初夏は抗えないフエダイの引力(ヨコスジフエダイ)
こんにちは、夢海です🐟️
今回の魚はヨコスジフエダイ。

湿度が上がり蒸し蒸しすると、自然と手が伸びてしまうのがフエダイ科の魚類である。
小さいけれど良さげなヨコスジフエダイが豊洲に来ていた。
もちろん、探せば大小いろいろあるけれど、この個体で十分だ、と思えるものである。


身は張っているし、鮮度も申し分ない。
競り場、仲卸を見ているけれど、今シーズンで初めて見かけた。
フエダイ科は通年、一定の味はあるので外れが少ないが、冬枯れから季節ものの多い春を通してこの鮮やかなフエダイが来ると、どうしても欲しくなってしまうのだ。
目次
ヨコスジフエダイの料理
ヨコスジフエダイの刺身

ヨコスジフエダイは購入当日に卸してしまう。
内蔵はスカスカな事がおおく、そこにちょろんとオレンジ色の脂肪が蓄えられている。
今回は三重からきたアカアジと一緒に盛り付けた。
アカアジもマアジと同様にこの時期に抱卵しており、身の脂もよく乗っていた。
大変なのはアカアジも美味しいのに、それに負けない旨味を蓄えているヨコスジフエダイもまた美味い事である。

この皮目の光り方が見事。
密度の高い、しっとりした身をやや厚く切る。
これにすだちをかけて頂く。
優しい歯ごたえと共に、舌に付いたと同時に脂が溶け出る。
これが甘くて実に美味しい。
すだちがこれをボヤけさせず、終いには引き締まった印象となる。
ほんのちょっぴり香る軽く磯の風味もまたいい個性であると感じられる。

続いて焼霜。
皮をしっかり炙ると硬さも気にならない。
強めに炙ったので、刺身の旨さに焼き魚のような美味さが乗っかってくる。
素でも美味しいのに、炙ってしまうと危険な美味さに光る。
しつこさのない味わいなので、あるだけ食べれてしまいそうだけれど、この上品さは丁寧に味わいたい。
ヨコスジフエダイのアクアパッツァ

半身分は悩みに悩んだ結果アクアパッツァにした。
フエダイ科は皮目に味があることと、冷凍庫の食材を一気に使えるという点から調理することにした。
冷凍庫から取り出したのは千葉県産のあさり、貰い物の産地不明ケンサキイカで、あとは野菜の端などをふんだんに使う。
フエダイ科でアクアパッツァに最も向くのは本種ではないかと考える。
皮を焼くとどこか甲殻類のような香ばしい匂いがあり、存在感が大きい。
身も硬くならず、身離れもいいので骨付きでも食べづらい、なんて事はなく、鮮やかな体色で見栄えもまた良い。
手に入れやすい事も褒めるべき点である。
ヨコスジフエダイの評価
価格 ・・・☆☆
コスパ ・・☆☆☆
珍しさ ・・☆☆☆
味わい ・☆☆☆☆
価格
・白身魚にしては比較的安い。味は非常にいいので
コスパ
・歩留まりは普通。悪くはないので、単価を考えると安めの魚に感じる。
珍しさ
・普通種。夏になるとまとまってやって来るので、入手は容易。都内スーパーでも度々並ぶ。
味
・非常に美味。単価以上の味がある魚だと思っている。生も美味いし、焼いても非常にうまい。
初夏がやってくるとつい食べたくなるヨコスジフエダイを紹介しました。
とは言うものの、これを書き終えたのはもう秋の入口に立った頃の話。
今年の夏はフエダイ科、特にヨコスジフエダイは昨年ほどいなかった気がしている。
私のいる市場は中央卸で各地から集まったものを荷さばきする場所であり、産地ではないので、もちろん多い少ないといった話は産地の方から聞くべし、ではあるものの、見る機会は確かに少ないと感じられた。
これも黒潮蛇行収束に伴う影響なのかは分かりませんが、気にしないと気がつかない何か、変化があるように思えます。
副管理人:夢海 未利用魚の有効活用方を探して、様々な魚種を食べて美味しく食べられる方法を研究しております。今まで550種以上の魚類を食べてきました。変わった魚の食べ方を中心に公開させて頂きます。どうぞよろしくお願いします! Twitter: @YUMEUMI27 ブログ: 夢海のまったり魚日記


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