コブシカジカは手間をかけて食べるもの
こんにちは、夢海です🐟️
10月最終週、話題になっていた魚を一目見る為に、大洗へ向かった。
本当はもう1週間、早く訪れるところであったが、天候がよろしくなく遅らせる事となった。
そして、大洗へ行くと必ず立ち寄る場所がある。
それが那珂川を挟んで対岸、那珂湊おさかな市場である。
ここはもう8年ほど前に訪れたのが初めての事で、それからは大洗を訪れる度に必ず立ち寄ることにしている。
トロールが始まっている時期なので底物で賑わっていた。
今回も何かしら買うつもりで来ていたので、保冷バック等の準備もバッチシ。
ここはいつ来ても地物多し、常磐や千葉、北海道などからも水産物が集まり、賑わっている。
と、ここまでは以前のエビスシイラと同じ。
今回の魚はコブシカジカ。
エビスシイラの他に、本種も買い求めてきた。
底曳網漁が盛んな時期に訪れると、色々なものが一皿百円単位で売られており、またそれに地元の料理人から観光客まで集い、人と魚と、賑わいが感じられる。
この日もまた平日だというのに多くの観光客の方で賑わっていた。
それも外国人が決して多数なのではなく、主に日本人が殆どの様子であった。
ひと昔前、平成20年代頃の風景を何となく思い出す。
居心地がやけに良いのは、幼き頃に祖母とツアー旅行を通じて見てきた情景のような温かみがあるからかも知れない。
さて、この日はユメカサゴやスミクイウオなどが主体で、特に目ぼしいものが無ければ土産に買っていくかー。と思うようなものばかりであった。
まさにユメカサゴなんて、この日の前日に茨城のトロールのものを豊洲で買っている。
その辺りを買うことを頭にぼんやり考えながら探していると、黒くて丸っこいものが皿に盛られている。
これこれ、これだよ。
値段も聞かずに8尾あまりのカジカ類が盛られた皿を、とりあえずこれ下さいなと店員の方に声をかける。
持ち帰り、同定してみると全てコブシカジカであった。

目次
コブシカジカの特徴


市場で物をちゃんと見ていなかったので、ガンコかアカドンコあたりも混ざっているだろう。なんてふんわり考えていたけれど、みな頭部がゴツゴツとしている。
他にも見るべきポイントはあり、どれを確認してみてもコブシカジカのみであった。

コブシカジカ単種となったが、これはこれで扱う上で紹介もしやすいので、案外助かったりはする。
持ち帰ってちまちまと計測し、調理へと入っていく。
中にやたら吻端が短い個体がおり、別種なのか、とも疑ったものがいたが結局分からず。


隠蔽種などいたりするのかな、と勝手ながら考える。
コブシカジカの料理
コブシカジカの唐揚げ

コブシカジカは頭、内臓、皮を剥いで、塩胡椒で下味をつける。
片栗粉をまぶし、二度揚げをして完成。
さすがに中骨は硬く、食べられるほどには至らないが、骨の周りについた身が実にうまい。
シャクシャクとした食感のあとに、魚の旨味が追ってくる。
この手の魚は水っぽいとか、味がないだとか言われがちだが、野趣あふれる味が確かにあるのだ。
しかし歩留まりが悪いことは確かである。
かと言って、頭は食べられるほど柔らかくはない。
唐揚げをするのであれば、頭は外してしまい、アラはまた別途使えるので取っておくといい。
コブシカジカの汁
コブシカジカのアラを集めておく。
これをまとめて汁にした。
コブシカジカは特に頭部が大きいので、頭を中心に集めることとなった。
歩留まりの悪さは汁で補うと良い。

そして困ったことに味も美味しいんだなー、これが。
肝や脊髄から出る複雑な味が汁に溶け込み、野菜の甘みを際立たせる。
頭部を探せばほほ肉もあるし、皮もツルンとしていて美味しい。
今回は塩で味を整え、三平汁風にしてみた。
味噌汁にしてももちろん美味いであろう。
山いっぱいのコブシカジカを買い求め、沢山の汁を作るのも有りだな、と思った。
コブシカジカの煮付け

コブシカジカは内臓を抜いて、下茹でをする。
ヌメリを落とし、煮付けに仕立てる。

汁などこちらは醤油で甘辛めに仕立てる。
生のぷよぷよとした質感からは想像し難いほど、身は引き締まる。(火の入れすぎなのかも知れないが)
ホロッと崩れては中まで味の入ったコブシカジカの身がなんとも美味い。
昆布巻きにしても良さそうな味わいと身の硬さ。
コブシカジカの干物

コブシカジカは開いて(今回は腹開き)、5%ほどの塩水に漬け込む。
今回は20分漬けた。
これを干して焼き上げる。
見た目は不格好、そしてやはり可食部は悲しいほど少ないが、味は非常に良い。
箸でつついても仕方がないので、手で持ってかぶり付く。
てっきり焼いても美味くないだろうなんて思っていたことも、かぶり付いた瞬間に忘れてしまう。
身は程よく引き締まり、味、食感、共に素晴らしい。
コブシカジカの評価
価格 ・・・・☆
コスパ ・・・・☆
珍しさ ・・☆☆☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・底曳網などでまとまって獲られるものの、まとめて安く売られるようなもの。中央卸売市場へはまず流通しないものと考えられる。
コスパ
・歩留まりは非常に悪い。今回は特に小型の個体であった為、より可食部は少ないと感じられた。汁などでアラを活用するべき魚種である。
珍しさ
・普通種だが、流通上では珍しい。
味
・煮ても、焼いても、味が非常に良い。品のある味わいというより、野趣あふれる強い旨味がある。
今回は那珂湊で購入したコブシカジカを頂きました。
コブシカジカは過去に一度、1個体のみ扱ったことがあるだけ。
今回色々と試せたのはとてもいい機会となった。
やはりこの魚も過小評価されているものである事が分かった。(まあ実際、使いにくいと言われればその通りナンデスガ…)
過小評価というより、小型で扱い方が分からず、手の出しようがないといったところなのだろう。
滅多に流通に乗らないものの、ぜひ見かけた際は紹介した調理法含め、試して欲しい魚である。


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