「勉強しなさい」と言ってはいけない理由・言わないようにする方法
子供を持つ親御さん、子供に「勉強しなさい。」と言っていませんか?
そして本当は子供に、「勉強しなさい。」と言ってはいけない、ということを聞いたことがあるのではないですか?しかし、どうしても「勉強しなさい」と言ってしまう。
今日は、そんな人のために、「勉強しなさい」と言ってはいけない理由と、それでも「勉強しなさい」と言ってしまう人のための対処法を科学に基づいて紹介します。
目次
「勉強しなさい」と言ってはいけない理由
一般的な回答
色々と調べてみると、まあ色々と考察されていますね。
- 自由にさせてもらえると勉強にも打ち込める
- 言われるとうざい
- 今やっていることが気になる
- 命令口調には負のエネルギーがある
などなど。
まあ、どれも間違いだとは思いませんが、少し根拠が足りないような気がします。
統計学的な理由
面白いことに調べてみると、文科省の行った調査のなかで答えになりそうな統計がありました(平成20年、平成25年全国学力・学習状況調査結果など)。
今回は、詳しい中身については省略させていただきますが、その調査の中では「勉強しなさい」と言われているグループほど成績が低いことが報告されています。
これで、「勉強しなさい」と言われると学力低下につながるのは確かだと思うかもしれません。しかし、学力が低いから「勉強しなさい」と言っていると言う反論もあります。
心理学的な理由
心理学の世界で広く知られている現象に、【心理的リアクタンス効果】というものがあります。
簡単に説明すると、「人は、自由を求めている。そのため、何か制限をかけられると抵抗する。」という現象です。すなわち、「しなさい」といわれると「したくない」と思ってしまうということです。
すなわち、「勉強しなさい」と言っている親は「勉強しない」ように子供を誘導してしまっているのです。
これで、子供に「勉強しなさい」と言うのは逆効果であるというのが分かったのではないでしょうか?
とはいえ、やはり「勉強をしなさい」と言いたくなってしまう。そんな人のために、言わないでよい方法や、言ってしまった場合の方法などを次に説明していきます。
「勉強しなさい」と言わないようにする方法
言わないようにすると逆に言いたくなります~皮肉過程理論~
今まで「勉強しなさい」と言い続けてきた人が急に言わないようにすることは難しいです。 なぜなら人には、何かをしてはいけないと思うと、逆にしたくなってしまうという傾向があるからです。
この傾向を、【皮肉過程理論】と言います。詳しいことは、下の記事に書いてありますので、気になる人は読んでみてください。
すなわち、「勉強しなさい」と言わないようにすると、余計に言ってしまう結果につながるわけですね。
では、どのようにすればよいのでしょうか?
別の言葉に言い換えよう~if-thenテクニック~
先ほどの結論は、言わないようにしようと思う行為が逆効果ということです。であれば、言わないようにするのではなく、「勉強しなさい」と言いたくなったら別の言葉に言い換えればよいのです。
この手法を専門用語で【if-thenテクニック】とも言います。すなわち、if(何かあったら)-then(その時すること)を自分ルールで決めようというものです。ダイエットを成功させるテクニックなどにも良く使われます。もちろん、実際に数々の実験で効果が実証されています(Peter et. al., 2006など)。
今回の場合であれば、
if- 「勉強しなさい」と言いたい
then- 別の言葉をかける
という風に使えるわけです。
しかし、問題はどのような言葉をかければ良いのかということです。
自由を制限しない言葉をかけよう
if-thenテクニックで、代わりにかける別の言葉についてです。
ここで、なぜ「勉強をしなさい」と言うと、子供は勉強したくなくなるのかを思い出してください。
そうです、その理由とは勉強をする・しないの自由が制限されるからでした。すなわち、勉強のする・しないの選択肢を制限しないような言葉に置き換えれば良いのです。
例えば、
if- 「勉強しなさい」と言いたい
then- 「ご飯まで勉強する時間があるよ」、「今日は何時に勉強するの」と言う
などが良いかもしれません。コツとしては、「こちらは提案するのみで、選択権は自分自身にありますよ。」というニュアンスを含ませることです。
とはいえ、もしかしたら勢い余って「勉強しなさい」と言ってしまうこともあるかもしれません。でも大丈夫です。その後にある言葉をつなげるだけで、リカバーすることができます。
「勉強しなさい」と言ってしまった!すぐに○○を言えば大丈夫~BYAF法~
何を言えば良いかを説明するために、ある説得術に使われるテクニックを紹介します。それは、【BYAF法(But you are free)】というテクニックです。 日本語に言い換えると、「しかし、それはあたなの自由です法」となります。
このテクニックは、何かをお願いする最後に「しかし、それはあたなの自由です。」を付け加えるだけで、説得力が2倍もあがるというものです。もちろん、多くの研究でこの効果が実証されています(Nicolas et. al., 2010など)。今まで、言ってきたことともつながっていますね。
すなわち、「勉強しなさい」と言ってしまったら、その後にBYAF法の「しかし、それはあたなの自由です。」に類する言葉をつけ加えれば、リカバすることができるのです。
これを、if-thenテクニックとあわせると、例えば、
if- 「勉強しなさい」と言ってしまった
then- 「まあ、どっちでもいいけど」や「○○くん(ちゃん)の自由だけど」と言う
という使い方ができると思います。もちろん、どのような言葉にするかは好みでよいと思います。
これにて、「勉強しなさい」と言いたくなったときの対処法がわかりました。とはいえ、ただ勉強をさせるだけでは、学力があがるわけではありません。効率的に勉強をする必要があります。
さらに子供の学力をアップさせたい親へのおすすめ本
きっとここまで読んでくださった方は、もっと子供の学力をアップさせたいと思っているはずです。
世の中には、多くの勉強法について書かれた本があります。子供の学力をアップさせたい方は、そのような本から学ぶのも良いでしょう。そんな本の中でも、僕がオススメしたいのは、”最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法(メンタリストDaigo 著)”です。
多くの勉強法に関する本が持論を語っています。しかし、この本は、持論を含まず科学的な客観的事実のみを述べている非常に珍しい本です。もし興味があったら買って読んでみてください。もちろん、読むかどうかはあなたの自由です。
まとめ
今回は、「勉強しなさい」と言ってしまう人に向けて、「勉強しなさい」と言ってはいけない理由と、わかっていても言ってしまう人への対処法を紹介しました。もちろん、この方法も唯一のやり方ではなく、他にも科学の世界では色々な方法で効果があることがわかっています。なんとなくの持論やスピリチュアルな方法で子供の学力をあげるのも1つかもしれません。しかし、その前に科学的に根拠のある方法を試してみるのが良いのではないかと僕は思います。これからも、教育に関する科学的な方法と、その応用法を紹介していきます。
以上
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