処理もしやすく、全体的に使い勝手のいい印象なので今後も安定してまとまった漁獲があれば重宝され、価格を上げていくことでしょう。
ハマフエフキの料理
ハマフエフキの刺身
ハマフエフキは卸して皮を引く。
背と腹に分けて盛り付けます。
皮を引いたときから大当たりを確信し、刺身の切れ端を味見。
するとまあ濃い旨味をまとっており、ほんのちょろっとした切れ端でも存分に美味いと言えます。
盛り付けてみると改めて物の良さがわかります。
滑らかな舌触りとそこから感じられる豊富な旨味。
脂は確かにあって強いものの、しつこさがなく溶けると共に消えていきます。
どうやら全身くまなく脂が均一に周る魚ではないようで、腹と背で風味が異なります。
ハマフエフキの握り
続いては握りに。
腹の身と背の身をそれぞれ2貫つけます。
血合いの色が美しく、見た目がまず美味い一貫です。
腹の身は刺身で少し強く感じた脂をシャリが調和し、握りとして非常にうまい一貫となります。
元々身の柔さかがあり、ほんのりとした甘味、血合いの酸味のバランスが非常に良く、脂がある分シャリとハマフエフキの違った甘さがぶつかると味覚の化学反応が起こり存在感の大きい白身のうまさがあります。
腹の身は脂の甘みが薄い分、酸味が目立ち、身の旨味がやや薄く感じられます。
本能的に腹側が食いたい!となり、食べる順番を間違えてしまったと思えます。
味のボリュームで言えば、腹にはやや見劣りしますが、それでも柔らかい質感とシャリの相性はよく、寿司としてかなり美味いものとなっています。
ハマフエフキの西京焼き
皮付きで切り身にする。
体高のある魚なので無理せず背腹で切り分ければ良かったと反省。
これを西京味噌に漬けてふた晩置いておきます。
焦げぬよう焼き上げたら完成。
やや細長く不格好ですが味は格別。
単に焼くと身の中にある水っぽさが目立ち、その分味もボヤけてしまうでしょう。
西京味噌に漬け込み、この水を追い出したあと、味噌の旨味がハマフエフキに移り美味くなります。
この魚は火を通すと繊維質のような質になり、噛めば噛むほど旨味の増すような魚となります。
厚みのある香ばしい皮も美味で、身との境目には脂がありフエフキダイ科でもトップクラスに美味い魚であると思えます。
ハマフエフキのアクアパッツァ
ハマフエフキのカマや切身の端などを使用。
貝に千葉県産ぜんな(小サイズ地ハマグリ)を使い、盛りだくさんの野菜で彩ります。
ハマフエフキは火を通しても硬くならないのでアクアパッツァに向くし、汁ものの料理に向きます。
カマの部位なので脂が特に多く、貝や野菜の旨味の汁の中でもハマフエフキは埋もれず、その旨さから、あくまでもハマフエフキが主役なんだぞというのが伝わります。
両面を焼く際はしっかりめに、塩コショウをしてオリーブオイルでソテー、やや焦げ目が付いたら白ワイン(なければ料理酒でも可)と水を入れ、野菜や貝類を入れます。
あとはコトコト待つだけ。
みるみるうちにあらゆる旨味の元が汁に出てきて濁りはじめます。
仕上げにハーブ類などお好みで散らして完成!
アクアパッツァは調理簡単♪で美味く、旬の野菜や魚を摂れるのでもっと気軽に作ってほしい料理です。
魚も骨が気にならないという方であれば端材やカマを集めてそれを入れれば1人前にしては十分な量が作れるし、余ったスープとスパゲッティを和えれば大大大満足な晩御飯となります。
強い風味やクセがあるわけではないため、和にとらわれず洋風に広く向くような優等生です。
ハマフエフキの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・・☆☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・歩留まりが良くまとまって揚がるもののまだ高くはない。今年は特に多いのかもしれない。
コスパ
・歩留まりよし。頭は標本用として欲しい骨があるので今回調理はしなかったものの、ほほ肉も
珍しさ
・古くは珍しいものの一つだったと思う。近年では春頃〜秋までの長い期間で見られることが多い。時折スーパーなどで柵で並ぶのも見かける。
味
・火を通してうまし、使い勝手がよく味もいいので人気が今後出てくるであろう魚。今年も何度か小売店で刺身用柵を見かけている。
今回はまだ暑い秋に食べたハマフエフキを紹介しました。
本種は、今年春から晩秋にかけかなり長い期間で見られました。
一般的な小売店でも切身などで見られることが多く、パックをまじまじの見ていたりはしましたが、元の身の色が乳白色であり、脂の有無というのが実際に触ってみないと分かりにくい魚です。
見られる期間が長かったこと、基本的に質が変わらず、比較的安定して内臓脂肪も見られることなどから旬がイマイチ掴めていないものでした。
今回の個体はこれまでいただいた個体で最も脂のあるものであり、旬は秋であると呼べるのか、秋も旬であるというべきなのか悩みどころです。
外見での判断が難しい上、来年もまた実際に多様な産地、サイズのものを購入してみるべきであると感じます。
こういった南方の出会う機会が間違いなく増えている種を調べどう売っていくべきか、水産業者として現状取り組むべき課題であると私は感じています。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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