ボラは知られていない美味い魚【未利用魚の代表格】
こんにちは!夢海です🐟️
湿度が上がり、いよいよ梅雨入りか、なんて憂いていたある日、知り合いのバイヤーの方から安くて美味いから食べてみて!薦められたら魚が手に入りました。
目次
ボラの特徴
今回のお魚はボラ。
都市部の河川などに大群で押し寄せることから知名度はそれほど低くはない魚です。
しかしそれを食べるとなるとどうでしょう?
「ボラなんか食べられるの。」
という反応が大半。
しっかしこれがうまいんだな!
知らないと大損しているレベル。
「本当か?」
と言わずぜひ最後までお付き合い下さい。
今回のボラは岩手県産。ボラの産地としてはあまり聞かない。
立派な1,5キロの個体です。
そしてお値段はなんと破格のキロあたり300円!
そりゃボラなんだからそんなもんでしょ。
なんて声が聞こえてきそうな気もしますが、後ほど紹介する味を考えたら圧倒的に安い。
ボラの裁き方・調理
そんな前置きはここらにして観察して、捌いて食べてみよう!
まず顔。大きな目で可愛らしい印象。
胸鰭は他の魚に比べやや上寄りに付いている。
背鰭は小さく、4本の棘からなる。水面にピッタリ背を付けて泳ぐ事からあまり必要がないのかな。
体には4、5本の黒い縦線が走り、鱗は大きい。
第2背鰭の形はシュッと、サメの背鰭のような形状をしている。ちなみに私はボラの第2背鰭が好きです。
尾鰭は湾入し、やや青みがかっている。角度によって色が変わり、実はグレー単色という訳ではない。
背中も同様で、角度によっては青色や翡翠色といった宝石のような輝きを見せる。
実はきれいな魚なのでじっくり観察をする機会があれば見て頂きたいです。
そして尾鰭の付け根が切られていた事に少しずつ触れましょう。
今回のボラは漁獲したまま処理をしない“野締め“ではなく、しっかり締められているもの。
鰓と尾鰭を切り、放血してあるとても良い状態。
漁獲してから1日しか経っておらず、まだまだ血も硬直していないため水で洗う度に血がどんどん抜けます。
腐りやすい血を抜く事で臭みが抑えられ、日持ちもします。
血が抜かれているからこそ、肝も綺麗で珍味ボラのへそも無事救出。
ボラのへそとはなんぞや、という方にはこちらの記事を是非呼んでほしい。お酒好きな人には絶対オススメ!
それぞれの用途に加工し、終えた。
こう見ると歩留まりのいい魚なものです。
身もサシか入り半透明でやや濁った様子は脂が期待出来る証拠。
切り身にしてみると一般的にスーパーにありそうです。
でもきっと、ボラというラベルを貼られて並んでたら誰も買ってくれないんだろうな。
こんなに身の質がいいのに!!
食わず嫌いは勿体ないです。
皮の直下に見える大きな血合いもまたボラの特徴。
こちらも脂が感じられていい感じ。皮を引く包丁に脂がベットリと吸着しました。これは楽しみだ。
ボラの料理
身の質を見つつ、せっかくいいボラが手に入ったので様々な料理で試してみます。
ボラの塩焼き
まずは無難に塩焼き。
しかしこれが栄養たっぷりの海で育った黄色い脂が溢れ出てきて、コンロからはパチパチと破裂音が鳴り止みませんでした。
身はふっくら、そして脂がじゅわ~。
腹のところを使って正解でした。
そして骨は太く頑丈なため、身離れがよく小骨みたいなものは全くない!
頑丈過ぎるので誤って飲み込んでしまったときは怖いですが、骨をしっかり抜けばそんな問題も心配ありません。
しかし美味いな。川魚の風味というものもかすかに感じ、強めの塩が臭みを消しつつ旨味を引き立てている。
皆さん、ボラって美味しいんですよ。
ボラの刺身
続いてはボラの刺身。
そこらヘンの川を泳ぐものを想像してしまうシティボーイ&ガールは抵抗感MAXでしょう。
しかし東北の綺麗な岩手の沖合でとれたこのボラはめちゃくちゃ美味い。
鮮度抜群のため臭みという臭みがなく、甘みがあり、血合い由来の旨味も感じます。
一つだめなとこをあげろと言われれば、もう少し味が欲しい。それくらい上品な身で本当に美味しい!
ボラのへそ塩焼き
続いてはボラの一品もの。
へそを開いて綺麗に汚れを落としたものを強めの塩で焼き上げました。
以前にも紹介した事のある、知る人ぞ知る珍味でその食感はまるで砂肝。
お酒が好きな人には嬉しいつまみになります。
これはからすみ用の卵が出回る秋口に売っている事があるかも!?
1尾から1つしか取れないので少し物足りないです。
ボラの香草バター焼き
続いてはバター焼き。臭みはないものの、素材の味は塩焼きで頂いたのでハーブ類での味付けだとどうなるか試してみました。
表面はカリッと焼き上げ。
バターの香りとハーブや香辛料、ボラの魚らしい旨味があわさり、西洋の港町の情景が目に浮かびます。
程よい旨味を持っているため、香辛料に負けず勝たずで調整のし易い味わい。
西洋の味付けでは西洋の料理にしっかりとなる優等生です。
ボラの煮付け
では和風の味付けではどうなるかというと、これが醤油に起因するのか川の風味がふわっと広がります。
これぞ和食といったような、古くから食べられているような面影を感じました。
バター焼きとは正反対な和の香りが全面に出てきました。
肝も一緒に煮付けました。ふわっとした食感で、濃度はやや控えめ。血は抜けていたため、見た目は綺麗なので刺身にあわせてみても良いかも知れません。
熟成ボラのにぎり
続いては熟成させた身を握りに。
漁獲から日が経っていなかったことと、血抜きもしっかり施され早い段階で下処理が出来たため、ちょうど1週間寝かせてみました。
一定の温度で水分を抜きながら熟成させ、旨味が凝縮されています。
ねっとり食感、そしてあとを追う強い甘み。
握りとして完成度が高い!もちろん新鮮なボラはコリッとした食感があり美味いものですが、脂のあるいいボラは寝かせてみてもよし。
ボラ天
最後は天ぷらで!
刺身で使った身の端材で天ぷらに。
加熱するとふんわり食感のボラは、軽やかな口当たり。
すーんと抜ける魚の香りに散らしたゆず皮が相性抜群。
調理によって、旨味の濃度が変わる。そしてどれも理想の味わい。
ここまで万能だったか!という発見と、いいボラに出会えた事に感謝してごちそうさまでした。
ボラの評価
価格 ・・・・☆
コスパ ・☆☆☆☆
珍しさ ・・・☆☆
味わい ☆☆☆☆☆
価格
・安い、とにかく安い。今回は締めものでこの値段。漁場がおおく、美味しい魚が豊富に取れる岩手だから値が付かなかったのかも知れないが、基本安い魚。
コスパ
・頭が小さく、身はふっくら。骨も多くないため歩留まりは良い方。
珍しさ
・市街地の河川など、身近にありふれた魚ではあるものの、見た目ほど流通にはあまり乗らない。
・時期的、地域的なもので、沖合の定置網にかかったものが流通する。
味わい
・これは言わせてほしい。間違いなく☆5レベル。嫌な癖はなく、食べやすい。脂もほどよく寿司屋の1ネタとしていたら嬉しい存在。
今回はボラを紹介しました。
いかがでしたか?
ここまで美味い美味いというと食べてみたくなるのではないでしょうか?
地域にも左右され、処理されているされていないでも評価に差が出てくるかもしれません。
しかし記録として、2022年4月に食べた岩手のボラはうまかった。とだけここに記しておきます。
また出会えたらいいな。
本記事は、サテライトライターさんの記事になります。
サテライトライター:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします!
Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
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