絶品!?アジアコショウダイ

皆さんこんにちは!

夢海です🐟️

今回は少し珍しい名前の魚をご紹介します!

 

世にも珍しい地名付き

さて、今回ご紹介するのはアジアコショウダイというお魚。

 

勝手な印象ですが、名前から聞くとピリリとするインドなどで使われてそうな香辛料のようにも聞こえます。

一体、このお魚の何が珍しいのか。

それは”アジア”という世界的に見ても広い地域を指す地名が名前に使われているということです。

他にもインドヒメジなど、インド洋に広く生息するからインド○○という種類や、アメリカから食品として輸入されてくる魚介類にアメリカ○○という名付けはありますが、いずれも特定の海域や国の名前が付く程度。

和名が北米○○やオセアニア○○といった魚はあまり見かけません。

アフリカは固有種が多いからかチラホラ聞く印象はあります。(このあたりは曖昧なので気になったら調べて下さい。)

兎にも角にも標準和名で見れば、この”アジア”といった広い地域を指す地名を用いる魚は他には殆どいません。

そしてどこか名前の語呂が良いので印象強い魚です。

 

過去に某ナス色のディレクターさんがテレビで捕まえて食べていたので一時知れ渡った事もあります。

 

さて、この立派なアジアコショウダイなのですが、今回も印束商店さんから取り寄せた長崎県産になります。

 

本来は沖縄などの南方の方で獲れる事が多いのですが、暖かい海流の当たる長崎でもこの様に水揚げされる事があるそうです。

実は過去に豊洲市場で通常のコショウダイに紛れて入荷している場面を見かけましたが、その時は買いそびれてしまいました。

悲願の魚でもあります。笑

 

 

アジアコショウダイの調理法

それでは捌いていくのですが、このコショウダイの仲間はイサキ科の仲間です。

その中でもイサキは比較的鱗を落としやすいのですが、このコショウダイのグループに属している大型の種類は大きめの鱗がかなり頑固に付いています。

 

対処法はすき引きという皮ごと鱗を引く方法かひたすら頑張って落とすかの二択になります…💦

今回はこの美しい模様を標本にして残したいので片面は落として片面は残します。

 

このコショウダイや他にもマダイなど、少し大きめの魚の鱗はかなり勢いよく剥がれるので、調理が終わるとキッチン中鱗まみれになっているという事がよくあります。

その対処としては水を掛けながら鱗を落として下さい。

勿体ない気持ちは分かりますが、ドバドバ流してパッパと片してしまえば効率的です。

後で掃除する手間もなるので時短に繋がります。

 

もちろん、真冬であろうと冷水ですよ❗️

冷たい水を掛けながらパッパッと終わらせる。魚の処理はスピードが命です。(とは言え体が一番大事なのでケガをされない程度にお願いします。)

 

鱗を落とすと少し身の色が透けているのかやや赤みがかりました。

落とし残しがないか包丁で軽く撫でて、取り残しがあれば掃除します。

 

そのまま他の魚同様三枚に卸します。

この体高のある魚は少し難しいかも知れません。

ただ背骨は固いので、ゆっくりゆっくり背骨に沿わせて剥がしていくと綺麗に卸せます。

 

鱗を落としたものは加熱調理用。

付いているまま卸した方は皮を引いてお寿司、残りを天ぷらにしてしまいます。

ここでも少し時短する裏ワザが…

今回は頭だけを落として、カマは残した状態で三枚に卸しました。

理由としては、少し寝かせるので最低限の断面で保存する為、頭と内蔵だけを取り除いたというのと、カマはあら汁にすると予め決めていた為です。

どういうことかと言うと、腹骨を落とす祭にカマと腹骨、同時に落としてしまえばこのままあら汁に使えます。

 

普通捨ててしまう骨周りからはいいダシが出るので、こうしてまとめて落とすことで汁の具材として食べ応えも出ますし、二度手間になりません。

私は捌きながら何にするか考えますが、蒸すのか焼くのかあるいは汁ものにするか、ある程度はどんな料理にするか絞っています。

 

さて、皮を引きましたがこれが素晴らしいものでした。

 

血合いと白身のバランスがとてもよく、細かなサシが入っています。

コショウダイの身は筋が強く、イサキほど旨味も強くありませんがこれは少し期待してもいいかも…?

寿司ダネ用に柵をとり仕込みは完了です。

 

鰭周りのエンガワも取れたので握ります。

 

皮付きのものを写真に収め忘れてしまったので、仕込みパートはここまで。

ここからは料理の方を紹介していきます。

 

 

お味はいかほどに。アジアコショウダイフルコース

アジアコショウダイの握り

いつもと違い今回は最初からどどんと主役級のものを。

というのも理由はしっかりあります…。

 

ううーん、これはコショウダイと変わらなくない??

皮目の脂気に期待してしまったからなのか、それとも美味しいというウワサを聞いていたからなのか。

期待値を最初から上げ過ぎてしまっていたかも知れません。

 

身はとろけるのですが、筋がやはり気になる…。

若いコショウダイほど全体的にコリコリと固い感じではありませんが、ほぼコショウダイ。まあコショウダイの仲間だもん、そりゃそうだ。

ただコショウダイにも良いところはあります。イサキの仲間というだけあって、身に均一に混ざる脂の甘味は感じられました。

 

筋をよける切り方があるのかな。この仲間はさほど高くはないので数こなして研究していこうと思います。

一番うまかったのはこの不格好なエンガワかな。

筋はないし甘味がダイレクトにきます。

 

アジアコショウダイのカマの煮付け

片側のカマはあら汁にせずに煮付けにしてみました。

 

イサキ科は火を通すとやはり美味いですね。

生でも旨味がひょこひょこ溢れているので、加熱する事によりそれが暴発します。

 

カマの周りの身はプリッとした食感がたまりません。

そして私、夢海特製の味付けが染み渡ります。煮付けは家族にも好評なんですよ。

これは当たりです。煮付けにするなら切り身よりもカマがオススメです。

身を使うとボソボソしてしまうと思います。

 

アジアコショウダイ天麩羅

続いては私の調理した料理ランキングでも上位に食い込むであろう天麩羅です。

素材の味を素直に楽しめるので外せません。

 

さて、皮を引いたお刺身のサクの残りを揚げましたがどうでしょう。これがとても美味です。

 

先ほどご紹介しました煮付け同様、火を通し旨味が倍増しています。

薄く包み込む衣に閉じ込められた旨味の塊。これが溢れ出してきます。

イサキの仲間は細かい繊維が合わさるような構造です。

 

塩焼きにしておいしい魚は繊維が細かいものが多いように感じます。(マアジやイサキなど)

噛んだ食感がいいのか、旨味を感じやすい構造なのかも知れません。

 

アジアコショウダイのバター焼き

アジアコショウダイは熱帯~亜熱帯に主に生息する魚です。今回の産地は長崎ですが、沖縄風にバター焼きにしてみました。

表面をカリッと焼き上げて甘いバターの香りが食欲をわかせます。

 

獲れたその場所や主に食べられている産地の調理法で試してみるというのは、おうちに居ながら旅行気分も味わえるのでこのご時世に持って来いだと思います。

そして獲れる地域の調理法ということは日常的に食べられている、つまり美味しい調理法であることに間違いありません。

バター焼きを郷土料理と呼べるかは分かりませんが、郷土料理を体験して実際に食べてみるということにはとても深い意味があると感じています。

 

表面はカリカリ、中身はジューシーな細かい繊維が詰まっています。

甘いバターの香りとアジアコショウダイの旨味が非常にマッチしていて、あっという間にペロリと食べきってしまいます。

魚臭さが少なく、食感や香りもマイルドになっているので魚が苦手という方にも是非食べて頂きたいです。

 

アジアコショウダイのマース煮

これこそ正真正銘の郷土料理、マース煮です。

”マース”とは沖縄の方言で塩を意味します。簡単に言うと潮汁に近い料理です。

沖縄の蒸留酒、泡盛をと塩を入れて島豆腐などと煮込むものですが、泡盛と島豆腐を入手出来なかったので通常の料理酒を使用しました。

 

刺身では筋が気になったり、やや固い身をしていましたがこちらはふんわり。奥の奥まで塩と酒の旨味が染みてます。

塩加減を上手くいくと夢中でかき込んでしまうほどの美味さ。塩気が物足りない時は醤油などで味を整えるのも○

ネギがアクセントとなり、魚の旨味が溶け出した汁と豆腐も相性抜群です。

暑い夏場でもサッパリと食べることが出来ます。

 

マース煮は比較的手軽な料理なので、白身魚などにオススメです。

 

アジアコショウダイのあら汁

最後にあら汁で締めくくりましょう。

こちらも具材はアジアコショウダイと豆腐とネギだけ。塩を振り焼いたあらを煮込んでいきます。

出汁は昆布とアジアコショウダイのみ。サラサラの上質な脂が浮かび上がります。

 

握りで食べたときのサッパリ感からは想像の出来ない、濃厚な甘味がクセになります。

加熱をする事でアジアコショウダイの良さを最大限に引き出せた気がします。

 

沖縄では魚を刺身よりも揚げや煮物で食べる調理法が多い理由が伺えます。

刺身では旨味を最大限引き出せない脂の少ない魚が多く、魚種も豊富な為沖縄の魚の食べ方から学べる事は多そうです。

 

アジアコショウダイの評価

価格   ・・☆☆☆

コスパ  ・☆☆☆☆

珍しさ  ・☆☆☆☆

味わい  ・☆☆☆☆

 

価格は安くもなく、特別高いとも感じられません。

通常のコショウダイと同じ扱いでしたら☆4つですが、分けられているとこちらの方が評価が高いように感じます。また、産地が都心部から離れている為配送料などが乗っかりコショウダイほど安くは手に入らないです。(状況により変わります)

コスパはあら骨もしっかり使える優秀なお魚。大型ではありますが、落とすと頭は意外と小さめです。

この魚は珍しいと思います。豊洲でも一度見たきり。産地でもまとまって獲れる魚ではありません。

生食では分かりませんでしたが、加熱調理は通常のコショウダイよりも美味しく感じました。

経験上一例しかありませんが、コショウダイに混ざって入る事が有り得なくはないので見かけた際は是非チャレンジしてみて下さい!

 

本記事は、サテライトライターさんの記事になります。

ライター紹介

サテライトライター:夢海
未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで400種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記

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