全身グレーの不気味なカワハギ!ウスバハギを丸ごと食べ尽くす!
こんにちは!夢海です🐟️
突然ですが、“一般的“に出回る食用のカワハギの仲間は何種類いるかご存知でしょうか。
まずはカワハギ。本カワハギとも呼ばれ、このグループの中心的存在。近年では価格が高騰し、肝が大きくなる美味しい冬の時期にはなんとキロ1万円を越えることも。
続いて上がるであろう魚は“ウマヅラハギ“。カワハギの相棒として上げられますね。
このウマヅラハギも旬の寒い時期には立派な肝を持つため美味とされています。
カワハギに比べて馬の顔みたいな面長な顔つき。
プロの方にも聞いて回ると大体この2種が上がって終わります。
(実はもう1種類いるのさ!!)
なんてこらえてからネタばらし。がよくある落ち。
手の空いた合間の魚トークは楽しいものです。
さて、その正体は何かと言うと、
「ウスバハギ」という種類。
名前すら聞いたことがない、そんなあなたもインパクト溢れる見た目の魚で、一度見たら忘れられなくなるでしょう。
どのような魚なのでしょうか。見ていきましょう!
目次
ウスバハギの特徴
デデーン!
こちらがウスバハギ。
グレーで細長い体はウマヅラハギにも似ますが、下顎のあたりでカクっと輪郭が飛び出たり、なによりもその大きさのインパクト。
ウマヅラハギはこの半分程度の大きさでも立派といえます。
しかし細かく見ていくと大きくのっぺりした顔つき以外はカワハギ科の特徴を残しています。
まずは鰭、体を動かす原動力。
この鰭が最も重要と言える背鰭と臀鰭。
この上下2枚の鰭をぴろぴろ~っと動かし前進、時に後退と自在に泳ぎ回ります。
静かに真っ直ぐ力強く泳ぐ姿から、富山などの一部地方では「グンカン」の別名も。
グレーの体色もまた軍艦のようですね♪
そして特徴的な顔を見てみると…
口の位置がぱっと見ではわかりません。
下に飛び出ているとこに有るようにも見えますが、これは腹鰭の名残の骨の付け根なんです。
口はどこかというとその上の角になっている
ここ!
大きな体なのに口は小さく可愛らしいおちょぼ口をしています。
この小さな口と鋭い歯で餌の海老などの甲殻類、時にクラゲなどを必死に啄みます。
今回の個体も胃の中からはクラゲと見られる透明の半液体状の残骸が見られました。
そして次に気になるのが目のほほ真上から飛び出る小さな棘。
カワハギの仲間は棘状の背鰭を持ちます。
このウスバハギの背鰭は姿の割に小さいな。
そう思った方もいるかと思いますが、実は本来こんなに長い魚なんです。
非常に細長く、お菓子のプリッツのが硬いんじゃないかという程の脆さで、水揚げされている最中や、箱詰めされる最中などにポキッと折れてしまいます。
これに似る魚というとウマヅラハギくらい。
しかし見分けるのは簡単で、ウマヅラハギは青い一方でウスバハギは黄色い鰭をしており、一様にグレー、たまに網目状の模様が表れる個体もいます。
ウスバハギの調理
それではおいしく調理していきましょう!
ウスバハギを含めカワハギ類は覚えておくと便利なコツがあります。
背中に包丁を入れ、背骨を断ち切ったらそのままベリベリっと手で剥がします。
すると内蔵や肝を傷つけず、頭を落とすことが出来るのです。
ここまでくればあとは3枚に卸すだけ。
“薄葉“とはいうものの、今回の個体はだいぶ肉厚。
カワハギ類ならではの鰭の付け根の赤い筋肉もありますが、身が大きいだけあり落としても可食部はそれほど減りません。
そして肝もしっかりあります。
体が大きい分、取れる肝の量も多いです。
ウスバハギを卸す時の注意点は背骨が太いため、三枚に卸す時に肉を残しやすい点。
しっかり背骨に沿わせて包丁で山を登るように剥がせばきれいに卸せます。
きれいに卸せると真ん中に背骨の窪みが出来ます。
ウスバハギの料理
ウスバハギの刺身
まずはお刺身をサクッと。
淡白な味わいのため、もみじおろし・ポン酢で頂きます。
↑透き通るような白身。透明感はややカワハギには劣るものの、白身魚としてはいい見た目をしている。
「いやぁ、秋だね。」
なんて感じながら堪能する約3年振りのこの魚の味わいを噛み締めました。
ウスバハギのあら炊き鍋
卸した中骨の鰭部分を落とし、酒・昆布とともに中骨を炊きます。
そこへぶつ切りにした頭と切り身を野菜と投入してあら炊き鍋の完成!
今回の味付けは塩を中心に醤油で整えました。
ウスバハギの頭部の肉はコラーゲン質のもので覆われ、骨からはがしやすくツルンと食べられる美味さがあります。
そのためさっぱり系な塩ベースで味付けをしてみました。
当然身もおいしく、程よく硬くなり食べ応えがあります。
汁に溶いた醤油との相性もよく、シンプルながら食欲の落ちる冬でもガッツリ食べられる味わいです。
あっという間に具を食べてしまえば残り汁は無論雑炊にするだけ。
これから冬にかけて鍋料理が続くのでご了承ください(笑)
雑炊は肝を溶き濃厚さがアップ。一度で二度おいしい、そんな楽しみ方の出来る魚です。
味噌仕立てで初めから肝をスープに溶かし込むのもまたありですね。
ウスバハギの握り
握りにするのであれば肝は欠かせません。
刺身では仕込みが間に合わず、肝の旨味が堪能出来なかったためこちらにたっぷり乗せました。
締め立てのものではないので、カワハギの弾けるような身のコリコリ感はないもののやや硬い身で食感が感じられます。
そして味わいはもみじおろしの辛みがじわ~っと広がり、後から濃厚な肝の香りが追いかけてきます。
ウスバハギの焼き霜造り
こちらは皮をペリッと剥がし、身にのこったままの薄皮を皮で炙りました。
カワハギの仲間はその皮のはがしやすさからペリッと剥きたくなりますが、その下にさらに薄皮が隠れており、刺身にしたときにこれが口に残ります。
そこで今回は敢えて薄皮を残しあぶってみました。
なかなかいい見た目をしています。
身が白いので炙ると互いに色が強調しあいコントラストでより良い見た目になりますね。
これを切って昆布〆に仕込んだものと合わせて盛りました。
焼き霜はわさび醤油で。
五平餅などの焼いた餅のような見た目です。
そして食感ももちっとしており、香ばしさと合わせて“本当に餅なんじゃないか“という事すら感じさせてきます。
魚そのものに味はほとんどないため、醤油や薬味で味を付けて刺身として完成されるような魚です。ある意味これは万人に受けるような魚だと思えます。
ウスバハギフライ
ウスバハギは決まってフライにします。
なぜって…
美味しいから!
しかも今回のものはこれまで経験したことのない分厚さ!
サクサクっとかじり付きます。
「めちゃめちゃ美味しいー!」
思わず叫びたくなりますね(笑)
水分がほどほどに閉じ込められ、身は柔らかくジューシーです。
旨味の元である血合いなどはほとんどないので味はソース味になってしまいますが、これは魚の旨味を感じるものではありません。
魚体が大きく、血合い骨も少ないのでぶつ切りにしたものをそのまま揚げられる。少ない手間でガッツリ食べられる美味いもの。
バーガーにしてもよく合いそうです。
ウスバハギの唐揚げ
締めは唐揚げで。
一口大にカットしたウスバハギを醤油や酒、ニンニクなどのタレに漬け込みカラッと揚げました。
しかも今回、過去一上手く作れてしまい、ウスバハギの魅力がより底上げされてしまいました。
まず褒めたい点としてはその厚み。
捌く前の姿はどこか頼りない薄さでしたが、実際骨は薄いため可食部は結構大きいものです。
唐揚げにしてもよく見られる鶏唐サイズにはなりますし、フライで供述した通り骨が少ないので仕込みも楽です。
そして素材そのものの味は薄いので、味付けを楽しむ。そんな魚なのでいくらでも食べる価値のある魚といえそうです。
ウスバハギの評価
価格 ・・☆☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・・☆☆
味わい ・・☆☆☆
価格
・歩留まりが悪い、知名度が低いなどの理由で比較的安価。
肝の入りはいいので、今や高級魚となってしまったカワハギの代用としては十分に扱える魚なので、活用していきたい魚。
コスパ
・やはり頭が大きく、1キロ未満であれば身も小さいので歩留まりは良いとは言えない。しかしあらはダシはそれほど取れないものの、味付けをすればぶつ切りにして使えるので積極的に使いたいところです。
珍しさ
・近年どうやら漁獲量が増えてるらしい。秋頃にまとまって九州~富山湾、太平洋側は三重などから千葉にかけて入荷してくる魚。群れでまとまって獲れるため、数揃って入荷してくることが多い。
味
・魚そのものの素材の味を求めてしまえば評価は低くなるが、身の質や用途の幅広さを加味したら悪くない。和食だけでなく、肝をソースにムニエルやポワレといった洋風のものにも使える。
今回は薄っぺらいカワハギ、ウスバハギを紹介しました。
今や高級魚のカワハギに比べ、かなり安いこの魚。
魚体も大きいため肝も1尾からそこそこ取れるため、もっと評価されてもいいのではないかと思います。
こういう、“陰ながら頑張っている“ような魚をついつい応援したくなっちゃいます。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません